Drive!! #119 ボート X 小説
自分は本気を出したことがあるだろうか。
墨田はレースを見ながら、もう一人の自分が自分自身を精査しているのを感じていた。
彼は間違いなくレースを見て、その動向を追っているし、気が散っているわけではない。ただ目の前にあまりに鬼気迫る人間を多数目にした。その空間にあっては、体力ギリギリで闘っている人が多数、そうなるとつい自分は?と考えたくなるのだろうか。とにかく彼は記憶を辿っていた。
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それは一度くらいあるだろう、本気。
と思って考えてみたが、最近本気を出したのはいつだろう。