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【GAFAM全参戦】クラウドゲームが引き起こす業界の地殻変動とは!?


※あと3年もしたらゲームのあり方が根本から変わります。


みなさんこんにちは!!
ゲーム業界に内定が決まっている大学5年生です。

最近は「モンハン」よりも「愛の不時着」にハマっています笑。
半分くらいまで見たのですが、名作と言われる理由をひしひしと感じています。
いやーおもしろい!!

今回はゲーム業界の未来である、クラウドゲームについて書いていきます。
なんと世界の覇権を握るGAFAM全社が乗り込んできている、超熱い分野なんです!
というかテックジャイアントでないと踏み入れられない領域です。
そこら辺の理由も読んでいただければ分かると思います。

ただ、GAFAMが総力を上げて参戦しているのに、いまいち盛り上がりに欠けています。
みなさんの身近にクラウドゲームはまだないですよね…
遅延や画質の問題はもちろん、データセンターやタイトルの少なさなど課題は山積みなのです。
そこら辺の話も詳しく解説しています。

ただ、クラウドゲームが作る未来は「愛の不時着」並におもしろいので、伝えていきたいと思います!!

▼こんな人におすすめ▼
就活生や投資家で、ゲーム業界が今後どう変化していくのかが知りたい方
Googleの「STADIA」などクラウドゲームが流行ると言われていたけど、自分のもとに全然波が来ていないと思っている方
ゲームは好きで機会があればやりたいけど、PS5やSwitchを購入するまでには至っていない方
「5G」という言葉はよく聞くけど、私たちの生活にどう関わってくるのかイマイチ分かっていない方


私の自己紹介はこちらの記事へどうぞ!

では行きましょう!



1. クラウドゲームとは

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(画像は「クラウドサービスで変わる仕事環境!導入するメリットや企業向きシステム」より)

クラウドゲームとはクラウド上でゲームを行う、従来のゲーム機の概念を覆すものだ。
クラウド上に作られたハイクオリティなゲーム世界に、手持ちの端末からアクセスする。
大きな負荷がかかるプログラム処理は、手持ちのデバイスではなくクラウドで行われる。
その処理された高画質の映像が、YouTubeのようにストリーミング配信で送られてくるのだ。

そのため、PS5などの高性能ゲーム機や高価なゲームコンピューターは必要なくなるだろう。
テレビやパソコン、スマホなどからいつでも簡単にプレイできる。



2. 特徴

クラウドゲームの特徴を一文にすると以下になる。

「様々なハイエンドゲームをいつでもどこでも楽しめる」

これまではハイクオリティで複雑なタイトルをするには、ゲーム専用機を購入する必要があった。
それが出来ない人は、モバイルでその簡易版を楽しんだり、ライトなソーシャルゲームをしていた。
しかし、クラウドゲームはその垣根をぶち壊すのだ。

以下、クラウドゲームの特徴を挙げてみた。


①付加価値はハードからソフトへ

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(画像は「インターネット接続サービス」より)

クラウドゲームでは、クロスプレイという一つのタイトルを複数のデバイスから楽しむことができるようになる。
となるとハードで付加価値を生み出すことは難しい。

人気のゲームタイトルやプラットフォームなど、いかにファンの多いソフトを持っているかがこれからの鍵だ。

『リーグ・オブ・レジェンド』や『Dota 2』などPCゲームの有力なタイトルから、『バイオハザード』『ファイナルファンタジー』など家庭用ゲーム機の人気のタイトルたちは、クラウドゲームに横展開してくる。
これらがスマホでも高品質にプレイできたら、人口は爆発的に増えるだろう。

あの『フォートナイト』はまさにクロスプレイで成功した例だ。
パソコン、PS4、Nintendo Switch、スマホなどあらゆる端末から楽しめる。

クラウドゲームは、日本のお家芸である家庭用ゲーム機から、モバイルゲームまで多大な影響を与えそうだ。


②ハイクオリティなゲームをすぐにプレイ

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(画像は「オープンワールドRPG『Outward』PS4版紹介。」より)

従来は高負荷の処理は自前のデバイスで行う必要があった。
そのためインストールやロードに時間がかかったり、データ容量を準備しないといけなかった。
クラウドゲームでは、ゲームの処理やデータの保管などをクラウド上で行ってくれるので、待ち時間がほぼない。
やりたいと思った瞬間に、ゲームをプレイすることができる。

また、開発の幅も広がる。
家庭用ゲーム機ではスペックが決められているので、限られた範囲内での開発しか出来なかった。
グラフィックや設定など細かいところにこだわれば、それだけ容量を使ってしまう。

しかし、クラウド上には制限はほぼない。
もちろん予算によって使用できるクラウドの容量は決まるが、家庭用ゲームの比じゃない自由がある。
開発者が細部までこだわり抜いた、超ハイクオリティなゲームが非常に楽しみだ。


③ゲームのNetflix化

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(画像はNetflix公式HPより)

クラウドゲームはサブスクモデルが多い。
Googleの「STADIA」もSONY 「PlayStation Now」も月額制だ。
複数のタイトルを自分がやりたい時に好きなだけ楽しむことができる。

従来の売り切り型や課金型のビジネスモデルと比べるとサブスクは革命的だ。
サブスクは収益が安定しやすいという会社のメリットと、タイトルを好きなだけ楽しめるというユーザーのメリットがある。
まさに、ゲームでもNetflixのようなことが起きるのだ。


④ゲーム人口の増加

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(画像は「人口増加=経済成長は思い込み!経済成長の「真実」に人口は関係ない」より)

これらのクラウドゲームの特徴を鑑みると、ゲーム人口はますます増加するだろう。
2030年の予想では、アメリカで全人口の65%がクラウドゲームのユーザーになっているとの予測がある。

特に新興国とゲームライト層に影響がある。
新興国では、PS5やゲーミングPCなどを買えるお金を持っている人はまだまだ少ない。
初期費用がゲーマーたちのネックであった。
これはゲームライト層にも言え、初期費用が安ければゲームをしたい人は多いのではないか。

そこにクラウドゲームだ。
スマホから月額1000円ほどで複数タイトルをプレイできるとなれば、手が届く。
新興国やライト層への門戸が開かれるのだ。



3. 課題

無敵に思えるクラウドゲームだが、どうやら課題が山積みだ。
通信環境が大事だというのは予想がつくと思うが、それ以外にもデータセンターやタイトルの問題など様々ある。
1つずつ見ていこう。


①膨大な通信量による遅延と画質の悪さ

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(画像は「ワークスタイルの多様化を支えるオフィスの「通信環境」、基本をチェック」より)

クラウドゲームが予想より普及していない一番の理由はこれだろう。
現状の通信技術ではコアゲーマーが求めるレベルで、通信が安定していないのだ。
ゲームにとって遅延は致命的だ。
FPSゲームなどの銃撃戦では、コンマ数秒の遅れが勝敗を分ける。

なぜ遅延や画質の悪さが起こっているのか。
それは膨大なデータ量に耐えうる通信環境が整備されていないからだ。

クラウドゲームはクラウド上で処理されたハイクオリティなゲーム映像を、ユーザーの端末に送る。
イメージはYouTubeの動画ストリーミングが近い。
手持ちの端末性能が重視されない代わりに、通信環境が非常に大事になる。現状の4GやWi-Fiではクラウドゲームの求める通信量や速さを出せないのだ。

そこで登場するのが今流行の5Gだ。
5Gの特徴としては「超高速、大容量、低遅延、多接続」が挙げられる。

5Gが整備されれば本格的にクラウドゲームの時代が来るだろうが、5Gの本格普及は2023年頃と見られているので、もう少し時間がかかるようだ。


②データセンターの維持

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(画像は「Azureのデータセンターはどこにありますか?~Azureブログ~」より)

みなさんはクラウドがどこに存在するかご存知だろうか。
もちろん名前のように空中に浮いているものではない。

答えはデータセンターの中にある。
データセンターは物理的な施設のことを指し、クラウドはサービスの概念を表す。
画像のように巨大なサーバーが大量に並べられていて、データ処理を行っているのだ。

クラウドゲームが普及するにつれ、データセンターも増やさないといけない。
ただデータセンターの増設には膨大な費用と電力を消費し、固定費の増加と環境問題を生む。

▼コスト問題▼

データセンターには高価な半導体が大量に必要になる。
また土地代やサーバーを動かす電力や空調設備など初期費用、維持費用ともにかかる。
ある記事には以下のことが書いてあった。

ユーザー1時間あたり少なくとも0.35~40ドルの費用がかかるとされる。
これは、20時間のゲームのサーバーコストだけで7ドル以上になることを意味する。
例えば、Stadiaは月9.99ドルの価格設定だが、ゲーマーが28時間以上プレイすると、サーバーコストだけでGoogleは赤字になる。
(「クラウドゲームはコンソールを殺さない」より引用)

また、遅延問題を解決するためには、プレイヤーとデータセンターの距離を近くしないといけない。
巨大な施設を少数で置くのではなく、小中規模のデータセンターが大量に必要になる。
もちろんこれにも莫大な資金が必要になる。

さらには、データセンターの容量もピーク時を想定して余裕を持たないといけない。
となると逆に昼間の時間などゲームをしていない時間には、無駄が生まれてしまう。
この余剰を他のクラウドサービスに持ってくることも、現状は難しいようだ。

これらを踏まえると、本記事冒頭の「テックジャイアントでないと踏み入れられない領域」の意味が分かったのではないか。
データセンターは資本力と技術力が物を言う世界なのだ。


▼電力消費による環境問題▼

全世界のデータセンターの電力消費量は約1%を超え、生み出す熱も環境問題になっている。

まずデータセンターがどれだけの電力を消費してきたか時系列で調べてみたが、意外な結果だった。
ある調査では、2010年と2018年を比べてデータセンターのエネルギー消費量は6%しか増えていないらしい。
これは技術の向上はもちろん、大規模な施設にサーバーが集中するようになったことで効率性が上がったことが理由だ。
ただこの調査には一部から信憑性を疑問視されているので、注意が必要だ。

しかしこれらの調査をした研究者たちも、今後はIoTやAIなどの新技術により、エネルギー需要が急増することを予想している。
その中にはもちろんクラウドゲームも入る。
化石燃料による発電の割合がまだまだ高い現状では、電力消費量の増加は二酸化炭素排出量を増やしてしまう。

またデータセンターが生み出す熱の問題もある。
実際にデータセンターで使用される電力のうち、冷却用設備が45%を占める。
また聞いた話によると、中国のビットコインマイニング施設のコンピューターが生み出す熱により、その地域の気温が上がっているらしい。
そもそものデータセンターが生み出す熱により、気温が上がってしまうかもしれない。


このようにデータセンターの増設は、企業コストの増加と環境問題を引き起こす。
だが、今後データセンターが増えていくのは間違いない。
再エネ電力や技術革新など、環境対策への企業努力がより求められるだろう。


③オフラインの無力化

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クラウドゲームはクラウド上でゲームを行うため、サーバーが落ちてしまった場合やオフラインでは何もできない。
従来はゲームデータを端末にインストールして楽しむため、オフラインになっても遊べた。
しかしクラウドゲームは、通信環境やサーバーの問題をもろに受ける。

また、サービスが終了してしまうと二度とプレイできなくなる。
ゲームを毎回インストールしなくていいメリットはあるが、ゲームが閉鎖されると手元に何も残らないデメリットもある。
ここも従来のゲームとの違いだ。

ちなみにゲームソフトの二次流通をしていた企業は、大ダメージを受けることが予想できる。
日本でいうゲオやTSUTAYAのような企業は、今以上に影響を受けるだろう。



4. 各社特徴

さあ、次に各社のサービスを見ていく。
以下が主要なクラウドゲーム企業だが、テックジャイアントが勢揃いしていることが分かる。

SONY 「PlayStation Now」
Microsoft 「xCloud」
Google 「STADIA」
NVIDIA「GeForce NOW」
Amazon 「Luna」
Apple「Apple Arcade」
Facebook「Facebook Gaming」

一社ずつ見ていこうとも思ったが、細かい違いまで調べることにあまり興味を持てないので、他の人におまかせしようと思う。
以下の記事を見れば各社の特徴は理解できる。

あと、各社の説明動画を貼っておく。
検証動画やビジネス解説動画など内容は少し異なるが、参考までにどうぞ。


①Google


②SONY


③Microsoft


④Amazon


⑤NVIDIA



5. 終わりに

ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回はゲーム業界の未来であるクラウドゲームについて調べてみましたが、いかがだったでしょうか。

私は課題2つ目のデータセンターの問題がとても興味深いと感じました。
データセンターの増設・維持コストを超える収益性が、クラウドゲームにあるのかが未だに疑問です。
遅延や画質の問題を含め、テックジャイアント達がどの様にマネタイズしていくのか、今後に注目したいと思います。

また近いうちにクラウドゲームを試してみたいと思いました。
日本でプレイできてかつMacに対応しているのは「GeForce NOW」のみなので、ぜひやってみます!
プレステを持っていない私からしたら、手持ちのパソコンで様々なゲームをプレイできるなんて革命なので楽しみです!

もっとゲーム業界について知りたいと思った方はこちらの記事を見てみてください!

ではまた!!



【参考資料】

クラウド・ゲーミングの現在地と通信事業者の課題【後編】

クラウドゲームの仕組みから見えてくるメリットとデメリット

クラウドゲームの現状:その実際の市場の広がりと可能性,そして危険性を踏まえて語られた講演をレポート

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