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ソフトの力

秋の長雨とは言うけれど、最近は秋の長ミサイルとでも言えばいいのか。隣国が今年に入ってから20回を超えてこちらに向けて飛ばしてきている。どんな意図があってそんなことをするのかは、本当のところは分からないが、甚だ迷惑この上ない。とはいえ若干慣れてきた感もあるし、そうそう大騒ぎにもならない。どちらかと言えば、毎日の食費や電気代が上がるほうが切実な問題である。

そこが怖い。

もしかしたら30回目は、都心に本物が落ちることがあるかもしれない。煽るわけではないけれど、ヨーロッパで起きていることを思えば、明日は我が身と考えることが自然じゃなかろうか。

防衛を考えたとき、ジョセフ・ナイという米国の学者が提唱したソフトパワーつまり文化の魅力や価値観を伝えることで友達をふやす外交的な手段であるが、ぼくら広告に携わる者に関係あることであれば、「伝える」をどうやって最大化して相手の信頼を得るか。それは宣伝とも広報ともそしてあんまり印象が良くない言葉ではあるけれどプロパカンダと言われるものだ。ハードの力だけではなく、ソフトとの両輪を回すことで相手への影響力を強めていく。一時期流行ったジャパンブランドやクールジャパンも当然その一環だ。どちらも伝え方がまずかったのか効果があったようには感じられないのが残念ではあるのだけれど。

直接的な軍事力や経済力は短い期間であれば信頼を得ることはできるが、ソフトで結ばれた信頼関係はなかなか崩れることはない。なぜなら相手の心に沁み込んでいくものだからだ。ある意味とても怖いやり方である。ただよく考えれば、耐久性のあるブランドをつくることと一緒であるし、ロングセラーの商品はいずれもそういったやり方をしているからロングセラーなのである。

結局、ビジネス(マーケティング)用語で使われている「キャンペーン」は「軍事作戦」だし、「ロジスティクス」は「兵站」の意であることからも、戦いから抜け出せないのが人間だということは悲しいが現実なのだ。

だからなるべくたくさんのお友達をつくることで、水道代がこれ以上あがらない社会をつくれたらいいと思っている。


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