『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』読書感想文

意味と価値を与えるニュータイプの特徴について。

「モノ」が過剰、「問題」が希少な世界における人材要件として、「問題を探す。構想する。意味を与える。遊びを盛り込む。自らの道徳観に従う。組織感を越境する。とりあえず試す。与え、共有する。学習能力に頼る。」といったものが挙げられている。

山口さんが使う「意味」という言葉は、何のために?という質問への回答になる。これに答えられない意味が失われた状態がニヒリズムとなる。「問題」という言葉は、望ましい状態と現在の状況が一致していない状況のことである。

既存の希少な問題(理想と現状の乖離)は高難易度なもののみが残り、それを解決する問題解決者は(価値を減損しながら)ごく少数が残り、大多数は不要になる。ニュータイプは課題の設定とその解決にこだわり、その手段がイノベーションである。イノベーションの文脈の中心にある、テクノロジーやデザインはコピーされる。そのような役に立つ以上のものである、文脈、物語、意味はコピーできない。

生産性の向上により社会に資本が蓄積されると労働需要が減るというケインズの予想は外れた。これは求められるニーズが変わってきたことが原因であるか、価値や意味のない仕事をしている。

将来は構想する。未来がどうなるかの予測ではなく、未来をどうしたいのかのを構想する視点で考える。経営における未来予測である、過去に起こった出来事からの未来の予測(シナリオ・プランニング)は外れる。

人間性が重要である。モノ、カネは不変量だが、ヒトはリーダーの意味の与え方により価値が変わる。何を生み出すか(=WHAT)を人間が主体となり意思決定することから始まり、どのように打ち出すか(=HOW)でマーケティングの活用が次ぐ構図にする。結果、共感する人がどれくらいいるのかにより市場規模が決定する。なお、マーケティングについて、グローバル化とテクノロジーによりフォーカスとスケールのトレードオフが解消している。市場が固定的な状況、一刻の猶予もない危機的状況ではHOWが優先される。VUCAな世界ではWHAT、WHYにより組織を動かしパフォーマンスを高める。

グローバル化について、「グローバルニッチプレイヤーによる市場の多様化」「グローバル目がプレイヤーによる市場の寡占化」が進んでいる。市場が相対評価されることで勝者総取りが進行する。テクノロジー、デザインの世界では寡占化、意味の世界では多様化が進む。

理論偏重になるとパフォーマンス低下になる
・理論は答えが1つになり差別化できない
・複雑化した世界では答えを出すまで時間がかかる
・意味が作れない

ゲルド・ギゲレンザーらによると、ヒューリスティック・直感は、意思決定のスピードを速めるだけでなく、状況により論理思考よりも性格な将来予測を可能にする。これは、分析にとどまらず予測を行う場合、大量の情報を精査しすぎると、ばらつきに予測モデルが左右されてしまう傾向があることを主張している。

不確定な時代にこそ内在的な価値観である「真・善・美」を意思決定の基準とする。また量的基準は無意味化している。寿命然り、テレビのリモコン然り、質的な基準をGDPのような量的基準と並立させる必要がある。日本人のデュアルスタンダードの特徴に合致している。

キャリアは偶然。いい偶然を引き寄せる計画と習慣が重要で、「好奇心、粘り強さ、柔軟性、楽観性、リスクテイク」がその要素になる。大量に試行錯誤し、上手く行ったものを残すやり方。試すコストが低減している現在では、戦略的な計画よりも意図された偶発性の方が良い結果をもたらしやすくなる。ただし中断の判断(「たたかう」or「にげる」の判断)も迅速に行う。「じっと耐える」「なんとか頑張る」みたいな選択肢は論外。

リベラルアーツ=自由になるための技術。これは「見送っていい常識」と「疑うべき常識」を見極める選球眼を持つこと。
→なぜ?を深めること。すなわち、自分の学びたいことを学ぶこと。

未曾有の問題に対して、経験の価値は減殺される。そのときに直感と論理のアプローチが求められ、大胆な直感や綿密な分析は若者が得意とする。ここで、かつての学びからアップデートするための論理学習機敏性(ラーニングアジリティ)が人材要件が重要になる。

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