masahiro tanaka

田中正洋|行為資源開発 一級建築士事務所 代表|建築設計・デザイン・編集|日本工業…

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田中正洋|行為資源開発 一級建築士事務所 代表|建築設計・デザイン・編集|日本工業大学非常勤講師|2019年まで建築デザイン事務所POINTパートナー https://www.instagram.com/masahirotanaka.jpn/

マガジン

  • 価値の器

    【価値の器】 見落とされてきた価値を掬える器を探す。

  • 行為の資源

    【行為の資源】 行為を自由に使い手が見いだせるモノや空間。資源の対義語は道具。

  • 認識の道具

    【認識の道具】 捉えにくい物事の見方を補助する道具や枠組み。

最近の記事

可愛いおじさん

ミントデザインズ大百科:Mintpedia @スパイラル  ミントの服を長年愛用している。着ているものに周りから良い反応をもらう時は、ほぼ、ミントの服である。さらに言えば、ほぼ、デザイナーの勝井さんと八木さんの二人に選んでもらっている。定期的に顔を出し、近況報告や世間話をしながら、自分のことを客観的に観て服を選んでもらう楽しい時間だ。美容師さんとの関係にも似ている。それを十年以上繰り返す関係になっている。身体全体のフィット感、脚や腕の丈、肌色とのバランス等から判断してくれ

    • 行為資源と空間の組み立て2(行為の資源Ⅶ)

       前回の終わりに述べたように、ある建物について、その各部屋の性格の違いは、それらの使われ方に直結します。それでは、各部屋は、何によって性格付けられ、どんな使われ方に結びつくのでしょうか。部屋だけでなく、屋外も含めた空間一般に考えを広げて見てみましょう。 4)空間の性格と『行為資源』  空間の性格には、大きさや面の状態のように、その空間を成り立たせている要素自体から決まるものもあれば、それを取り囲む環境や隣り合う要素など、何かとの関係から決まるもあります。  A:大きさ

      • 循環のひと

        人語り「循環のひと」に込める思い  「循環のひと」は、”循環型ものづくり”にまつわる物語り、そして、それを支える人々についての”人語り(ひとがたり)”である。「循環のひと」の作者として、そこに込める思いをここに綴る。 1 先達への恩返し  ”循環型ものづくり”について興味はあるけれど、今までは、家を設計したり、もっと小さなデザインをしてきただけなので、正直なところ、それについて僕は全くの素人である。だから、”いすみ古材研究所”の活動に加わり、”循環型ものづくり”の新しい

        • 思いやり緩衝帯

          第3回 国吉藝文祭 @いすみ古材研究所 6月25日(土)、国吉藝文祭がいよいよ再開します。少し長くなりますが、今回の出展者のひとつをご紹介します。 【VISION GLASS(ビジョングラス)/國府田商店@東京】 1)「VISION GLASS」と「NO PROBLEM」  VISION GLASS(ビジョングラス)は、インドの理化学用ガラスメーカーBOROSIL(ボロシル)社の製造するシンプルな耐熱グラスである。凛としたデザインで過度な主張をせず、熱にも強いので

        可愛いおじさん

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        • 価値の器
          6本
        • 行為の資源
          7本
        • 認識の道具
          3本

        記事

          お金de未来予報

           お金を使うときには、自分のお金がいくら減るかを気にするのでなく、誰のお金がいくら増えるかを気にしましょう !  早速ですが、これが今回の結論です。  この小論は、NPO法人グリーンズ主催の地域通貨をテーマとした講座「コミュニティ経済と未来のお金を考えるクラス」を数年前に受講した際に終了発表会のため用意した、トレーサビリティやお金の履歴についての提案を加筆修正したものです。ちなみに、講座の主旨は、地域のお金がその外に流出することなく、地域内で循環されるための仕組みとは?

          お金de未来予報

          パブリック願掛け

          1 不思議なところ「HOPE WALL」 少し不思議なところに行ってきた。  グランドレベルの2人と長岡さんによる「HOPE WALL」@渋谷キャストである。それは、商業ビルのパブリックスペースに置かれた、メッセージを好きに書けるベニヤの壁群で、昔は駅でよく目にした伝言板のフリースタイル版とも言ってもよさそうだ。 ※ 長岡さんは今では別々の道を歩んでいるが著者が長年活動を共にしてきた盟友である。  上で“良いところ”や“面白いところ”ではなく“不思議なところ”と書いたの

          パブリック願掛け

          文化的栄養と自然的栄養

          いすみ古材研究所による 国吉藝文祭  僕は東京(圏)に住んでいる。休みになると展覧会やギャラリー、映画館に足を運ぶ。コンサートやライブハウスにいく友人もいる。みんなそうやって文化的な何かを充電して、また月曜日から頑張るのだ。  田舎に通っていても、そういうものにはほとんど出くわさない。田舎には、都会にはない自然の良さがたくさんあるからいいじゃないかと言われるかもしれないがそんなことはない。健康には、タンパク質もビタミンもミネラルも、いろんな栄養をバランスよく採るのがいいと

          文化的栄養と自然的栄養

          襞路ポートレイト2021

          日本工業大学吉村研究室+田中正洋による ヒルサイドテラスから学ぶこと 襞路ポートレイト 2021 ねらい  日本工業大学の3年春学期で、吉村英孝先生と一緒に担当させてもらった設計演習内のリサーチ。ヒルサイドテラスを隣接地に増棟するという設計課題に先立って行った。  代官山ヒルサイドテラスは僕が建築を学んでいた頃よりずっと前からあったが、今になってもあの場所をぶらぶらするのは楽しいし気持ちがよい。けれど、言葉にして説明するとなるとなかなか難しい。あの実態はひと言ふた言で

          襞路ポートレイト2021

          行為資源と空間の組み立て1(行為の資源Ⅵ)

           これまでは、『行為資源』について、公園、自作の住宅、アフォーダンスを取り上げながら考察してきましたが、ここからは2回にわたり、建築における空間の組み立てから見ていきたいと思います。 1) 空間の組み立てと規則性  建築は部屋が幾つか、あるいは幾つも並んでできあがっています。そして、どういう部屋がどういう関係で並んでいるかには、何かしらの規則性が潜んでいます。それを設計した人が明確な意図をもって規則性を与えることもありますし、無意識のうちに生まれていることもあります。ですの

          行為資源と空間の組み立て1(行為の資源Ⅵ)

          行為資源とアフォーダンス2(行為の資源Ⅴ)

           『行為資源』に関して、前回はアフォーダンス理論との関係について述べましたが、今回は身の回りの例を通してその特徴について考えていきたいと思います。 1)自然と土木 『行為資源』は、使い方が明確に決められている「道具」でなく、使い方が決まり切っていない「資源」状態の物や空間を指し表します。身近な例を挙げるにあたり、私たちの暮らしは「道具」に囲まれてしまっているため、少し外に目を向けてみます。  ひとつは自然です。樹木は、日光をたくさん浴びるため枝葉を広げ、強風に耐えるため根

          行為資源とアフォーダンス2(行為の資源Ⅴ)

          行為資源とアフォーダンス1(行為の資源Ⅳ)

           これまでは、『行為資源』について、公園を「資源」と「道具」の対比によって捉えることからその言葉を見つけ出し、続けて、自作の住宅を例に挙げながらその特徴について説明しました。  「行為資源と公園(行為と資源Ⅰ)」の中では下記のように書きました。 知覚や認知に関する理論、アフォーダンス理論では、人や動物が利用する物の性質のことをアフォーダンスと呼びますが、これまで述べてきた多くもそこに含まれます。『行為資源』という言葉は、アフォーダンス理論の視点の一部を、空間をデザインす

          行為資源とアフォーダンス1(行為の資源Ⅳ)

          行為資源と住宅2(行為の資源Ⅲ)

           『行為資源』に関して、前回は、使い手との関わり方について考察しましたが、今回は、その建築的な特徴について、同じく自作の住宅(注)を通して考察していきたいと思います。 (注)著者は、設計デザイン事務所POINTのパートナーとして2005年~2019年の14年間活動しており、今回挙げた事例はその時期の作品です。 5)体勢と高さ 日常の行為で肝となるのは、どういう体勢でそこに居るかです。椅子に座る、床に座る、横になる、もたれ掛かる、立つ、歩く、昇るなどの体勢に対応して表れる空

          行為資源と住宅2(行為の資源Ⅲ)

          行為資源と住宅1(行為の資源Ⅱ)

           前回は、公園を「資源」と「道具」の対比から捉えることで、使い手が行為を好き勝手に掘り起こせる有様や具体物を『行為資源』と名付けました。  このイメージは、実際に住宅を設計しながら抱くようになったのですが、それは、住宅が他の機能の建築に比べて行為が密に集まっているからだと思います。そこで今回と次回は、『行為資源』の特徴の要点について、自作の住宅(注)を例に挙げながら考察していきたいと思います。 (注)著者は、設計デザイン事務所POINTのパートナーとして2005年~201

          行為資源と住宅1(行為の資源Ⅱ)

          ビー玉ビルディング

          日本工業大学吉村研究室+田中正洋による シークエンス模型ワークショップ「ビー玉ビルディング」の動画 1 鳥の目/虫の目模型の中でビー玉を転がすと何が変わるだろう? このワークショップを通して得た答えのひとつは、模型を見る目が変わる、ということだ。模型は多くの場合、鳥の目(鳥瞰)で見ている。ところが、ビー玉を目で追いはじめると一転、それは虫の目に変わり、模型への没入の度合いが増す。虫の目を得ると、模型を介しての空間認識が多彩となり奥行きも増す。そこから湧いてくる空間的発想は2

          ビー玉ビルディング

          行為資源と公園(行為の資源Ⅰ)

          1)使い手の行儀良さ このところ、新しい商業ビルや駅ビルは、屋上や途中階に、屋外あるいは半屋外のオープンスペースを併設するのがトレンドのようです。お金を生む事を目的とした商業施設が公園みたいなみんなのスペースをつくると、そこはどんな場所になるのか興味があって、近くに寄れば足を運びます。  宙に浮く公園に立てば、今まで見たことのなかった都会の風景が眼前に広がり、未知の都市空間との遭遇に心躍ります。ビル群の隙間を目新しい角度から見通したり、行き交う車と立体的に交差したり、眼下に

          行為資源と公園(行為の資源Ⅰ)