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お金de未来予報

 お金を使うときには、自分のお金がいくら減るかを気にするのでなく、誰のお金がいくら増えるかを気にしましょう !

 早速ですが、これが今回の結論です。

  この小論は、NPO法人グリーンズ主催の地域通貨をテーマとした講座「コミュニティ経済と未来のお金を考えるクラス」を数年前に受講した際に終了発表会のため用意した、トレーサビリティやお金の履歴についての提案を加筆修正したものです。ちなみに、講座の主旨は、地域のお金がその外に流出することなく、地域内で循環されるための仕組みとは?というものでした。


1 流れゆくお金

 使ったお金は、渡りに渡ってどこに流れていくのでしょうか?そして、そのお金は私たちの未来をどのように変えるのでしょうか?もしも、それが分かるとしたら、私たちの購買行為はどのように変わるでしょうか?

 お金を使ってモノを買う時にはふつう、「自分のお財布からお金がいくら減るのか?」を気にします。同じようなモノを買うなら、こっちのお店は1000円、あっちのお店は1200円、だったら1000円のお店で買おう、というように。

 でも、「このお金が誰のお財布に入るのか?」を考えはじめると、少し具合が変わってきます。1000円が大手スーパーのお財布に入るのか?それとも、1200円が商店街の八百屋さんのお財布に入るのか?だったら、ちょっと高いけど商店街の八百屋さんで買おう、八百屋さんが潤えば商店街に活気が出るから、というように。

 ちょっとしたことですが、このアクションも積もりに積もると未来はずいぶん変わってくるはずです。

どっちの店で買い物しようか?


2 お金の原材料

 商店街の活気のため、八百屋さんで野菜を買ったら、それで良いことをしたような気分になるかもしれません。でも、話はそんなに単純ではありません。確かに、小売りの儲けは八百屋さんのお財布に入ります。でも、残りはどうでしょう?

 仲卸は地元の業者とは限りません。野菜を作った農家だって、海外の大規模農家かもしれません。近場の農家の野菜だったとしても、苗や肥料は海外のものかもしれません。ハウスに使ったエネルギー源は化石燃料なのか風力やソーラーなのか。その先の話だってまだまだあります。

 つまり、未来のために有意義にお金を使おうとすると、この1200円は誰にいくらずつ分配されるのか?つまり「お金の原材料」を知る必要があります。でも残念ながらそんなことは分かりません、今のところは。

使ったお金はどこに流れていくのだろう?


3 お金de未来予報

 この数年で、ずいぶんたくさんのお金が電子化されるようになりました。鞄からお財布を取り出す機会もだいぶ減ってきました。これからもっと電子化されていくでしょう。そうなれば、技術的には、お金がどう流れているかを把握することもできそうです。つまり、「お金の原材料」を把握することが可能になります。例えば、1200円のうち200円は地元に留まるけれど、1000円は地域外に出ていってしまい、そのうち300円は海外に、というように。さらに、このアクションが積もりに積もっていくのをシミュレーションすることで、10年後、20年後、どこにたくさんのお金が流れていき、地域が、そして社会がどう変わっていくかも、ある程度までなら予測するのも不可能ではないように思います。どれくらいの確率で、どれくらいのお金が地域に留まりそうか?あるいは、逆に出ていってしまう未来が待っているのか?地域/地域外だけでなく、地方/都市、日本/海外など、さまざまな切り口で未来予測が出来そうです。モノを電子マネーで買う度にスマホ画面で注意喚起してくれるスマホアプリ「お金de未来予報」。そんなアプリがあれば日々、各々が願う未来をイメージしながら買い物ができるようになります。

この買い物は、どんな未来につながっているのだろう?

 とはいえ、そんなアプリは現在のところ開発されていないので(もしも、だれかそんなアプリを知っていたら教えて下さい。)、開発されるまでは、分からないながらも誰のお金が増えるかを分かる範囲でイメージするしかありません。産地や原料について気にしてみたり、製造方法について調べてみたり。それらを確認しながらお金を使うということは、望む未来を応援したり、それに寄付したりすることと同じことです。アプリが開発されるまでの間、望まない未来が近づいてくるのを少しでも食い止めるため、お金を使うときには、自分のお金がいくら減るかを気にするのでなく、誰のお金がいくら増えるかを気にしましょう!そして、そんなアプリを誰か早くつくって下さい! 

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