土屋 正英

自然風景写真家。物語を描くそんな写真を撮る。撮影講師・ツアー講師・新聞連載等々で活動中。

「天城山からの手紙」32話

何年も天城に通っていると、感情が慣れてくるのだろうか、純粋なトキメキも少なくなっていく。日常の中でも、人間の”慣れ”とは誠に恐ろしいもので、喉元すぎればなんと…

「天城山からの手紙」31話

5月のGWも過ぎる頃に、万次郎万三郎付近では石楠花(しゃくなげ)が咲き誇る。このシーズンだけは、登山者が押しよせ道も大変混雑する。登山道に列をなして歩く様子は…

「天城山からの手紙」30話

この日は、森に風が霧のベールを繰り返し運んで来た。目の前にスーッと現れる魔法の衣は森の住人に次々と命を与えて行く。衣を纏うと、そこかしこから話し声が聞こえ、特…

「天城山からの手紙」29話

地を照らす真っ赤な光の道が森に差した時、体に走った興奮はまだはっきりと覚えている。遠く万三郎から顔を出した太陽が、一瞬の情景を作り出す。蒼い時間を撮影していた…

「天城山からの手紙」28話

とにかく森の朝はすばらしい。静寂の闇がだんだんと光に包まれ、次第に歓喜の声がこだまし始める。眩い太陽の光が、森に住む者達に命を吹き込むのだ。いつも暗い中を歩き…

「天城山からの手紙」27話

このツゲ峠は、今、一目で荒廃が確認できる場所かもしれない。その地は、フカフカの苔が埋め尽くし、その上に倒れたブナ達は最後の安らぎをもらい眠る。まだ倒れぬ者達は…