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シン・コワーキング

毎年年始は「フューチャーマッピング」でその年のストーリーを描き、書初めをしてスタートしています。今年は、「シン・コワーキング」という言葉が降り、したためてスタートしました。その後そんなに意識していたわけではないけど、自分の中では解釈ができてきた気がするので、今年の振り返りをしつつ、以下キーワードを元に言葉にしてみたいと思います。

2022年1月3日 フューチャーマッピングの

ちなみにこちらのnoteは「iitoco!! Advent Calendar 2022」に投稿しています。12月1日~25日まで、

 ・自分のやりたいこと
 ・今年の振り返りや来年の抱負

等をそれぞれブログに書いてもらって、リレーしていきます。
今年も、この時期がやってまいりました。

◆コワーキングiitoco!!の無店舗展開

約3年9か月リアル店舗で運営していたコワーキングiitoco!!は、2020年4月1日から無店舗展開をしています。コワーキングなのに場所がないの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、はい、特定の場所は持っていません。

さて、無店舗展開でどんなことをやっているかですが、主に佐久地域で面白い活動をしているコミュニティや店舗などの場に、ポップアップでコワーキングiitoco!!を出現させています。具体的には、10時~17時位の間、それぞれ自由にコワーキングしてもらうフリータイムと、オーナーの考えを聞きながら対話をするコアタイムを設けて、参加者の交流を促進しています。

今年は、中込商店街の「TELT」や野沢商店街近くの「野澤館」、佐久市内山の「うちやまコミュニティ農園」などでポップアップ開催させてもらいました。

中込商店街のTELT
TELTリニューアルオープンについて対話

TELTのコアタイムでは、近々TELTがワークスペースとしてリニューアルオープンするということで、オーナーの須田さんと植木さんに話を伺いました。参加したメンバーからは、こんなことやりたい、こんな活用してみたら面白そう、といった意見が出されました。
TELTは2022年10月にリニューアルオープンをして、ワークスペースとして新しい展開をしています。貸し切りでイベントもできるので、2023年もまたどこでもコワーキングiitoco!!を開催させてもらおうと思います。

野澤館
コアタイム 女将と1hour talking
自由に仕事や交流をするフリータイム(コワーキングタイム)
女将特性弁当でランチ交流会

野澤館では、ランチの提供もしてくれているので、お弁当を食べながらランチ交流会もやってみました。またコアタイムでは、ライトニングトーク3名に加え、女将の長岡さんが独自でやっている「女将と1hour talking」とコラボさせていただき「多様性、循環、持続可能性」などをキーワードに対話をしました。

そして、来春までには野沢・中込・平賀周辺で新たに3つ場が誕生します。

場によって、ユーザーのレイヤーが異なるので、こうやてコワーキングiitoco!!を違う場でポップアップ開催することで、新たな出会いや気づきがあります。そして、地域や暮らしを創っていく、ということを緩やかに共有することで、コミュニティ同士がつながる、もう何度も書いているので理由は割愛しますが、今後地域にとって大切な「ローカルコミュニティ」が形成されていきます。

ここ数年無店舗展開していて、むしろ運営者が特定の場所を持たない(持ってもとどまらない)ほうが、「コワーキング」できるんじゃないかと、思ってきています。今後もしばらく継続していきます。

◆大豆とコガネムシ 農業複業化の捉え方再考

農業複業化プロジェクトも今年で2年目。今期は、田んぼを新たに「開墾」したり、暮らしに欠かせない「大豆」を新たな品目として栽培を始めたりしてみました。

さて、農業複業化プロジェクトとは関係なく、個人的に今年は大豆を作ってみました。パートナーのおばあちゃんが93歳で農家をやっていて、ここ最近使わなくなっていた畑を借りました。車で1時間ほどのところで少し離れていましたが、過去の経験から、マルチ敷いて何度か草刈りすればきっと大丈夫だろうと、今思うと考えが甘かったのですが、とりあえず栽培してみました。

で、その結果が・・・これです。マメコガネにやられまくりました。

すごいスピードで葉っぱを食い荒らしていくマメコガネ
隣で家庭菜園している人の大豆にも飛び火してるっぽい

どう対処するか調べてみるものの、これは農薬を使わざるを得ない感じです。コミュニティ農園や農業複業化プロジェクトは無農薬・無化学肥料でやっているので、いける自信がありましたが、甘かった・・・。隣の畑にも飛び火してるっぽい(飛び火された可能性もあるけど苦笑)ので、農薬使うことにしました。するとどうでしょう、、、マメコガネは消え去り、大豆もしっかりできました。

農業複業化プロジェクトは「生きるチカラに向き合う=自分でつくれるようになる」ことを目的にしています。ただ、耕作放棄地を開墾することだったり、無農薬で田んぼの除草を人力でやったりなどなど、2年間やってみて、それがどのくらい大変で時間がかかるのか痛感しているところです。そして、今回いけると高をくくっていた大豆で、見事害虫にやられてしまったわけで。きっと農薬がなければ、収穫できなかったでしょう。より効率的に食料を生産するために、農薬が開発されるのは当然な話だと思います。

新たな田んぼ(開墾前)
新たな田んぼ(開墾後)


そこで浮かんでくる言葉が「食料自給」。
あらためて考えてみようと思って手に取った本が「そのとき、日本は何人養える?/篠原信」

以前から断片的には情報を摂取してたので、そうだろうなとは思ってはいましたが、日本国内だけで今の人口を賄う食料を自給する事は無理なんですよね。それは、結局、化石燃料に依存しているからです。トラクターなどの機械類がなかったら、到底無理です。実際に手作業で開墾や除草やってみて痛感してます。1億2千万人の胃袋を満たすには、やはり世界と仲良くやっていかなければならないし、非農業が元気じゃないといけないし(外貨を稼ぐという意味)、効率を考えて農「業」をしなければならないと思います。ましてや、世界の人口は2050年には100億人超えると言われてるわけで、、、、

有機がいいとか、慣行がどうこうとか、農食に関わることはいろいろすれ違いを生むトピックスですが、安全な場所であーだこーだ言ってる時間があったら、まず自分で鍬をもって土を耕してみて、自分ができることを考え実行した方が良いと思います。

と若干、話がそれましたが戻しますと、2年間「農業を複業化」することをやってきましたが、3年目に向けて改めて「農業複業化」を捉えなおしてみようと思います。

●自給率を高めようとあまり意識しない。
●農業複業者は農家と消費者の架橋としての役割も意識する。(消費者という言葉を何かもっと良い言葉にしたい・・・)
●食べることは生きることだからいわば安心して生きていくための土台。農業複業者が自己表現しゆるくつながることで地域を超えた「土台」を、資本主義の「外の世界」に、コミュニティとして形成していく。(脱資本主義ではない)

自分で作れるようになることは変わらず意識しますが、「日本の食料自給率をなんとかする」と、主語の大きい話をしてしまうと動けなくなってしまうと思います。だからまず、自分でできることにフォーカスして、自給するなら自分や家族、仲間のためにを意識したほうが健全だと思います。また「完全自給」となると、正直難しいとも思います。もともと完全自給を目指しているプロジェクトではありませんが、難しさをリアルに感じます。

それよりは、日本の食糧問題を背負ってくれている農家さんは目の前にいるわけですから、農の大変さをちょこっとかもしれないけど知っている「農業複業者」が周囲にいる仲間と農家さんの接点を広げていったほうが、食料に対する安心をもたらすのではないかと感じてきています。
以前は地縁でこの「土台」は普通に存在したのだと思いますが、経済合理化が進んだため、いつしか切れてしまった。その切れてしまったものを農業複業者が有機的につなぎなおす。そして今の時代だからこそ、地縁を超えたつなぎなおしもできるし、農には景観をつくり未来につなげることや、身体性や精神性を取り戻す作用など、食料以外にも、現代だからこその大切な価値があるので、人が人らしく生きていくために、改めて「農業複業化」を捉えなおして「土台」を作り直していきたいと思います。そして、農業複業者個々が自己表現することで、そこには新たなコミュニティができ、ゆるく繋がることで、土台はより大きくなって行くのではないかと思っています。

まだ朧げでしっかり言葉にできていませんが、もう少し自分で考え、仲間と対話し、来期に向けて、模索していきたいと思います。

春。代掻き1回目後。
田植え後2週間。早朝の除草作業。
夏全開。
9月。穂がしっかり実ってきました。
秋。紅葉。この景観は100年先にもつないでいきたい。

ちなみに、農業複業化プロジェクトに1年目から参加してくれている東京在住の坂本さんがnoteに綴ってくれているので、リンクを貼っておきます。農業複業者が架け橋になる、というのは坂本さんの考えで僕も農に触れてきて、そしてコミュニティづくりをここずっとしてきて、すごく共感する考えです。こういった仲間が増えることも、複業化の良さだと思っています。


◆パクチーとコミュニティ

コミュニティ農園のパクチー2022

これもコワーキングのつながりから「パクチーハウス東京」を知り、始まったこと。うちやまコミュニティ農園がスタートしたころから、その一角に「パクチー銀行佐久支店」を置いています。本店や安曇野支店から種の融資をうけて、とりあえず種をまくところからスタートして4年が経過しました。今年は後述する竹パウダーの効果か、めっちゃおいしいパクチーが採れました。

コミュニティ農園の畑のパクチー
自宅の軒先ヒトツボ菜園、去年の6月末
今年の6月末、竹パウダー効果か?
今年はヒトツボ菜園での連作。秋まき(いや夏まき)もいい感じに育ちました。

いつもサラダにして食べていたくらいだったのですが、「パクチーハウス東京」がレシピを全部公開しているんだから、せっかくだから今年は料理をしてみようと思って、パクチーが収穫できる6月~7月、9月~10月にかけて結構な頻度で作ってみました。

パクチーハウス東京のレシピはやっぱり鉄板です、おいしい。に加えて僕の創作(ただ上からかけただけとかが多いけど)含めて、いくつ作ったんだろう。この時期とても楽しく、健康的に暮らせたと思っています。これだけのせいではないのですが、今年約10㎏体重落ちました・・・、見えないと思いますが笑

さて、一つ宣言しておきます。
パクチーハウス東京やパクチー銀行の活動を知っているので、「パクチー=コミュニティ」だということは僕も理解しています。

そして、今年料理してみてとても楽しかったし、うちやまコミュニティ農園の敷地だけだとちょっと狭いので、別の敷地でもパクチー栽培したくなってきました。

ということで、来年は自分で畑増やしてパクチー作りたいと思います。
そして、稀に佐久地域の面白いコミュニティで、パクチーパーティーなどパクチーで何かやります。
大前提として、佐久地域でのコミュニティづくりの一環であり、ローカル複業フィールドを一つ増やすことを目的にしています。
最終的には全国にもパクチーコミュニティがたくさんあるので、ゆるーくつながっていくと、これまたおもしろいコトが起こると思っています。

追ってまた告知いたします。自分にプレッシャーをかける意味でも宣言、でした。

さあ、畑にするぞ!

◆パートナーとの関係性

昨年の自分のアドベントカレンダーを振り返っていたら、振り返りのキーワード、唐突に「パートナーとの関係性」が出てきていました。改めて読み返してみて、これは毎年振り返っておこうと思えたので、今年も入れておきました。

特に印象に残っていることを3つくらい書いておこうかなと思います。

まず一つ目は大豆栽培をスタートしたことです。
萌子さんのおばあちゃんが93歳で現役農家。でも、93歳ですから昔のようにというわけにはいきません。作付しなくなっている畑もあるので、上述したように今年は大豆作りをスタートしました。
二人でマルチ張って、種まいて・・・こうやって二人だけで農作業するのは、そういえば初めてな気が。昔、新卒で入社してきたとき、おばあちゃんが農家だから農業のサポートがしたいと言っていた気がするけど、今はどうなんだろう。でも、僕が複業としてその方向に進んでいるので、ぜひ、まきこまれてください笑

車で一時間ほどかかる場所なので、マルチを敷いて雑草対策。
普段こんなことしないから、疲れてへとへと。
夏。マメコガネにはっぱを食われまくる。
大豆にとっては養分のありすぎる土なのか、成長しすぎ。草払機で生長点をカット。
秋。収穫。
しっかり実ってくれました。さて、何につかおう(え?決めてないの?)

二つ目は、東京墨田区に革工場に見学にいったこと。革作家なので革に触れるのは当たり前なのですが、革のことをもっと知りたいとのことで工場見学に行きました。こういった時、僕もついていく事が多いのですが、全然知らない業界を全然予習なしに突然入ってみるのって意外と楽しいです。そして実は、国内で唯一自給ができるのが「豚革」で、その多くを墨田区で生産しています。(ピッグスキンと呼ばれています。)
ホントたくさんの工程があって、それぞれの工程の専門工場が歩ける距離で点在していて、この下町感がすごく良かったです。でも、職人さんが激減していて、この工程この人ができなくなると終わりかも、という人もいるようで、非常に危機感を感じます。豚革は食肉になった豚の廃棄物(皮)を有効活用したものです。SDGs文脈でおかしな方向にもっていかれているところもあるようですが、豚革は100%自給できる材だから、これは使ったほうが良い。
とても学びある工場見学でした&萌子さんが本気で革工場に修行にいきたい!と言い出すんじゃないかと少しヒヤヒヤしていますが、僕も良い刺激になりました。いつもこういう機会をありがとうございます。

そして最後3つ目。つい先日出店した群馬県富岡市で開催された「動楽市」のこと。いつもは「自分の製品が外の人から見たときにどんな評価になるのかを確かめつつ、自分の製品を進化させるために出店している」と本人は言っています。でも今回はワークショップをやったのです。刻印してネームタグをつくるという簡単なワークショップではあるのですが、手間がかかります。そして、いろいろあって、オペレーションバタバタで、結構苦労しました。の割には1回1,000円で、材料費入れるとほとんど利益ないはずです。なんでやったんだろう・・・と思っていたら、出店後、「普段革に触れることってあまりないから、大人も子供もあぁやって純粋に楽しんでくれたことが嬉しい。こういう体験から、もっと革が身近になってくれたらいいな」というのです。まだまだ今回の体験をどう活かすかは見えていないそうだけど、こんなこと言ったら上から目線と怒られそうだけど、ただ単に製品を売るではなく、革と向き合ってるんですね。こういう姿勢、尊敬しています&2023はどんな方向に進んでいくのか、自分のことのように楽しみです。

まだまだ、書きたいことはありますが、今回はこれくらいにしておきます。来年も、良き相談相手として、お互い自分自身のやりたいこと、これからも追求していきましょう。2023もどうぞよろしくお願いします。

◆続・ローカル複業化プロジェクト

・まずは自分が。立ち上げた複業化プロジェクトの今年。

ここ数年「ローカル複業」をキーワードに活動しています。
地域課題や自分が心からやりたいことを複業化することが、特にこれからのローカルにとっては大切なことだと思っているからです。
昨年noteにも綴っているのでもしよければどうぞ。

さて、仮説でしかなかったので、まずは自分が立ち上げて体感してみようということで昨年スタートさせた「農業複業化プロジェクト」と「竹林複業化プロジェクト」。

農業については前述したように2年目を終了し、仲間と共に3年目の計画に入ります。農を複業化することを捉えなおし、豊かに生きるためのインフラの土台を作っていきたいと思っています。今年はメンバーからの提案で、noteマガジンもはじめて見ました。

さて、竹林の方はどうかというと、今年春から本格製造&販売を開始しました。僕らも初めて製造したものなので、品質はどれくらいの期間維持できるのか、とか、実際使った効果がどうなのか検証しながらの1年でした。
効果は確実にありそうです。僕自身も使ってみて体感しています(パクチーの章参照)し、今年使ってもらった皆さんにもありがたいお言葉をたくさんいただいています(現在、その声を皆さんにも公開できるように準備中)。
品質についても、今年の1月~3月に製造したものが、今でも全然問題ない状態です。この検証ができたのは大きいです。

今年も冬場製造をしっかりやって、来期のための製品を用意しておこうと思います。より多くの人に試してもらったり使ってもらうために、ラインナップも増やしました。

そしてここからが重要ですが、コミュニティもしっかりと作っていきたいと思っています。そのために、より身近に感じていただくためのワークショップなども開催していきます。もし興味がある、という皆様は是非参加してもらって、一緒に地域内循環を促進していただけると嬉しいです。

地域の厄介者が、土壌改良材になって地域に循環する。それによっておいしい農産物ができるなどの効果もある。すごく良い地域内循環だと思っています。

2022年11月27日 ワークショップ
竹パウダーの使い方レクチャー

※つい先日の11月27日に実施したワークショップの様子です。竹パウダーを使っていただくことももちろんそうですが、価値観にも共感していただき、地域内循環の輪を広げていければうれしいです。

>ワークショップ情報はこちらのイベントページを参照ください

>地元の「農を楽しむ暮らしマガジン畑゜々」にも記事にしていただきました。


という感じで、2つのプロジェクトの成果物は違いますが、ローカル複業が、なんとなく自分の中でも「いけるんじゃないか」と思えてきました。

ということで、今年4月から、あらたな試みとして、より多くの人に自己表現したプロジェクトを立ち上げてもらいたいという想いを込め「ローカル複業化ラボ」を立ち上げました。今現在11のプロジェクトが新たに立ち上がり、少しずつですが動き始めています。このことについては、次の章で紹介します。

・ローカル複業について考える「地域複業」フェス

昨年はデルタ株の洗礼を受けてしまいオンライン開催でしたが、今年はリアル開催できました。ローカルでの複業について学び、対話し、自分自身の次の一歩につないでもらうための「地域複業フェス」。
実際にすでにローカル複業を始めている個人や団体にローカル複業のリアルをお話ししてもらいました。やっぱりやってみないとわからないことも多いし、実践者のリアルは参考になります。また、それぞれのローカル複業コミュニティが緩やかに繋がることで、自分たちの暮らしを仲間と共に創っていく事ができると確信も持てました。

この後紹介するローカル複業化ラボはプロジェクトを立ち上げる人のみ参加できる仕様にしているので、ローカル複業に興味があるだけの人は参加ができません。ですので、こうやって実践者と複業に興味がある人がつながれる機会も増やしてい行きたいと思います。
とりあえず、フェスという形では年1回、今後も開催していきたいと思います。

ローカルコワーキングの重要性について学ぶ
実践者と興味のある人が対話
実践者によるプレゼン

◆地域を、暮らしの土台を、つくる

ローカル複業化プロジェクトを掲げ、まずは自分が実践して体感しようと2つのプロジェクトを立ち上げました。そして、考えに共感してくれる仲間も増えてきていて、仮説だったものが確信できるようになってきました。

ということで、もっともっと多くの人にプロジェクトを立ち上げてもらいたいという思いから、今年4月に「ローカル複業化ラボ」をスタートしました。

・地域にとって良いことしかやらない、ローカル複業化ラボ。

このラボの目的は

地域にとって良いことで
自分が心からやりたいことを実現する または
課題に感じていることを解決するために
自らプロジェクトを立ち上げ
自らコミュニティを創り継続する

ことです。

プロジェクトを立ち上げるワークショップを

ver0.0期(プロトタイプ版)⇒4月~6月
ver1.0期(正式リリース版)⇒9月~11月

と実施し、0.0期と1.0期で合計11名が参加してくれて、11のプロジェクトが立ち上がりました。そしてver2.0期を、来年2023年1月よりスタートします。

※0期1期で立ち上がったプロジェクトは、以下ウェブサイトの一番下の方にあります。

・半市場経済-資本主義を活用する外の世界-を創る

なぜ、このようなラボを始めたのか。今年の3月にnoteにしていました。

一言で言うと、自分(達)の地域や暮らしを自分(達)でつくっていきたい人たちと、素の自分でいられて、何があっても生きていく事はできる暮らしの土台を作っていきたいと思っているからです。また、100年先にも残したい大切なものをつないでいくこともしていきたいと思っています。
僕はこれを「豊かに生きるインフラ」であったり「半市場経済」「資本主義を活用する外の世界」と呼んでいます。

地方はこれから人口がどんどん減っていきます。ですので「地域課題」という言葉だったものが、リアルに目の前に立ちはだかる寸前に今生きていると思っています。そういった課題をクリアしながら、生きていくためのインフラを、全部とは言いませんが自分たちで維持し、暮らしの基盤をつくっていかなけれければなりません。

そして、その地域課題を解決していくには、自分の中から湧き上がってきてしまってどうしようもないくらいの「内なる衝動」が必要だと思っていて、これから先も地域で暮らしていくために、そういった仲間をもっともっと増やしたいと思っています。

・コミュニティ×コミュニティで暮らしの土台を

ラボを始める前、こんな仮説を持っていました。

案の定、立ち上がったローカル複業コミュニティ間を行き来する人が出てきています。今のところ衣食住に関するプロジェクトが多いので、もともと親和性が高いのもそうですし、最初に根柢にある価値観共有してるので相性もきっと良いのだと思っています。

また、このラボでは「マイクロビジネス化」して「分かち合う」ということも大切にしているので、各プロジェクトの輪が広がり、行き来する人がもっともっと増えたら、本当に小さいかもしれないけど、ローカル複業経済圏が形成出来て、とりあえず何があっても生きていく事の出来る土台ができるんじゃないかと、数年前よりはリアルに実感できてきています。

・95%諦めていた地域通貨の可能性

今年こんなポイント制度も始めてみました。今は「草刈りポイント」と呼んでいますが、ゆくゆくはこのローカル複業経済圏での地域通貨に昇華させたいと思っています。きっと衣食住に関することで使えればどこかに滞ることなく循環すると思っています。

【草刈りポイントはじめました】 面積広げれば広げるほど漏れなくついてくる草刈り。 もう、さすがに、、、ということでコミュニティ農園メンバーに還元しながら楽しく草刈りをやってもらおう!?ということで、(コミュニティ通貨風)ポイント制度はじめま...

Posted by 江原 政文 on Sunday, September 4, 2022

なぜ、現金じゃだめなの?と言われそうですが、現金は、もともとあった「やる気」を削いでしまう性質があって、一度削いでしまうとなかなか元には戻らないからです。

地域課題は、「内なる衝動」でなければ解決できない。だからこそ、もともとあった「やる気」を削いでしまうことは良くない。でもそうはいっても、還元はあったほうが良い。このバランスを保つためには、通貨自体に目的があり、想いの通った、法定通貨とは交換できない通貨が必要だと思っています。(現金でも良いかもしれないが、報酬目的にさせてはいけないということ。このバランスをとるためには地域通貨の方がやりやすいと思う。)

ローカル複業化ラボ、まだまだ模索は続きますが、来年も一番力を入れてやっていきたいと思います。
あと3年9か月で、39のプロジェクト立ちあがれ~(佐久だけに)。

◆今だからこそ「コモンズ」を見直してみる

さて、年初に掲げた「シン・コワーキング」でもあり、このnoteのタイトルにもしたわけなので、そろそろ結論と行きたいと思います。

・経済のパラダイムシフトの必要性

つい先日、こんな本を読みました。きっかけは忘れたけど、ネットでポチって、到着したら意外と分厚くてビビった本「ドーナツ経済学が世界を救う/ケイト・ラワース著」。

簡単に説明すると、

●今の経済の考え方のベースになっているものは古くて現在やこれから生み出される世界には合わない。だからこそ、考え方を変えていかなければならない。
●成長し続けることに疑問も投げかけつつ、でも「脱成長」ではなく「繁栄」という表現をしている。

というような本で、今シフトすべき考え方が提示されています。(そういえば、僕も経済学部出身ですが、経済学の前提条件があまりにも狭すぎて実態と乖離していてつまらない・・・と思って1年生の夏休みから卒業までほぼ夏休みだったのを思い出しました。)

「ドーナツ経済学が世界を救う/ケイト・ラワース著」より

僕のモヤモヤしていたことが、かなり具体的に書かれていて、まだまだ消化不足だけどすごくヒントをもらいました。

その中のひとつ、経済全体の捉え方が、今僕が何を目的にして動いているのかについて示唆してくれました。

これまたかなり簡単に紹介すると、20世紀のベースは以下の考え方であり

「ドーナツ経済学が世界を救う」より

21世紀以降の世の中は、以下のようにもっともっと広く多面的にとらえて経済の事を考えなければならないと言っています。しばらくこの図をもとに綴ってみます。

21世紀の経済の全体像「ドーナツ経済学が世界を救う」

実際今の世の中、経済中心というか市場中心というか、全体から見たら一部でしかないのにもかかわらず、そこでどれだけ利益を最大化できるかに中心においている人が多いと思っています。まるで「社会」は「市場」の中にあるような感覚です。確かにこのおかけで物的には豊かになれました。

そして、この図を見たときに、僕が今情熱を傾けているのは「コモンズ」を改めて捉えなおすことであり、個人を考え直してみることで、市場や家計(≒家庭)、国家との関わりも含めて腑に落ちたのです。(ちなみに、僕はこの図のコモンズと家計が隣同士の方がいいなと思っている。)

そして、本書にはこうも書いてありました。

「コモンズー創造性の源である」

僕も体感レベルでそう思います。ある意味コワーキングiitoco!!もコミュニティ農園も「コモンズ」の側面があって、その場は創造性の源と言っていいと思っています。実際に多くのコトが起きています。これは人が人らしく生きていく上でも重要な環境だと思っています。
おそらくコモンズという感覚は、経済合理性の波に飲み込まれたというか、所有することが前提となってしまったので、切り離されてしまったように思います。でも、今だからこそつなぎなおした方がよくて、それがこれから世の中にとって僕は大切になると思っています。

・コモンズを自分たちで再定義・再形成する

ところで、コモンズとは「みんなで共有できる自然や社会の資源」の事で、この資源の利用や管理は国や市場に頼ることなく、自発的に行われるのが特徴です。

本書から引用すると「コモンズの悲劇」という言葉があるそうです。これは牧草地や漁場などを共有の資源にすると、個々の利用者に乱獲されやすく、結局みんなで使うには足りなくなってしまう、ということを表しています。確かに現代でもフリーライドする輩はたくさんいますから、そうなりますよね、とも思います。

でも、一件、正しくも思えますが、この考えは誤っていると、本書は指摘しています。うまくいっているコモンズを研究した結果、コモンズには乱獲されないように規範ができ、コモンズに所属する人が守ろうとすると。これも確かにそうで、僕自身これを意識していますし、周りを見回しても自浄作用が働いている場はうまくいっていると思います。

そして、コモンズと接している「市場」はパワフルで、特に今金融経済の影響力が恐ろしく強くなっていて、狂った時の破壊力が計り知れない。リーマンショックの時に僕はそれを痛感していて、遠い世界で起こっているはずのことが、身近な中小企業の経営までに及んだわけです。この、不意に襲ってくる、コントロール出来ない状況に本当に恐怖を覚えました。

だからこそ、僕は何があってもとりあえず死ぬことはない環境を創りたいなと思いはじめ、「豊かにいきるためのインフラ」や「半市場経済」「資本主義を活用する外の世界」と表現してきていました。そして、今回この図に対比すると、今僕のやろうとしていることは、自分なりのコモンズを創ることだと思ったのです。

そして、自然などの資源(100年先にも僕はつないでいきたい)を共有して守り、その守る人たちとともに、その周りに地縁を超えた小さな経済圏をつくり分かち合う。これが現時点での僕なりの「コモンズ」の定義です。

・超人を目指す人と共に


今年始まってすぐのころ、こんなnoteを書いていました。

ローカル複業化ラボでは、地域にとって良いことで、自分の内なる衝動(声)を大切にプロジェクトを立ち上げます。これは、超人を目指すこととイコールだと思っています。

そして、地域課題は、内なる衝動(声)が起点ではないと解決できないと、上述しました。

そして、コモンズは、与えられた尺度や他者からの評価がないと動けない人では作れないと思っています。また、お金を払えば買える、という感覚に占領された考え方の人もまたしかり。

だからこそ、僕は「超人を目指す」人と共にコモンズをつくりたい。現代は地縁を超えてつながりをつなぎなおすこともできる。同じ思いをもった人たちと共に、つくっていきたい。

これが、今年1年活動してきて見えてきた「シン・コワーキング」です。
仲間と共に地域に根差したコモンズをつくることであり、そのためのローカル複業化ラボがシン・コワーキングの中核になると思っています。

ただ、一つ。
僕は「市場」を否定していません。
今は「コモンズ」に集中していて「市場」をあまり見ていないだけであって、いずれは「市場」を見ていく事になるだろうと、付け加えておきます。それは自分自身でなのか、仲間と連携してなのか、はたまた仲間を後押しするのかはまだ分からないけど、エネルギーや資源の多くを海外に依存している日本ですから、結局のところ外貨稼げないとだめなので。この現状はしっかり受け止めつつ、やっていきたいと思っています。
要は、100年先の未来を見据えながら、バランスとって生きていきましょう!ということです。

ということで、シン・コワーキングでした。
引き続き2022も、そして2023年もどうぞよろしくお願いします。

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