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【農業複業化プロジェクトの米作り】本代掻き〜田植え

生きる基本である食に少し真剣に向き合い、米作りをベースに「生きるチカラ」を育む農業複業化プロジェクト。今回は本代掻き、田植えの様子をお送りします。

前回までの様子はこちら

◆本代掻き(代掻き2回目)

5月の上旬、1回目の代掻き(荒代掻き)から約2週間かつ田植えの直前(2日前くらい)に行うのが「本代掻き」です。

ちなみに1回目はこちら参照ください。

代掻きは田んぼに水をいれて、土を砕いて平らにしていく作業ですが、雑草対策でもあります。1回目から2週間あけることで雑草が芽を出してきます。それをこの2回目の本代搔きで一掃します。そうすることで、田植え後雑草を少なくする効果を得ることができます。特に僕たちは無農薬でやっているので除草剤は使いません。なので、手間はかかりますが、2回代掻きをすることが後々効いてきます。

ちなみに、昨年はトラブルがあり田んぼの半分の面積が1回しか代掻きができませんでした。そうしたら、そちら側だけ「ひえ」が大量発生して非常に苦労しました。

(昨年の様子)稲と生存競争中のひえ。最初は見分けがつかなかった・・・。
(昨年の様子)みんなで雑草(主にひえ)取り。最初は手で抜けたけど、成長すると抜けずに鎌で刈る。

今年は代掻きをしっかり2回できました。「検証」という意味でも楽しみです。


さて戻しますと。
昨年から継続している田んぼはトラクターで代掻きです。
農業複業化メンバーのたまちゃんがほぼ1人でやってくれました。来年は講師のイソップさんがいなくてもいけるかも!?だんだんと自立しつつあるメンバーです。

今年開拓した田んぼといえば、、、まだまだ開墾真っ只中!?
管理機のアタッチメントを代掻き用に変えてひたすら代搔きし続けます。
これで何とか田植えができそうな状態になりました。

兵庫県西宮からも助っ人が!プロGPSランナーの志水さん

◆田植え

本代掻きから二日後、いよいよ田植えです。昨年から引き続きの田んぼの方は機械を使って田植えをします。今年からメンバーになった人を中心に操作方法を教わりながら田植えをします。

快晴。気温もそれほど高くなく最高の田植え日和
機械の操作を教わって、機械植えにチャレンジ
いざ機械植えに出発

ちなみに田植え機は一つしかないので、一人しかできません。機械植えだとどうしてもしっかり植えられない箇所ができてしまうのでその部分を手で植えなおしたり、苗の植わっていたケースを用水路で洗ったり、行って帰ってきた機械に苗を補充したり、畔に座りながら景色を眺めつつ内省したり、ほかのメンバーと雑談したり。実は充実した時間だったりもします。

植えなおし
大量にでます
地味に大変な作業です
行って帰ってきた機械に苗の補充


そして、今年からスタートした田んぼは、手植えで実施しました。
田んぼの水を前日抜いて、こうやって縦の線を引き(僕らは株間30センチ幅)それに沿って田植えをします。

早朝からメンバーのさかもっちが線を引いてくれた。

横の線はというと、ロープを引っ張り、それを目印に苗を植えてきます。

ロープを横に張り植えるごとに30センチ進む。これを目印に苗を植える。

なぜ、均等な間隔で植えるかといえば、田植え後の除草や稲刈りをしやすくするためです。全ての工程が後工程に繋がっていきます。


さて、手植えのこちらは、メンバーの友人などたくさんの助っ人が来てくれて、午前中で作業を終えることができました。

首都圏中心にゲストが来てくれました。
今後もぜひ遊びに来てくださいね!
田植え終了
先に帰ってしまった人もいるけど最後は集合写真で。

ランチを挟んで機械植えの田んぼも無事作業終了。米作り前半戦の1番の盛り上がりポイント完了です。

なんか、今年はここまでがとても長かったと感じます。メンバーの皆さん、そしてゲストの皆さんお疲れ様でした&ありがとうございました!

◆風景は誰かが造ってくれているという、あたりまえ

農業複業化プロジェクト、初年度であった昨年は畦づくりからスタートしたわけですが、今年は苗づくりからスタートしました。苗を育ててから田植えまで、本当に気を遣うし、なんだか田植えが終わるまでが昨年よりもずっとずっと長く感じました。これは単純に昨年よりも1か月関わる期間が長かったということもあるでしょうが、僕らが昨年1年間稲作をやってみてその大変さを体感したからという理由の方が大きい気がしています。

話は変わりますが、僕の好きな季節は5月~7月。田んぼに水が入って美しい水鏡の5月、田植えが行われる5月下旬~6月初旬、そして稲がグングン成長して風になびく7月。とっても美しい時期です。この景色が好きな人、癒される人はきっと多いと思っています。

でも、この風景ってこうやって作ってくれる人がいるからなんだなと、心の底から思います。やってみると本当に大変だから、当たり前にあると思っていた景色は全く当たり前じゃなかったんだと、すごく当たり前のことに改めて気づくことになりました。

令和4年3月の第二次佐久市農業振興ビジョン(改訂版)によれば、佐久市の農業従事者の平均年齢は70.9歳。田・畑合わせた農地84.85k㎡のうち22.05k㎡は耕作をしていません(約26%は耕作していない)。そして、農業従事者数は前回調査H27 には3,982人だったものが、今回R2年は2,786人、つまり約1200人減ってます。そのR2従事している2,786人のうち70歳以上は1,741人、約63%が70歳以上なわけです。農業の効率化、大規模農園化も進んでそうな数値は出ていますが、佐久市においてはカバーできていません。そして、今年の肥料の高騰や供給不足が、離農へさらに追い打ちをかけてしまうんじゃないかとも感じています。

特に僕らの拠点は中山間地域。田圃も真四角じゃなくていびつ。農業するには効率がとても悪い。だから、休耕地も多くて放置していれば(既に一部なってきてしまっているけど)太陽光パネルだらけになってしまうでしょう。太陽光パネルを否定するわけじゃないけど、少し先の世代のことを考えたら、やっぱり今みたいな太陽光パネルの設置には疑問を感じてしまいます。(地主さんにも諸事情あるでしょうから、否定はしてないと、もう一度言っておきます)

ということで、本当に微力かもだけど、農業複業化プロジェクトで農に関わる比較的若い世代が増えて、食べ物をつくることももちろんですが、この素晴らしい景観を維持していくことが少しでもできたら、と今回改めて思った次第です。実現するには、複業化が一番良いと思っています。

田植えの傍ら、泥遊びをする子供たち

以上、本代掻き~田植えのレポートでした。
次回は、この歪で農業的には非効率な農地に新たな価値を付加してくれる可能性がある[ヒエトリート]についてお届けします。


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