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[第17節_富山vs信州] ‐マブンガ不在。相性問題と戦う富山-[21/1/23,24]

第17節。富山vs信州の試合はGAME1を68-86で信州が。GAME2を89-80で富山が取り、1勝1敗の痛み分けとなった。

GAME1では富山は18点差で信州に負けてしまう。
この前日、とある記事で "マブンガ次第のチーム" と言われていた富山だが、マブンガが欠場した試合であることも相まってこの試合の結果はそのような絵面となってしまった。
とはいえ、この結果を "マブンガが欠場したから勝率3割台のチームにも負けた" といった解釈をするのは待ってほしい。

そもそも富山は信州に対して相性が悪いのだ。

バスケットボールには単純に勝率で結果を予測できない"相性問題"が多く発生する。
昨シーズン。勝率3割台だった富山が勝率8割台の川崎に32点差で大勝する事があるように、信州と富山にもこういった"相性問題"が存在する。

しかしGAME2。富山はその "相性問題" に対応していく。
今回の記事ではこの"相性問題"と、それと戦う富山の様子を解説していきたい。

【GAME1-OF】
考えすぎてしまい、68得点と低迷

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前回の島根戦番外編の記事でも触れたとおり、富山はペイントエリアへ時間差でアタックする独自のオフェンスを作り上げようとしている。

しかし、この日はスミスのDF面の負債をスミスのOFによって取り返そうという固着も相まってか、このオフェンスに過剰に偏っていた。

それによって日本人選手達の仕掛けは目に見えて少なくなり、スリーポイントシュート試投数が平均22.9本を大きく下回る16本に留まった。

さらにその影響はIP(制限区域内)のシュートへも影響していく。


DFが広がらない中でのIPのシュートは条件の悪いものが多くなり、平均で35.7本打ち22.0本決める富山のIPが、この日は35本中16本と低迷した。

それでも3Q中盤まで我慢し、一桁点差で耐えていたものの、間の悪いタイミングで審判の予想外のジャッジに苛まれ、一気に15点近いセーフティリードを許してしまった。


ところで、考えすぎて得点が伸びなかった試合といえば12節の宇都宮戦が思い浮かぶ。

あの時も宇都宮相手にファールドローンを狙ったインサイドメインのオフェンスで得点が63点に留まり、大差がついた。

そしてあの日はマブンガ選手もいた。

故に得点が68得点に留まった原因はマブンガ選手の不在ではなく、富山が考えすぎてしまったことが原因であるといえる。

【GAME1-DF】
信州の攻撃スタイルと相性問題

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ディフェンス面では信州の3ポイントライン上でピック&ポップやハンドオフを繰り返すオフェンスに翻弄され、3Qまでで27本のスリーを打たれ、13本を決められて早々に試合を決められてしまった。

信州・富山の相性問題が色濃く表れるのがこの部分である。

信州は2Pと1on1を極力避け、スミス選手の所を絡めたピック&ロールを繰り返し、3P主体で攻撃するスタイル。

対する富山だが、ソロモン選手やスミス選手、橋本選手らはペイント内のDFには優れるものの、アウトサイドのDFになるとシュートチェックやドライブへの対応が苦手だ。
同じく、松脇選手や宇都選手も1on1ディフェンスには優れるが、ピック&ロールを絡められると失点が増える傾向がある。

さらにこの相性問題はマブンガ不在によってより大きくなる。

フィジカルとサイズがあり、ある程度アウトサイドのディフェンスもできるマブンガ選手がいれば、ピック&ロールに対して最悪スイッチで凌げるケースがいくつかあった。
宇都選手がマクヘンリー選手に1on1でねじ込まれるケースも減らせた可能性が高い。

さらにマブンガ欠場はこのマブンガ選手のDFが無くなるだけでなく、相性の特に悪いスミス選手を常にコートに出さなければならないということでもある。

故に今回マブンガ不在の影響が大きかったのはどちらかというとこのディフェンス面にあるといえる。

しかしここで勘違いしないで欲しいのは、3人の外国籍ビッグマンのうち、機動力のあるPFが一人欠ければこの影響は少なからず多くのチームに起こりうるということだ。

例えば名古屋のレオ選手。宇都宮・渋谷のライアン選手が欠場したとしたら、こういったアウトサイド主体で攻撃してくるチームには少なからず失点が多くなるはずである。

故にディフェンス面においても"DFがマブンガに依存している"というよりは、"信州のようなチームとの対戦においてはマブンガ欠場の影響は比較的大きい" というのが真実に近い解釈だろう。

【GAME2-前半】
松脇、前田が積極的に仕掛ける

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GAME2の第1Q。
GAME1とは打って変わり、この日は前田選手と松脇選手が積極的に仕掛けていく。
それらはスミス選手のポストアップからの展開など、IP(制限区域内)でのオプションにこだわったものではなく、彼らが自らアウトサイドで仕掛けるものだった。

その結果、前半だけで前田選手がFG4/6で11得点。松脇選手がFG3/5で8得点を記録。
さらにGAME1では5本成功に留まったスリーポイントも、この2人が1Qだけで2/3ずつ沈め、早くもチームで4本を決める。

この影響によって信州は簡単にインサイドへ絞れなくなるとスミス選手のシュートも効果的に決まり、FG3/4、FT6/8と高確率で得点を重ね、前半だけで12得点を記録していく。

富山は例の"時間差ペイントアタック"に頼らずともシンプルに各々が強い。アウトサイドとウイングがお互いの1on1で共に活かし合うオフェンスにより、前半だけで48得点を記録した。

しかし大量失点を許した信州も得点面では引き下がらなかった。
ホーキンソン選手がGAME1でつけた自信をそのままにこの日も強気でスリーを放っていく。
まるで名古屋Dの狩野選手のようなクイックのキャッチ&スリーを決めると今度はドライブまで決める活躍。なんと2Qだけで13得点を記録した。

さらにこの活躍は、マッチアップであるソロモン選手への精神的なストレスにもなり、彼を前半で2ファール、3得点と沈黙させることに繋がった。

これによって富山がセーフティリードを奪いそうな展開だったにも関わらず、信州は前半を48-43の5点差で凌いだ。

【GAME2-3Q】
7分間で3-4!? 両者が停滞した理由

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ハイペースだった前半とは打って変わり、3Qはなんと7分間で富山は3得点、信州は4得点というロースコアな展開になる。

しかし、それは両者が相手のオフェンスに対応した結果である。

そして残りの3分という僅かな時間で、お互いに相手のDFを攻略し、富山は8得点、信州は14得点とスコアが動いていく。

この時間帯に両者に何が起こっていたのか?
それぞれ順番に解説していく。


・富山を7分3得点に抑えた信州側のDF

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