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[第22節_富山vs大阪] ‐ ニュービルの世界と大阪に勝つ難しさ -[21/2/13,14]

※サムネの数字はGAME1のスタッツ

第22節。富山対大阪の試合は113-101、88-83で大阪が2連勝した。
富山は痛い2連敗となったが、最後まで喰らいついていた。
そして、それ以上に大阪は16敗していることが不思議なくらいに強いチームだった。

今回の記事では主に、
・富山に起こっていたエラー
・大阪の強さ
・この2試合に見られたポジティブな要素
について解説していく。


【GAME1】

24  1Q  30
31  2Q  31
26  3Q  26
 20  4Q  26 
  富山 101   F   113  大阪 

富山に起こっていたDFのエラー

名称未設定-2_アートボード 1

この日の序盤、富山にエナジーが足りないプレーが数回起こった。

最初のディフェンスで大阪がミスショットをし、そのボールの落下点近くにはスミス選手と宇都選手がいた。
対し、大阪は4人がバックコートに戻り、オフェンスリバウンドに絡んだのは身長176cmの中村選手一人だった。
彼のスクリーンアウトを怠り、勿体ない2点を献上してしまう。

続くオフェンスではマブンガ選手のポストフィードへのパスをカットされ、速攻崩れからのP&Rでスリーを決められた。

さらに第1クォーターの残り6秒に伊藤選手にシュートを決められると、その後のスローインを速やかに行わず、シュートを狙わなかった。

勿体ないプレーがしばしば見られたが、とはいえ、この日の富山のミスがすべてがこういった精神的なものというわけではない。

実は選手間で戦術的なDFエラーも起こっていたのである。

例えば、1Q5:29のドンリー選手のベースラインドライブからのダンク。
これは前田選手が一発で抜かれてしまい、3戦のカバーが間に合わなかったプレーだが、そもそもどうしてDFの悪くない前田選手が抜かれたのかについて説明したい。

ボールはトップの中村選手が保持しており、ハイポストへアイラ選手がフラッシュをした。このハイポストに出されるであろうパスをコーナーの前田選手は狙ったのだ。

しかし中村はこれがしっかりと見えており、前田が空けたコーナーのドンリー選手へパスを差し込んだ。

これに前田が慌ててクローズアウトし、そのカウンタードライブで抜かれてしまっというわけだ。
(DFはクローズアウトシチュエーションのようなOFへ間合いを詰める瞬間が最も無防備である)

しかし、これは一概に前田選手が悪いとは言い切れない。

例えば中村選手のDFをする宇都選手がプレッシャーをかけ、コーナーへのパスコースの視野を潰していれば前田の狙いはスティールに繋がって成功していたかもしれないし、このカウンタードライブが予定通りで富山の3線のブロックが間に合っていればそれもDF成功となっていたはずである。

しかし、そうならなかった。
DFは誰かがサボっていたわけではないし、誰がDFを間違えたのかは筆者にもわからないが、少なくとも富山の1線・2線・3線で統制が取れていなかったという事だけは間違いない。

東京戦のDFからもわかるようにDFとは"リレー"のような共同作業である。
故に、たとえ各々が頑張っていても頑張り方が一致しなければそれらのバトンは1つに繋がらないのである。

こういったミスはこのドンリーのダンク以外の場面でも多く見られた。

誰かがサボっていたならば、それはその個人の修正1つで済む。
しかしそれに比べるとこの修正は難しく、さらに各々が頑張ったにも関わらずあっけなく失点につながるため、ストレスになりやすいのである。(体験談)

このミスが頻発したことにより、富山は1Qの後半6分間に23失点をするなど、前半だけで61失点することになる。

大阪のOFを止められなかったもう一つの理由

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しかし、実は富山はP&Rディフェンスに関してはエラーはなかった。

1Qも2Qも最初の4分間だけを切り取ればわずか7失点と8失点に抑えており、これは75失点のペースだ。
故に平均90得点の富山としては合格点の失点ペースである。

この時間帯のラリーでは、信州・東京に適応した富山のP&Rディフェンスは大阪に対しても決まっていた。

ではその他の時間帯で何が起こっていたのか?
これについて解説していきたい。

・富山のP&Rディフェンスを弱体化させる大阪の工夫

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