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私は、ニューヨーカー

私の名前は、Masae (正恵)aka Cathy

Masaeは、自然と青色豊かな日本で一番大きな湖のある滋賀県で生まれ育った。そして17年前、公私共に、順風満帆の絶頂の頃、キャリアも婚約者も全て捨て、ニューヨークシティーに夢を追いかけ単身渡米。


かつては、日本人女性であること、自分の名前が好きではなかった。Masaeという名前は古風で、深い海の青色の響きを持つ。これは、色彩心理美容研究家である私が学んできた色彩言語では、信頼と責任を表す色。


Masaeという名前は日本でも珍しく、よくMasayo「雅代」や Masako「政子」と間違えられる。これらは日本で昔人気だった古風な名だ。


Masaeのご先祖様は膳所藩の武士の家系。27代目、長女に産まれる。滋賀県の近江商人、田舎の旧家となれば、特に保守的で伝統を重んじる。
 正は、父方の祖父 ”正巳”より。恵は、母方の祖父の名前、”恵三”の戦時中生き残った、奇跡を体験した両方の祖父の漢字を授かる。


名前に宿った魔法か。

この名前はいつも私の楽しいエネルギーをブロックしている様に感じて生きてきた。
 ところが、20歳の頃「キャシー」というニックネームが誕生。多くのアジア人がアメリカで独自の名前よりも発音しやすいアメリカ名を使って暮らしているが、’キャシー”は、アメリカ名ではない。ニューヨークに渡米する、ずっとその前からそう呼ばれてきたのだから。


 京都の古着屋で見つけた、お気に入りの赤いレザージャケットのタグには「キャサリン」と書かれていた。そこから名前を拝借。「キャシー」それは太陽を表す黄色のような音で、明るくてユニーク。
心が軽くなる気持ちいい響きを持つ。



ニューヨークに移住することはMasaeの長年の夢。海外に憧れ、国際的な名前を求めていた当時、髪はブロンド、70年代のボヘミアンスタイルの服装がトレードマーク。私のアイドルはツイッギーやブリジット・バルドーで、個性的でポップなファッションが私を魅了した。


「Hi!My name is Cathy!」
ニューヨークシティーのアッパーイーストのサロンは、カラフルな人種が共存。働き始めると、奇妙な体験が待っていた。
「What's your real name!? Why do you call yourself Cathy?」
そして決まって、こう言われた。
本当の名前を尋問され、そして、なぜ ”キャシー”をアメリカ名にしたんだと責め立てる。


100発100中。
ニューヨーカー達は、”キャシー”という名は、アメリカンネームだと思って疑わない。
ニューヨーカーたちは、決まってこう言う。
「あなたの本当の名前はもっとオリジナルで美しい!」
「なぜキャシーと名のるの?」



彼らの言っている意味が全く理解できない。
最初のアメリカ人ボーイフレンドに、学んだ事。それは、アメリカでは「キャシー」は日本人が、想像していたイメージではないということだ。人々は有名なアメリカの漫画のキャラクター「キャシー」を思い浮かべていた。そのキャラクターは私が表現したかったイメージとは全くの正反対。



Masaeの名前は「祝福」と「恵」。ニューヨークシティーに住んで5年以上が経過する頃、Masaeは、自分の本当の名前を好きになり始めていた。
 今日では、自分が日本人女性である事を誇りに思う。ニューヨーカーは多様なルーツを誇りに思う人種。このコンクリートジャングルのど真ん中、全力でもがき、生きた経験が、私をニューヨーカーにした。

私は、ニューヨーカーより(第一話)

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