致知の感想シリーズ。
今号の特集は、覚悟を決める。致知らしいテーマである。
総リード 覚悟を決める
「禅海一瀾講話」から引用し、仏教の教えを凝縮すると「覚」の一語に尽きるという話から始まる。
「覚」とは気づくということであるという。
そして、今年お亡くなりになった、タビオ会長・越智直正氏の運命を拓いた二つの覚悟を紹介する。
今号では、多くの方の覚悟の決め方に触れられている。
一日一生と心に決め、その時、その場でなすべきことをなす。自責の姿勢で自分を信じるなどが共通する点であろう。
その中でも、特に心に刺さった二つの記事について書いていきたい。
その前に、巻頭リードの最後、これも心に刻み込みたい言葉である。
対談 松尾芭蕉の歩いた道
禅の立場から芭蕉を探求、今年卒寿を迎えた東洋思想家・境野勝悟氏と能楽という視点で芭蕉の本質を追求してきた能楽師・安田登氏の対談。
芭蕉の句が多く紹介されるが、「古池や蛙飛こむ水のをと」から始まる。
境野氏は、この句の鈴木大拙氏の解説を紹介する。
人生は、一瞬。一瞬だからこそそれをどう捉え、何をやるのか?自分自身の心意気が問われる。お二人のコロナの時期を前向きに捉える捉え方にも共感を持てる。
安田氏はこう言う。
一瞬の人生なればこそ、自分では変えられない環境の中でどうそれに適応し、その中で何ができるか。大切にしたい視点である。
そして、2人の対談は、芭蕉の句を数多く紹介しながら、芭蕉の時世の句に対する考え方におよぶ。
境野氏は、こう言う。
そして、今回の特集テーマ「覚悟を決める」についてこう言って、対談を終える。
人生は一瞬、あるがままに自分のなすべきことをなす。その結果は、どうなってもいいのではないか。そんなことを考えた。
「人生万事事因己」経営者である私の信条
タニタ創業家の3代目社長を務める谷田千里氏へのインタビュー記事。
タニタを世界初の体脂肪計を開発・販売する、健康を「はかる企業」から、「タニタ食堂」「タニタ健康プログラム」など、健康を「つくる企業」への変革してきた、谷田氏のお話を興味深く読んだ。
父である2代目社長からこうアドバイスを受けたという。
稲盛和夫氏も、「動機善なりや、私心なかりしか」と言っている。多くの名経営者が同じような趣旨のことを言っている。仕事をする上でも、人として生きていく上でも大切な真実なのだろう。
また、谷田氏が、人生において大切だという2つのポイントもなるほどなと思う。
タニタ食堂やタニタ健康プログラムは議論ではなく実践が先で生まれたという。
そして覚悟についてこう言う。
人生、すべて自己責任というと、少し退いてしまうかもしれない。
人間、すべて自分で決められるわけではない。それを前提に、与えられた環境の中でどう振る舞うかこそ自分の責任ではないだろうか。
一日一日どう振る舞うか。またやりたいことなどどれだけ実行できるか。
今号からもたくさんの学びを得た。