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【読書メーターまとめ】2022年12月に読んだ本

 今年から、1冊ごとの読書録に加えて、読書メーターで記録している「読んだ本」を自分自身の振り返りも兼ねて、毎月紹介していくことにしたい。今回は、2022年12月に読んだ本。

2022年12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2415ページ

 先月、読んだ落合陽一さんの「忘れる読書」つながりで、「風姿花伝」の入門書に手を出したり、10月からお茶を習い始めたのを機に、お茶関係の本に手を出したり、前から読もうと思っていた本にようやく手をつけたり様々である。 

 以下は、読書メーターに記載した感想から。そして最後に一カ月の読書を振り返ってみたい。

■サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

読了日:12月04日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

ホモ・サピエンスが食物連鎖の頂点に立つ理由として、「虚構」を築いたことを上げる。「虚構」を築く言語能力につき、現実から虚構を表現するに到るプロセスに人々の噂話があるというのは面白い。噂話は、人間の原始的なものだった。豊かな狩猟社会から貧しい農耕社会への移行というのも興味深い。農業革命は、過酷な生活を人類に強いたという。複雑になる人間社会を支える虚構。数字が大規模な人を管理する重要なツールになり、「文化」で多くの人々が協力できるように。とはいえ、後戻りはできない。弱い人間には、集団の協力が必要なのだ。

■NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝

読了日:12月04日 著者:土屋 惠一郎

「マーケットを生き抜く戦略論」として、風姿花伝を論ずる。芸事として流行り廃りを生き抜くための流儀。年齢に応じて、「初心」が異なること、特に24-5歳の頃のポッと出のただ珍しいだけの花を真実の花と勘違いするなという教えや、上がるは三十四五までの頃、下がるは四十以来なり。という教え、更には、父・観阿弥の能を例にして、年をとった役者にのみ許され自由の境地を論じるのも面白い。また「住する所なきを、まづ花と知るべし」(一つの場所に安住しないことが大事である)というのが良い、安住しては花・珍しさは無くなるのである。

■半歩先を読む思考法

読了日:12月09日 著者:落合陽一

著者は言う。「わざと分かりにくく喋っている」と言われるたびに、「分かりにくいもの」は「分かりにくいものです、考えるところから一緒にやりましょう」とちゃんと伝えることの大切さを感じる、と。うーん、正直難しかった。しかし著者の言葉の使い方は好き。例えば「私は私でなく私でなくもない:変わり続けることを変えず、作り続けることをやめない」等。ウィズコロナを「マス」が動けない社会とし、ファーストクラスとリビングとに分類するのも面白い。「常に新しい方向へ向かないと飽きる。一周したトピックスを捨てよ」という姿勢にも共感。

■取材・執筆・推敲 書く人の教科書

読了日:12月10日 著者:古賀 史健

プロフェショナリズムに基づくライターへの応援歌のように感じた。ライターとはコンテンツをつくる人であるとする。取材は、読むことから始まるという。能動的に読む(観察・推論・仮説)、乱読、読書体力の部分は参考になる。聴く際には評価しないことが重要であるというのが良かった。執筆パートでは、本の価値は情報量ではなく正真正銘の没頭を伴う一晩の体験というのが良い。推敲パートが一番良い。推敲=自分への取材、音読・異読・ペン読。推敲は原稿からわたしが消えた時に終わるなど。書かない人にとっても読書好きなら没頭して読める良書。

■日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

読了日:12月13日 著者:森下 典子

10月から週1回、茶道を習い始める。お菓子のおいしさ、新しい事を覚える楽しさ、花や軸から感じる季節感など毎回楽しみだ。著者は言う。「厳格な約束事に縛られた中に、個人のあるがままを受け容れる自由がある」「雨の日は、雨を聴く。雪の日は雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。どんな日も、その日を思う存分味わう。お茶とは、そういう「生き方」なのだ。」「気づくこと。一生涯、自分の成長に気づき続けること。」そんな心境になりたい。将来、もしお茶をやめたくなった時には、本書に戻ってこよう。

■新 失敗学 正解をつくる技術

読了日:12月14日 著者:畑村 洋太郎

現在を価値観が多様化し、正解がいくつもある時代とし、正解をつくる技術が必要とする。正解をつくるとは、自分で考え実行する中で得らえるもの、言い換えると、仮説と検証を繰り返し研ぎ澄まされるものであるという。実行しないとわからないことがあるとし、また仮説を組み立てるには、現地・現物・現人で立体的に物事を捉えることが重要であるとする。福島原発事故で非常用発電機が地下にあった理由を、米州では竜巻が一番のリスクの為、地下にしたのを取り入れたという指摘は率直に驚いた。「なんのためにやるのか?」という問いは本当に重要。

■戦略の本質: 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ


読了日:12月21日 著者:野中 郁次郎

逆転勝利を引き寄せる「戦略の本質」とは何かについて、6つの戦史から導き出す。戦史の戦略を技術/戦術/作戦戦略/軍事戦略/大戦略の5つのレベルで分析しているのはわかりやすい。戦略の本質を10の命題で上げていくが、根本には本質洞察ができる賢慮型リーダーの存在があるとする。「戦略の本質は、存在を賭けた「義」の実現に向けて、コンテクストに応じた知的パフォーマンスを演ずる、自律分散的な賢慮型リーダーシップの体系を創造することである。」と結論づける。他、クラウゼヴィッツの「摩擦」、マクラマラの反省などが興味深かった。

■檀ふみの茶の湯はじめ

読了日:12月23日 著者:檀 ふみ

檀さんの軽快な文章とお茶の本質に触れた内容に惹かれる。お茶=日本文化の総合芸術と再認識。奥深い。大徳寺の泉田宗健老師と坐忘斎千宗室家元の章が最も印象的。泉田老師「お茶の動きは、合理的な、一番自然に近い動きだと思うんですね。だからそれはもう、美しく見えるに決まっているの」。千宗室家元の必要な無駄と不必要な無駄の話や千宗旦の「茶の湯とは、心に伝え、目に伝え、耳に伝えて一筆もなし」を引用しての五感で学びなさいとという話など。家元の教えるときに「昔からこう決まっていますから」と言わないという心掛けに覚悟を感じた。

■サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

読了日:12月29日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

科学と帝国と資本の正のフィードバックループが過去500年にわたり歴史を動かす最大のエンジンという指摘は、目から鱗。成長するパイが大きくなるという事が自然なものでなくこれすらフィクションという。また家族・コミュニティの崩壊により国家・市場の力が増大しその背景に個人主義という思想があるともいう。うならされる。物事を俯瞰して見る、関連付けてみるというのはまさにこういうことかと感嘆。現状は必然ではなくこれからもいくつもの選択肢があるのだ。著者が私より年下であることに驚き。また訳者あとがきがよく纏まっていてお薦め。

最後に:1か月の読書を振り返って

 こうやって改めて1か月の読書を振り返ってみると面白い。
お茶は、10月から習い始めたところであるが、実体験と読書が融合して、ますます深めたくなってきた。今月は初めての茶会に参加する。楽しみである。

 野中郁次郎さんの本も以前、noteで取り上げてから今後もっと読んでいきたいと思っていたが、「戦略の本質」へ。これからも他を読んでいきたい。

落合陽一さんの「忘れる読書」からもまだまだ読んでみたい本が多い。 

その他、書く人の教科書やサピエンス全史など、印象深い本が多かった。
本当、こうやって振り返るもの良いものである。






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