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スーダン

エジプトのカイロからケニアのナイロビまで、目的地が同じだったのでセイジくん(関西マッチョ)と大ちゃん(ブルガリアであった大学生)の男3人で移動することになります。黒人乗車率200パーセントの船で、隣の国スーダンに到着。「冷凍マグロも一緒に詰め込んでるの?」と思うほど、船の中は極寒でした。

スーダンに到着するとラマダン(イスラム教徒の義務の一つで、1ヶ月間ほど日の出から日没まで飲食を絶つこと)なので、昼間、地元民はお腹が空いていてピリピリしています。けれど、日没からはみんな一斉に食べ始めるので、普段よりも食べ物の売れ行きがいいらしいです。

バスの移動中、黒人に「お前が悪いんやろ!」と、関西弁で怒りだしたセイジくん。なんでも、隣の黒人がセイジくんに「チーノ!チーノ!」と、ふざけた態度をとってくるようです。正直、頭にはくるけどこんなことには、だいぶ慣れてきました。

でも曲がったことが嫌いなセイジくんは、黒人と今にも殴り合いになりそうです。大ちゃんに「どうする?止める?」と、聞くと「でも、人の喧嘩って滅多に見れないしな」というので「それもそうだね」と、2人の喧嘩を温かく見守っていました。すると周りの黒人が懸命に止めて、2人の席を替えていました。他力本願も悪くありません。

しばらくすると、僕の隣のおじさんから、汚い便所の臭いがしてきました。気のせいかなと思っていたけど、どう考えても風にフワフワのって、香りが僕に突き刺さってきます。よく見ると、隣のおじさんはトイレに行くのが面倒らしく、金魚すくいで金魚をいれるような袋に自分の小便をいれて、そのまま自分のモノにくくりつけてました。

汚いバスで走り出し、行き先も不安だったけど、小便臭いという動機で人に殺意を抱いた24の夜でした。

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