見出し画像

Tajine Gamberi… アルゼンチン赤エビによるモロッコタジン風

モロッコにはバンドのツアーで一度行ったきりなのだが、なかなか面白い経験(苦労も)をしたし美味いものを食った。アラビア語もフランス語もできないので直感で仕組みを推測して東京の自宅でアレンジして再現したのだが、そいつがなかなか美味いのでご紹介。実は、タジンも持ってないので...妻の実家がある岩手県で購入して愛用している南部鉄器のフライパン使用。モロッコで食ったou見かけたエビは何種類かあったし、大概、殻を剥かれて調理されていたが、エビ出汁に貪欲な日本人としては殻付き調理を勧めたい。最近スーパーでよくアルゼンチン赤エビというパタゴニアのエビが売られているが手頃で美味いのでそれを使うけど、どのエビでも美味いでしょう。

【材料(二人分)】
・アルゼンチン赤エビ
...10尾くらい
・塩...適量
・白ワイン...適量
・オリーブオイル...適量
・にんにく...一片
・レモン...半分
・クミンパウダー...適量
・香菜...適量
【手順】
①フライパンにオリーブオイルをひき刻んだニンニクを入れ熱し香りを出す
②ざっと洗い水気を切ったエビを並べ塩とクミンパウダーをふり軽く焼く
③少々の白ワインをふりかけしっかり蓋をして弱〜中火で3〜4分蒸す
④香菜を散らし、レモンを絞り、食べる

超簡単です。もちろんイモやタマネギあたりを一緒に蒸しても美味いし、グリーンオリーブなんかを入れても気分が出る。モロッコのオリーブやオリーブオイルも美味しかったな〜。香菜でなくてディルを散らしても美味しい。モロッコはレモンがたくさんあってクミンの風味とよく合うんだよな...塩とレモンと蒸した魚介や肉や野菜の濃厚な出汁がタジンの中で合わさって...そこにお好みの調合の香草やスパイスが香りをつける、そのスープを吸ったイモとかクスクスをモリモリ食べる...てイメージ。まあ、俺が数日間の滞在で食った範囲での話ですが!

もちろん白ワインや軽いビールと最高に合います。

画像7

モロッコの町の食堂には軒先にタジンが並べられていい匂い。

画像5

画像6

これは豆と野菜のタジン。すっげえ美味いけど、やっぱり酒頼もうとすると嫌な顔はされるんだよな〜イスラム圏ではかなりユルい国だと思うけど。

..........

レモンやオレンジなどの柑橘類、オリーブも凄く美味かったけど、モロッコではメロンとかスイカとかがすっごく甘くて身が詰まってる感じがして美味かったな...

画像1

画像2

俺は世界の辺境(失礼)で働く日本車を見るのがシミジミ好きです。手頃で扱いやすく、壊れにくい。独自路線を貫いた、タフで誠実な生き様じゃないの。

画像3

可愛い模様のメロン。

モロッコにはアガディールというちょっとしたリゾート地があって、そこで開催されるFestival Timitarという大きな音楽フェスティバルに出演するため訪れた。あの時はガーナ→モロッコ→ポルトガルと象牙海岸〜サハラ〜ジブラルタルを跨ぐツアーだった。その時の様子がベルギーの仏語圏のメディアに取り上げられている。

画像8

画像9

市街地で行われるメインステージの一つはこんな感じなんだけども、実はプレ・フェスティバル的に出番直前にアガディール周辺の田舎のお祭りなどに宣伝のため出演アーティストが派遣されたりする。この経験が実に印象深かった。

まず、ミュージシャンは事前に出演するフェスの担当者にステージのテクニカル図面を送るのが常識だ。これ我々がステージ上で必要とするエキップメントやマイクや電源の数などを詳細に記した図面で非常に大切なもの。

俺は零細独立系ミュージシャンなのでこれを自分で作成して送るのだが、モロッコの場合は五回も図面を送った。五回である。なぜ五回もステージテクを送ったかといえば、「紛失してしまった」「担当が変わった」など、その他の理由で何度も図面を求められたから。海外との交渉ではこういうことが多いのでうちのバンドではあらかじめwebsiteからステージテクホスピタリティライダーなどは勝手にDL可能になっている。しかしそれでも不安なので先方から求められる度にそれを送っておいた。田舎の祭のステージに出る、と聞いた時も図面を送って現場のエキップメントを確認してくれるように再三頼んであった。

さて、果たして...メインステージ出演の2日前。アガディール市街から車で一時間強。村の名前も忘れてしまたけど、夜のモロッコの農村地帯に着くと...

こんな感じの会場。入場すると、この地方でAhwashと呼ばれているベルベル人音楽の洗礼。そしてステージ上ではこれでもかとリバーブ深めで小規模編成のアンダルシア音楽が演奏されている。なんか、最高に楽しいな。でも二つの楽団がこの至近距離で同時に演奏することなくない?...あれ?でも...俺たちもあのステージで演奏するんだよな...それにしては...

この時点で、少し嫌な予感はしたのだ。そしてそれは的中する。

「素敵な会場だね。ところで俺たちの使うドラムセットと、アンプ類はどこにあるの?」

英語通訳のボランティアをやってくれている地元の女子大生に地元のお偉いさん方に質問してもらったところ。

「太鼓が必要ってことで話はつけておいたよ。ステージの(アンダルシアン)バンドの太鼓、どれでも自由に使ってくれ。ギターに電気が必要ならステージ脇でミキサーをいじってる業者に聞いてみてくれ」

コレである。みなさん、ドラムセットとか、ギターアンプやベースアンプとか、なんにも知らないんである。マジかよ。

見知らぬ国の言葉の通じない田舎で演奏に来てみたら、それができる環境がない。バンドメンバーも楽観派のギタリストなどはニタニタ喜んでいるが、神経質なバイオリニストなどは明らかにイラつき始めている。何より、エレキベーシストの俺はほとんどやることないし...ドラマーに至っては...アラブパーカッションしかない状態で一体何ができるのか。

断ろう。これでは話が違う。パフォーマンスはできない、とキッパリ断って帰ろう。バンマスとして。そう思った矢先、村の村長が満面の笑みで現れた。

「ようこそ我が村へお越しくださいました!日本の音楽家を迎えるなんて、村始まって以来のことです!感謝の気持ちとして、今日はちょっとしたセレモニーを企画しているんです。記念品の贈呈も予定しています!」(意訳)

大喜びの村長の傍らには村の若い女の子や子供達が集まって、今日の催しを本当に楽しみにしている様子でキャッキャと盛り上がっている。

...俺は、断れなんだ。俺は、"空気"を読んだ。俺はこの辺りやはりジャパニーズなんやろか。
何かやろう。もう何だっていい。あるもので何かやってやろう。だってみんなこんなに楽しみにしてるんだもの。俺たちだって芸人の端くれだ。

幸い、俺は自分のサステインの長いブラジル太鼓は持って来ていた。これをベースがわりに使おう。会場の小さなミキサー卓は箏(改造してエレキ化してある)とカバキーニョ(ブラジルのウクレレサイズの弦楽器)とエレキバイオリンを直でぶっ刺せば音は出る。そうすればボーカル用のマイク回線も一つ余る。ドラムは...沢山ある未知のアラブパーカッションで工夫してくれ!同じ太鼓だ!何とかなる!頼むよみんな!やろうよ!

かくして、我々はステージに立ち、小一時間のパフォーマンスを敢行したのだった。

...スッタフなど連れて行ける身分でなし、本番の演奏の映像など無いのが非常に残念だが、とにかくアラブ〜ベルベル音楽にありがちな鍾乳洞のように深〜いエコーリバーブの中で、我々はステージをやりきったのだった。わりとウケたんじゃないかな。そうだと思う。そう信じる。

現場で要求されたのか、自分たちで自主的に始めたのかは覚えていないが、最終的には何故か俺はステージを降りて盆踊りのレクチャーを始めていた。(俺は何故か規模の大小問わず世界各地でブラジル音楽と盆踊りのレクチャーを行うことが多い。他の国での盆踊りと太鼓ネタはまた書きます)

モクモク煙ってるのはボヤとかではなく、ステージのおじさんが興奮して炊いたスモーク。バンドメンバー、即興で炭坑節演ってくれてありがとう。そしてその後は...

Ahwashの芸人さんたちも出てきて、踊る。

YUKATAのGEISHA(うちのバンドのボーカルは元・向島の芸者でもあるんです)がAhwashで村のおじさんとクルクル踊る。イスラーム圏なのでおじさんも彼女もシラフだ。

さらには村の学校の成績優秀生徒...良い子たちへの表彰が始まる(スモーク)

何故か俺も一緒に呼ばれ、表彰と記念の立派な盾、そして村名産のオレンジを山ほどもらい、スピーチまでする(隣の可愛い女子大生が英語で通訳してくれた)。

画像4

この記念品の盾とオレンジが本当に重くて、旅芸人にはマジで物理的に重くて。オレンジは頑張って多少食ったけど泊まってたホテルにあげました。盾は...頑張って日本まで運んで今は我が家の居間に飾ってある。

この催しの間、会場では皆ミントティーなんか飲みながらアイスクリームやケーキやクッキーみたいなひたすら甘いお菓子を食べている。もちろん酒などない。飯もない。俺は甘いものはそう沢山食えない。ものすごく腹が減っていた。

その後、宴もようやく終わった深夜0時ごろ、そろそろホテル帰ろうか...と思った矢先。大皿に乗った大量の鶏のタジンが運ばれてくる

画像10

聞けば、モロッコの夕食は通常22:00前後。祭の日などは深夜になることが普通とのこと。...それ、早く知っとけば良かった。「日本は?」と聞かれたので「子供いる家は17:00とか18:00くらいに食うことも多いよ」と行ったら「早すぎ...それ、ちょっと遅い昼ごはん...」と驚かれた。

バンドメンバーには一刻も早く帰りたそうな者もいたし、菓子類で微妙に腹を満たしてしまっていた者もいたが...俺は郷に入れば郷に従い、現地の歓待は決して無下にしない信条の持ち主でありますので喜んで食いました。そして、これがまたとても美味かった。丸鶏の蒸し焼きをいくつも。これは気の長い料理だね。

...まあ、長くなりましたがモロッコの思い出いページでありました。

来週はもう一品、我が家で人気のモロッコ料理を紹介します。

画像11

モロッコはフェスにあてがわれたホテルが豪華で最高だったな...ではまた!梅雨が早く明けますように!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?