水素エンジンが小型機械にも?世界初、2ストローク水素エンジンの安定運転に成功!
最近話題になっている、カーボンニュートラル。
その中でも、稼働時に二酸化炭素(CO₂)を排出しない水素エンジンは、動力源の脱炭素化に向けた選択肢の1つとされ注目されており、大手自動車メーカーをはじめ多くの企業が研究開発に取り組んでいます。
そんな水素エンジンに関して、先日、丸山製作所から大きな発表をさせていただきました!
かねてより水素エンジンの研究開発を進めていた丸山製作所ですが、この度、
刈払機をはじめとするOPE(園芸用・農業用・林業用などで用いる小型屋外作業機)製品に搭載可能な小型2ストロークエンジンにおいて、
100%水素燃料での安全運転に成功しました!!
詳細(丸山製作所ニュースページ):https://www.maruyama.co.jp/news/pdf/20231124.pdf#view=FitV
先述したとおり、自動車などの4ストロークエンジンは各社開発が進められていますが、小型化が可能な2ストロークエンジンの安全運転成功は世界初!
このnoteではその開発背景や2ストローク水素エンジンの特徴について、簡単に解説していきます。
開発の背景 小型屋外作業機でも進むカーボンニュートラル化
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、農業・林業用などの小型屋外作業機においても、エンジンからモーターへの電動化が進んできています。
しかし、完全な電動化が進まない理由としては、高負荷で長時間の作業が必要なプロ向け作業機では過酷な使用条件が求められるため、パワフルなエンジンが好まれるということが挙げられます。
そこで、高負荷・長時間の作業に耐えうるエンジン動力源と、CO2を排出しないクリーンな排気ガスの両方を実現したのが、今回の小型2ストローク水素エンジンです。
自動車などの4サイクルエンジンと比べて、2サイクルエンジンは吸収弁や排気弁がなく 部品の少ないシンプルな構造で、人が持って作業するのにも耐えうる重さです。
丸山が開発する小型2ストローク水素エンジンの特徴
今回、安定運転に成功した小型2ストローク水素エンジンは、人が背負ったり持ったりして使えるよう、エンジンを真横にしたり逆さにしたりしても問題の無い作業性を実現。
さらに水素を燃料としているので、排出するガスはほぼ水(H2O)となり、作業機のクリーン化を実現します。
この研究開発で課題となったのが、水素の「燃えやすい」という性質。
着火装置の点火プラグを用いる前に混合気の燃焼が開始されることを「プレイグニッション」というのですが、これを避けるため、水素燃料をエンジンに導入する場所とタイミングを見直し、圧縮前の低温環境の燃焼室へ燃料を導入。
また、オフセットシリンダを採用することで、高温の燃焼済みガスの残留を低減し、さらに低温の空気のみで掃気工程を行うことによって燃焼室内の温度低減を実現しました。これにより自着火現象による不具合を防ぎ、水素燃料での安定運転を可能としました!
今後の展開 製品化へ向け研究を推進
この発表は多くのメディアやSNSで話題にしていただき、水素エンジンへの期待の大きさが伺えました。中には「バイクにもついに水素エンジンが搭載できるかも?」というバイク好きの方からの声も。
今後はカセットボンベ方式の採用と部品のさらなる小型化を図り、屋外作業が可能な試作機を作成予定で、製品の動力源としての水素エンジンの可能性を探ってまいります。
様々な製品に応用することができれば、地球環境にやさしい水素エンジンの普及へとさらに可能性が大きく広がります。
丸山製作所は今後も、環境保全とプロユースの作業性の両立、カーボンニュートラルに向けた水素利用研究を進めてまいります!
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こちらのPodcastでは、今回の水素エンジンの話題と、実は学生時代にソーラーカーのサークルに所属し、燃料としてのバイオ水素の研究開発に取り組んでいた(!?)まるちゃんの思い出話を話していますので、ぜひこちらも聞いていただけると嬉しいです!
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丸山製作所は、農林業機械やウルトラファインバブル製品など自然に関する技術開発をしている会社で、デジタルマーケティング課の後輩やまちゃん、あいちゃんと一緒にPodcastをやっています。その名も「あかるい農業RADIO MARUYAMA」!
このnoteではPodcastで話した内容のエッセンスをお届けしています。
毎週農業やテクノロジーにまつわるさまざまなテーマでゆる~く、時には真面目に語っています。ぜひお仕事や作業の合間に聞いていただけると嬉しいです!
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今回が年内最後の投稿となります。
2023年は広報活動を始め、Podcastの配信など初めてのことがたくさんありました。来年も丸山製作所のことや製品のこと、農業や自然に関すること等発信していきたいと思います。
2024年もどうぞよろしくお願い致します。
新しい年が皆様にとって幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
良い年をお迎えください。