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【ブラック労働】と成長できない若者たち

少し前、私の行きつけのうどん屋が閉店した。
本当に良いお店で、店内はいつもそこそこの客で賑わっていた。
収益が悪いとは考えられない。
それでも、閉店した。

閉店直前の最後に店に行った時。
オーナー店長と少し話をした。
そこで、デンマークのレストラン「noma(ノーマ)」と「労働規制」の話を聞いた。
今回は、その時の話と思ったことを書き綴っていく。


三ツ星レストラン「noma(ノーマ)」の話

三ツ星の名店レストランのnomaでは、無償で働く研修生がたくさんいる。
もちろん、無料労働であることを同意した上で「修行」を目的として来る。
プロフィールにnomaで修業したことを載せるメリットは大きいらしい。

nomaでの労働時間は8時間を超えることが当たり前のようだ。
研修生は、無償で残業分まで労働していることになる。
日本の労働基準法に照らし合わせたら、これ以上ないくらいブラックな労働環境だ。

しかし、それでもnomaへ研修生として来る人は後を絶たない。
あくまで同意の上で、望んで行っていることだ。
私には飲食業界のことは理解できないが、nomaにはそれほど魅力があるということだろう。

そのnomaが2024年での閉店を宣言した。
労働規制により、研修生制度は成り立たなくなり、長時間労働にもメスが入る。
おそらく、現場は「情熱」と「向上心」で回っていたのだろう。
それを労働規制が水を差すことになった。
誰も喜ぶ人がいない、ただの悲劇だ。

廃業したうどん屋の話

このうどん屋は、テーブルと座席を合わせて50席以上はあった。
店舗としては中規模に相当すると思う。
店の造りもしっかりとしており、パブリック性と適度なこだわりが共存していた。
それでいて、価格は高級店に遠く及ばない、一般的な店より少し高い程度の価格だった。

この店は、特に麺が圧倒的に素晴らしかった。
私は、この店以上にコシのある麺を他に知らない。
今もまだ閉店を悔やみ続けている。

最後の来店をした時にオーナー店長から聞いた。
手打ちの麺をつくるのに12時間掛けていること。
営業時間と合わせると一日16時間働くこともあること。

日本でも労働規制は日々厳しくなっている。
その影響は、この店に対しても強く働いた。
労働規制を守ると、一人のスタッフでは麺を作り上げることができない。
だからと言って、機械を使うと今の味は出せない。

労働規制を守ると、スタッフを職人として育成することが難しい。
経営者は労働規制のルールを外れるが、自分の体が徐々に衰えていき、体を壊すことが増えてきた。
次期経営者として、大学生になった子供に将来を継がせるのも忍びない。

いろいろなことを考えた上で、まだ体が動き、金に余裕が有る内に、店を畳んで、新しいことをはじめることにしたようだ。
そして、無念の廃業へと至った。

労働規制と現代の若者

現代の若者は可哀そうだ。
溢れんばかりの情熱を燃やしても、労働規制に水を差される。
実際「仕事に手応えがない」という理由で退職する若者も多いと聞く。

一部の情熱人にとって、ハードな職場は心地よいものだ。
情熱、実力、スピード感が伴うと、仕事時間中がエキサイティングだ。
そして、優秀な若者は、毎日が戦いのような日々の中で、サイヤ人のように成長していく。
そんな人にとって、労働規制など、スーパーサイヤ人として覚醒させないための足枷にしか思えない。

労働基準法には問題が山積みだ。
本来、労使協定というのは、会社と当人の間で独自に定めるもの。
ブラック企業を生み出さないことは重要だが、一定のルールを全員に押し付けるのは理不尽だ。

そもそも、ブラック労働は悪くない。
「ブラック労働を強要するブラック企業」が悪いというのが本質のはずだ。
一人一人と話し合って、本人が希望する就業スタイルを独自に決められる社会にした方が、現代に合っていると思う。
少なくとも、情熱人を邪魔するようなことは止めて欲しいと願う。


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