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第五釜 : お兄様がインドよりうどんが好きなはずかない。

お世話になります。MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE 編集長 Sin でございます。

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今日は讃岐うどん発祥の地、善通寺を巡る旅。中国からうどんを持ち帰ったとされる、弘法大師空海生誕の地。当然ながら、讃岐随一のうどん激戦区です。

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今日の運転サウドントラックは、今世界で最もピュアに真摯にハードロックハイウェイを突っ走る、インドの至宝 GIRISH AND THE CHRONICLES。

以前弊誌でとりあげて大きな反響を得た PINEAPPLE EXPRESS や BLOODYWOOD は多かれ少なかれ、インドの伝統音楽やボリウッドをカラフルな音の葉に持ちこんでユニークなサウンドを構築していましたが、GATC からインドらしさを感じることはほぼありません。

ただ、そのピュアすぎるハードロック愛こそがアジアの純真。東南、西アジアに旅したことがあれば、彼の地の人々がどれだけ真っ直ぐな瞳を宿しているのかご存知でしょう。あの瞳を反映した曇りのない音楽がここにはあります。

"She's Heavy Metal"、彼女はヘヴィーメタル。2020年、こんなイカしたタイトルをスカして書けるバンドは彼ら以外にいないでしょう。ただし、楽曲やサウンドにそんないなたさをまったく匂わせないのが GATC のアンバランスな凄み。

高い実力を認められて、香港のクラブで専属ミュージシャンとして働いていたという Girish。彼のセバスチャン・バックと二井原実を悪魔合体させたようなハイパーマサラなボーカルを中心に、爽快でエネルギッシュな80年代の風景を蘇らせる GATC はさながらゴージャスなタイムマシン。そうして圧倒的なキャッチーの洪水がリスナーの耳と心を狂おしいまでに捉えます。メンバー全員のハイテクニックが、時にはソロで、時にはユニゾンで、MR. BIG の甘い難解を想起させる点もアクセルを煽りますね。

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まずは讃岐人から、"お大師さん" と呼ばれ愛される善通寺をお参り。四国八十八箇所の75番目でもあります。

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とても絢爛なお寺で、様々な歴史的建造物を見ているだけで飽きないのですが、様々所に現れる商魂たくましい広告やお店には少しゲンナリ。何より田舎すぎてその辺にいくらでも置けるのに、駐車場が300円もするのは貯蓄県民の怒りを買っています。

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一軒目はそのお大師さんの真横に居を構えるこだわり八輻。メディアに取り上げられることはあまりありませんが、讃岐人からの評判は高く駐車場はいつもいっぱいです。

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迷わず肉ぶっかけ温玉乗せをチョイス。ちょっと濃いめのぶっかけダシが牛肉とよく合います。温玉をからめたもちもちぬるぬるの食感もあわせて、食欲をそそりますね。うどんを片付けてから、ふくふくなキスの天ぷらを残り汁に浸していただきます。幸せ。

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せっかく300円も払ったのだからと、2軒目まで歩くことを決意。車だと北に5分くらいだからとタカを括っていましたが、大きなまちがいでした。蒸し風呂の畦道で汗だくです。

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ど田舎にもパンクのスピリットは生きています。 

ブックオフさえ見当たりませんが大丈夫。このファックオフが見えたらもうすぐ。

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彼らもそろそろでてきましたね。途中、久々にムカシトンボを見つけてテンションも血圧もあがります。

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二件目は宮川製麺所。いりこの聖地です。

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ここでは作法を間違えてはいけません。足早に店に入ると、まず一直線にうどん鉢へ向かい、その鉢を手にうどんを司るおばあに玉数を告げます。うどんを入れてもらうと、今度は鋭くダシを司るおばあにぶっかけかかけかを告げ、うどんをあっためた後自分でダシをよそいます。

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この時、底に沈むいりこ欲をかきすぎて釜をかき混ぜすぎると、ダシのおばあから 「まけるで (こぼれるよ)」と叱責され、うどんもこのようにゾンビのようになってしまいます。でもゾンビだけに、香りや旨みはこの世のものとは思えませんが。料金は後払い。天ぷら数を誤魔化してはいけません。

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汗だくで善通寺まで引き返し、クーラー全開で今度は東へ1キロほど。老舗を極めすぎて廃墟のようになった大川うどんがその全貌を表します。

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うどんと書いてある部屋はトラップで、右の通路から奥に進み、おばあかおじいに「やっじょんな? (開いてますか?)」とまず聞かねばなりません。

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トラップの部屋に戻って数分。おばあが刑務所みたいな小窓をサッと開けて、うどんを届けたあと、またサッと小窓を閉じます。お茶が少なくなったなあと思うと、また小窓がサッと開きます。受刑者の気分をこれほど味わえるうどん屋はそうそうないでしょう。

新商品の "牛肉のカスとトロロ昆布を半分づつのせたぶん" を注文。うまい!うますぎる!しょっぱいをちょっとやってズルズル。すっぱいをちょっとやってズルズル。とまりません。

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四軒目に向かったのはビニールハウスでうどんをふるまう狂気の岸井うどん。しかし残念ながら臨時休業。

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ここの釜玉とシソの天ぷらは最高なのですが…大麻山の裏にありますが、大麻を育ててはいないです。

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というわけで、第六釜があればお会いしましょう。シェイクチンポ!


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