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12月に読んだ本たち

あけましたね、2024年。新年1発目の投稿は全く関係ない読書録。

一年が、早すぎてゾッとしている。
いや、早すぎない?おかしくない??(誰に対しての問い?)

去年、、、、いやもう一昨年と言うべきか、読んだ本を一年分でまとめて載せてみよ♪と気軽に書きはじめたら、なんだが長すぎて分けわからな過ぎたので。2023年は1ヶ月ごとにするぞ!と決心したのがつい昨日のことのようだがほぼ一年前なのだが。。。(ゾッ)

去年の読書録コチラ⇩

そんな前振りどうでもいいが、先月はプリン嬢一色だったので、今月は頑張ろうというのもおかしいが、頑張って読み進めるぞな意気込みが感じられる読書録。


午後二時の証言者たち(天野節子)

八歳の女児が乗用車に撥ねられ死亡する。運転手は不起訴処分になるが、そこには罪深い大人たちの様々な打算が働いていた。患者よりも病院の慣習を重んじる医師、損得勘定だけで動く老獪な弁護士、人生の再出発を企む目撃者……。そして、遺族の疑心と刑事の執念が交錯した時、少女の死を巡る衝撃の事実が浮き彫りになる。慟哭の長編ミステリー。

彼女が最後に見たものは(まさきとしか)

クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルの一階で女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢秀平と戸塚警察署の田所岳斗は再びコンビを組み、捜査に当たる。

そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。
予想外の接点で繋がる二つの不可解な事件の真相とは――!?

彼女はなぜ殺されなければならなかったのか。
彼女はなぜホームレスになったのか。
誰も知らない真実が明らかになる瞬間、世界が一転する。

私の薄っぺらな感想を書くよりも、印象的な言葉のいくつかを残したい。そう感じる作品だった。

死んだときは泣いてもらっても笑ってもらってもどちらでもいいです。お任せします。

ただ、もう少し時間がたって、もし僕のことを思い出す人がいたとしたら、そのときは笑ってほしいと思います。

亡くなった人を思っていつまでも泣いているというのは、その人の生ではなく死を見ている事になると思うのです。僕が死んだとしたら、死んだことよりも生きていたことをみてほしいのです。

彼女がかわいそうかどうかは、彼女にしかわからないのではないのでしょうか。傍からはどんなにかわいそうに見えても、彼女自身は幸せだったかもしれません

殺されて悔しかっただろうし、無念だったと思います。でも、だからといって彼女の人生がかわいそうなものだと決めつけるのは、彼女に対して失礼ではないでしょうか

「彼女が最後に見たものは」の題名、読後にまた響く。それは目に見えるもののの他にも意味を持っているのだと思った。

グレープフルーツジュース(オノ・ヨーコ)

この本を燃やしなさい。読みおえたら。──あまりにも衝撃的なオノ・ヨーコの「グレープフルーツ」。東京で、のち英語版として世界で発売されたこの1冊に刺激されて、ジョン・レノンは名曲「イマジン」を生み出しました。その中から言葉をえらんで訳しなおした、33人の写真家との素敵なコラボレーション!!

この本を読んだら、聞きたくなる確率100%じゃない?

あと読んだ後、燃やした人の確率はどのくらいだろう・・・・
(ちなみに、私は燃やしていません、、、だって、だって、、、、もったいないもの!!:凡人)

ラブセメタリー(木原音瀬)

「……僕は大人の女性を愛せません。僕の好きな人は、大人でも女性でもないんです」子供への密かな欲望に苦しむエリート外商・久瀬。犯罪者にはなりたくないと、治療を求めて精神科を訪れるが──。幼い少女に繰り返し恋をする、小学校教師の森下。そんな自分の嗜好を知りながらも、ある一線を越えてしまい……。欲望に弄ばれる二人の男と、その周囲の人々の葛藤をリアルに描いた衝撃の問題作。

愛の墓場(直訳?)。。。
欲望を秘めて、スレスレのところで生き続ける人間と、それを開放してしまったが為にひたすら転落し続ける人間。そして多分大多数の自分たちがどれだけ恵まれた生き方をしているかを疑う事も知る事もなく、当たり前のものとして、他者と比べ羨む人間。

「僕はね、自分が怖いんだよ。犯罪なんて絶対に起こしたくない。家族には死んでも迷惑をかけたくないんだ。だから気をつけているよ。けどどうしてこんなに気をつけないといけないんだろうって、疑問に思うことがあるんだ。こんな努力なんて、普通の人なら必要ないものじゃないか。僕は思うんだよ。子供にしか欲情しない人間にならなかった幸運を、みんなもっと享受するべきだってね」

久瀬の親戚の男が、人もうらやむ見た目と仕事、暮らしをしている久瀬と、一家庭人である自分の暮らしを比較して、ひたすら羨む場面がある。
何も知らず、上辺だけ見て。自分が置かれた幸せを考えもしないで。

それは純粋な欲望なのだろうか?醜くゆがんだ欲望なのだろうか?

罪の名前(木原音瀬)

深夜、整形外科医・棚田のもとに松雪颯太という青年が運び込まれた。
階段で、誰かに後ろから突き落とされたという。
身寄りもなく、謙虚で穏やかな青年と打ち解けていった棚田は、松雪が病院内で心配なく過ごせるように勤しむ。
だがある日、看護師から信じがたい話を聞き――。

「ラブセメタリー」がこの作者の作品で初めて読んだものとばかり思っていたら著作に見覚えのある本が。それがこの作品だった。いつの間にか持ってたし、これはたしか読んだ記憶はあるが詳しくは覚えていなかったので再読。

4つの短編が入っていて、どれも心のどこかを抉られ終わる。
特に最後の「虫食い」は共感も理解もできないけれど、なんだか一番心に残った。残ってしまったというべきか。

あと「ミーナ」はシンプルにアレルギーでるわ。。。拒絶の。
こんな人間が近くにいたら嫌すぎるし、怖いのは実際にいてもおかしくないところ。地味にジワジワ来る嫌さ。

カウントダウン(真梨幸子)

海老名亜希子は「お掃除コンシェルジュ」として活躍する人気エッセイスト、五十歳・独身。歩道橋から落ちて救急車で運ばれ、その時の検査がきっかけで癌が見つかった。余命は半年。潔く“死”を受け入れた亜希子は、“有終の美”を飾るべく、梅屋百貨店の外商・薬王寺涼子とともに“終活”に勤しむ。元夫から譲られた三鷹のマンションの処分。元夫と結婚した妹との決着。そして、過去から突きつけられる数々の課題。亜希子は邪魔なものを“片付けて”終活に奮闘するが、マンションのクローゼットに大きな秘密を抱えていた――。

嫌われ松子の一生・上下(山田宗樹)

30年前、中学教師だった松子はある事件で馘首され故郷から失踪する。そこから彼女の転落し続ける人生が始まった……。一人の女性の生涯を通し愛と人生の光と影を炙り出す感動ミステリ巨編。

映画はエンターテイメント性が強くて(映画だし)結構な悲劇?も喜劇っぽく観てしまえる感があった気がするが、それでもなんだか最後は泣いてしまった。

そういえば本あるんだよなあ、と思い今更、、、ってわけじゃないけど読んでみた。なんと上下巻。

解説には「転落し続ける人生」とあるが、それって見る人によって違って、教師時代がすごく良い人生という訳でもないし(むしろ読む限り理不尽な事だらけ)傷つきながら、すり減りながらもたくましく生きて行った松子の人生、まさしく松子の一生は浮いたり沈んだり、転落だけで片づけられない。

面白いのが、一般的には真面目だったり、きちっとした職種の人間が自分本位のどうしようもないクズだったり、かたや世間的に疎まれる職種にいる人間の方が人として出来ていたりして。もちろんそうでない人間もいるのだが。

それにしても松子、たくましすぎないか。一生が濃すぎるわ。叔母の人生を死後初めて存在から知る事になった甥っ子も、段々と見る景色、考え方の変化がでてきて、日々をなんとなく流され生きて来たこれからの人生はどう変わっていくのだろうと思うところで終わっている。と思ったら、これまだ続編があるらしい。。。フムフム。

嗤う男(福澤徹三)

七つの短編に登場するのは、小学生の娘をもつ母親や、仕事のストレスで疲弊している中年男など、どこにでもいる人々。そんな彼らがいつもの生活と隣り合わせにある、絶望と恐怖の陥穽を覗いてしまった瞬間、ごく当たり前の日常が恐怖の風景に変わっていく…。怖くて奇妙な味の短編集。

なんだろう、私にとってなんだか新しいジャンルの後味悪い系お話の詰め合わせだ。現実的なものから、オカルトチックなものまで。混じっているものも。

とにかく「ウシジマくん」を読んだ時と同様、サラ金、消費者金融ダメ絶対という教訓?と言う話が多めな雰囲気。
唯一?そういう系に関係なさそうな「憑かれた人」と「真実の鏡」がなんだか読んでいて疲れたし、現実味が強かった。。。だからなお、怖いのだろうか。

女が死ぬ(松田青子)

「女らしさ」が、全部だるい。天使、小悪魔、お人形……「あなたの好きな少女」を演じる暇はない。好きに太って、痩せて、がははと笑い、グロテスクな自分も祝福する。一話読むたび心の曇りが磨かれる、シャーリイ・ジャクスン賞候補作「女が死ぬ」含む五十三の掌篇集。『ワイルドフラワーの見えない一年』より改題。〈特別付録〉著者ひと言解説

たくさんの話が詰まっている、詩集?エッセイ?小説??うーんどれも違う気がするけど、詰め合わせの一番長い話で15ページ、短いので1ページ、というか1行。いや、、、1行すらないものも・・・

一気読みというより、時々気まぐれにあっち読んだりこっち読んだりしていた。あーあ、読み終わっちゃったー。

ページ後ろの方の「著者ひと言解説」を一話ごとに読みながら読んだ。ひと言とセットで読むと、「なるほど~」となるときもあるし、これは解説だろうか?とつい笑ってしまうひと言も。この人の他の著作、読んだことないけど気になる。

穴 (小山田浩子)

仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手に空いた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る見知らぬ男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。芥川賞受賞の表題作に、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦との不思議な時を描く2編を収録。

綺麗ごとではすまされないの分かってるけど、いたちのはなし、涙出る(もちろんイタチ目線)これはでもどこかで聞いた事ある気がする、、、、田舎だから(、、、、、。)

初めて読む作家さんの本。書き方が何か独特なものがある。勝手にちょっと年配の方なのかと想像していたら、意外と年が近かった。いや私も年配か。。。。ゴクリ。

猫的な、あまりに猫的な(白取春彦)

19世紀ドイツの街角に哲学する猫がいた―
すべての猫は毎日幸せだ。
他者をあてにせず、ねたまない。
ミリオンセラー『超訳ニーチェの言葉』著者渾身の新刊

猫に釣られるのは常にだが、本文から引用した帯の言葉がとても気に入り、珍しく定価買いした本書(最近はもっぱらお下がりリストですから)

そして、この言葉にも共感しかない。

「愛を失うな」
最低の人間は、飼い猫を置き去りにする、箱に入れて捨てる。
その猫がどれだけ愛に飢えて啼くかも知らずに。
その人は同時に自分の愛も捨てたのだ。
どんな仕方にせよ、愛を捨てて失った人は自分の命を失った人と
同じだ。生きていても、その生き方には、微塵の価値もない。

窓の魚(西加奈子)

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される──恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。

2023年最後の1冊。
4人それぞれの視点の話。とその周辺で微妙に関わる人の証言?で物語が進んで行く。主人公(語り手)が替わると同じ風景でも全然それぞれの印象が変わるのが、当たり前なんだけど新鮮。

すぐに読めてしまうけれど、もう一度、二度と読み返したくなるような読書間。どんでん返しとか、謎解きとかそういうんじゃなくて。

西さんの本は「漁港の肉子ちゃん」の印象が強かったから、ガラっとイメージが変わる作品だった。肉子ちゃんの話のテンポと雰囲気すごく好きだったけど、この話もなんだか心に残る。なんでこんなに違う雰囲気の作品が残せるんだろう?凄すぎる。


2024年は何読もうかな?
ゆっくりじっくり読みたい気もするし
飲み込むようにゴクゴクと読みたい気もする。

読みたい本があふれている。幸せか。


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