伝わるように、
最近、伝えることの大切さを知ったのでその事を書いていきたい。
今働いている場所が貿易関係なもので、どうしても海外の人たちとのやりとりがかかせなくなっている。
大きな声で言えることではないが、私は英語が出来ない。もちろん中国語もできない。まだ英文を読み取るのはなんとなくできそうだが、話言葉になると全然ダメだ。呪文に聞こえて、聞き取る事を諦めてしまう。
いわゆる意味もわからず洋楽聞いてかっけえなと悦に浸るタイプだ。
こんな私がよく働けているな、と思うけれどそれはきっと海外の方がたくさん日本語の勉強をしてくれているおかげなのだと思う。
同じ部署に中国の方が何人かいるが、ほとんど日本人と話すのと変わらず会話ができる。
ただでさえややこしい貿易関係の話を頭の中で翻訳しそのまま理解していることが本当にすごい。私は話を理解するのだけで精一杯なくらいだ。
仲の良い中国出身の女の子に聞いてみた。
「日本語難しい?」
「難しいけど慣れるよ」
「自分で勉強したの?」
「ううん。専門学校に行ってる時に日本語の塾に通ったの」
こう答えてくれた。
すごい、としか言えなかった。
学校で習うのと別に勉強してたのだ。
私は自分の不勉強さを初めて恥ずかしいと思った。本当に、頭が上がらない。その子は私よりもずっと歳下なのだが、心から尊敬している。
そんな中、日本に来たばかりで日本語があまり聞き取れない方も何人かいる。
それでも一生懸命話しかけてくれるので、私もなにを伝えたいのか必死に聞き取ろうとする。これがマジで難しい。身振り手振りで伝わるものならいいけれど、相手がどう思ってそう言っているのかわからない場合がある。言葉が違うと言葉の端々に含まれる意味合いも違うのだろうか、相手がなにを思ってどう言っているのか検討もつかなくなる。
それに伴って、私がどう思っているのか伝えるのかも難しい。
気持ちを伝えるのって、こんなにも難しいんだな、と毎日感じるようになった。
そうしてようやく意思疎通ができた時、お互いの目を見合わせて笑顔になる。
「そうそう、そうなんだよ〜」と気持ちがようやくそこでひとつになる。
その瞬間がものすごく嬉しいし愛おしい。
普段の会話って、相手が理解しているていで進むからこうやってお互いが分かり合う瞬間って本当に少ないんだな。
伝えようとしないと伝わらないのだと、改めて身に染みた。
明日で今の会社で働いて1ヶ月になる。
毎日が新しくて、毎日が勉強の日々だ。
目まぐるしく回る社会の渦に最初は乗れるか心配だったけれど、なんとかやれている。
辛い事を我慢しがちな自分も今の会社では、言いたいことを言えるようになった。
それはきっと周りの皆がきちんと気持ちを伝えようとしてくれているおかげもあるし、日々、伝えることの大切さを学んでいるおかげかもしれない。
察して欲しい、だけでは伝わらない。
言葉って、気持ちって、本気じゃないとうまく伝えることなんてできないんだ。
伝わるように伝えないと。
受け止めるように聞き取らないと。
そうして交わった言葉が積み重なって一つになったものを、信頼と呼ぶのだと私は思う。
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