Dr Sに捧ぐ
この記事では、また私の好きな言葉を紹介したい。それは「Everybody's Free To Wear Sunscreen」という歌/エッセイだ。
このエッセイとの出会いは、高校時代に留学していたイギリスの高校だった。それは全寮制の高校で、毎晩寮ごとの集会があった。15分程度の、日本でいうホームルームのような時間だった。よって主題は単調な連絡事項になるわけだが、週に1度ほど、先生が読み聞かせをしてくれることがあった。あるときは天声人語みたいな新聞の切り抜きだったり、またあるときは『星の王子様』の一節だったりと、バラエティ豊かでけっこう楽しかった。
だが、その中で1つだけ、特段強く印象に残ったのが、寮長先生が朗読してくれた「Everybody's Free To Wear Sunscreen」だった。とても心に響き、どこかに全文が載っていないかと検索したら、YouTubeで見つけ、折に触れては聞くようになった。
これはもともとは歌でなく、大学の卒業生に贈るメッセージ、という設定で書かれた人生訓であるが、これから広い世界へ出ていかなければならないのだ、という意識を持ち始めた10代後半の私の期待感と不安の入り混じった心に、大いなる安らぎを与えてくれた。進路の選択に悩むとき、将来への不安に苛まれるとき、この歌を思い出すと、まるで優しく頼りがいのある先生に導かれていくような気がして、心が安らぐのだ。そしてきっと、私と同じ境遇にある全ての人にも、同じように役に立つと思う。
そこで、この私の大好きな歌/エッセイを日本の仲間たちにも共有するため、翻訳をすることにした。この記事はその成果である。恩師Dr Sが私にしてくれたことを、少しでもペイ・フォワードできれば、これ以上の歓びはない。
[原文記事]
Mary Schmich. 1997. Advice, like youth, probably just wasted on the young. https://www.chicagotribune.com/columns/chi-schmich-sunscreen-column-column.html
注)拙訳は歌バージョンに準拠しており、一部内容は異なる。初めの一節は原文では「Ladies and gentlemen of the class of '97:」だが、歌では「the class of '99」と、発表年に合わせてアレンジしたようだ。
加筆)2024/1/7 一部抜け落ちについて加筆