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【同性カップルのマイホーム実例①】中古マンションを二人で購入したLの話

こんにちは。まるもちです。

同性のパートナーハリコと二人暮らしをしています。二人ともLGBTQでいうとL、レズビアンカップルです。

2017年に二人暮らしを始め、2019年にはマンションを購入しました。
あっという間に3年ほど経ちましたが、今日のnoteでは私たちのマイホーム購入体験、特に同性カップルならではのポイントを簡単まとめようと思います。
"これからパートナーと家を買おう・建てよう"と考えている方にとって何か参考になれば嬉しいです。

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■私たちの基本情報

家族構成:ハリコ、Mika
居住地:東京都
ハリコ:30代、都内勤め会社員、しっかり者、よく寝る
Mika:30代、都内勤め会社員、のんびり屋、よく食べる
二人の趣味:映画鑑賞、フットサル、旅行、街歩き
お付き合い歴:7年

■どんな物件を買ったの?

賃貸物件の契約更新のタイミングで、物件を買うことにしました。新築マンション、分譲戸建て、リノベ物件、さまざまな物件を検討した結果、最終的に買ったのは東京23区内、駅徒歩6分、築7年、2LDKの中古マンションです。

購入前に、実際の住み心地を売主さんに色々と質問できるのは中古マンションのいいところです。

中古マンションですが、引き渡し前に壁紙をすべて貼り替えてもらえたので、新築同然の内装で入居することができました。
主要ターミナル駅から最寄り駅までは電車で10分ちょっと。都心のわりには駅周辺に緑もたくさんあり、街の雰囲気も落ち着いていて気に入っています。

■どんな間取り?

女性の二人暮らし。ライフプランが大きく変わらないようであれば、1LDK~3LDKあたりが選択肢になりますが、我が家は2LDKを選びました。
間取りをラフにざっくり描くとこんな感じ。

二人それぞれの居室が持てる2LDK。女性二人分の靴がちゃんと収まるよう、玄関収納は天井までたっぷりあります

2LDKを選んだ理由は、
・対面キッチンで一続きのLDKがいい
・それぞれの個室、クローゼットがほしい
・荷物は少ないのでそこまで広くなくていい
などなど。
コンパクトですが二人暮らしには十分な広さで、今後ワンちゃんや猫ちゃんをお迎えしてもゆったり暮らせそうです。

女性の二人暮らしは収納量が大事。マンションなら収納が床面積の8%以上あると暮らしやすいといわれています◎

■不動産会社には二人のことをどう伝えた?

私たちは日常生活ではほぼクローゼットです。不動産を買う際にも「取引で関わる人に二人の関係をどう伝える?」という話になりました。
結論、私たちは不動産会社の営業さん、金融機関の方には「同性のパートナーです」と伝え、特に伝える必要がない売主さんと司法書士さんには親族です」で通しました(公正証書も結んでいるのでね)。
LGBTQの認知が広がったとはいえ、同性カップルにする考えは人それぞれです。限られた時間の中で、はじめましての方たち全員にカミングアウトをするのはリスクがゼロではないので、"この二人で物件を買うこと"がきちんと伝われば、カミングアウトしなくても取引には問題ありません。

■ご近所さんには同性カップルと明かしてる?

近隣の方にどこまで伝えるかは頭を悩ませるところですが、私たちは同性カップルであることはオープンにはしていません。
ただ、近くにどのような人が越してきたかは誰しも気になるものですし、同性の二人暮らしを不思議に思う人もいるかもしれません。良好な関係でいられるよう、引っ越しの挨拶は最低限行い、日頃の挨拶もきちんとするよう心がけています。
そんなこんなで、とても寒い日に「作りすぎちゃったから、いかが?」と上の階の方が美味しいスープを持ってきてくれた、なんてこともありました。
もう少し親しくなれたらオープンにしていくかもしれませんが、これからもご近所さんとはほどよい距離感で良い関係でいられるといいなと思っています。

■勤務先にはどう伝えた?

住所変更があった際、申請が必要になる会社が多いと思います。私たちの勤め先もそれぞれ「持ち家・賃貸」などの登録が必要だったので、会社でも申請し、登録上は二人とも「独身」で「持ち家」になっています。
同性パートナーシップ制度がある会社であれば、「パートナーと家を購入した」と伝えれば、登録上の表記も検討してもらえるかもしれません。

■住宅ローンはどのように組んだの?

恐らく一人の名義で買う方法が主流だと思いますが、私たちはペアローンを組みました。2019年当時は同性カップルが利用できるローンの種類がまだ少なく、不動産会社の担当さんも手探りで一緒に調べながら進めてくれました。

■物件の名義はどうなるの?

ペアローンは二人それぞれがローンを組み、一つの物件を所有する形です。各自の持ち分は半分ずつ。二人の名前で登記し、共同名義にしています。

ペアローン利用にあたる必要書類「任意後見契約および合意契約に係る公正証書」の控えと登記権利情報書

▽ペアローンのメリット、デメリットなど、住宅ローンの詳細はハリコのブログでまとめています
同性カップルの住宅ローンで収入合算、ペアローンの選択肢も!【同性カップル・LGBTの家購入】

※2023年現在では、同性カップルも収入合算で住宅ローンを組める金融機関が増えました。1月からはフラット35でも「同性パートナーも連帯債務申し込み可能」となったのは嬉しいニュースですね。

ブログにあるようにペアローンにはデメリットもありますが、その点は二人で確認した上で我が家はペアローンでいこう、という判断になりました。

ちなみに借り入れた住宅ローンの総額は世帯年収の3倍ほど。最近は年収の7~10倍は借り入れできるといわれますが、金利上昇リスクに備え、また生活費に余裕を持てる金額で組みました。月々の返済額+修繕積立・管理費は、以前借りていた部屋の家賃に比べ2割ほど安くなりました。

■二人で買うなら、余裕を持ったスケジュールを

同性二人でローンを組める金融機関は増えましたが、その多くが必要書類として公正証書の提出を求めています(完全に不要なのは楽天銀行くらいかと思います)。
公正証書の準備には結構時間がかかります。公証役場での相談から書類の準備、登記までに早くても1〜2ヶ月ほど。公正証書の手続きうんぬんは基本的に不動産会社の仕事ではないので、物件探しと同時に進めてしまうと、契約前に公正証書の準備が間に合わない可能性があります。
自分たちで手続きの流れなどを調べて、余裕を持ったスケジュールを組むことが望ましいです。

■離別や死別した場合、物件はどうなるの?

万が一離別となった場合、購入したマンションや家財などの資産はどうするのか? 夫婦であれば民法768条にもとづいて「財産分与」を求めることができますが、同性カップルについては法律で何も定められていない状態です。

■離別の場合
判断の拠り所となる法律がない以上、トラブルになりやすいと思います。現時点でトラブルを最小限に抑えるには、万が一の際の対処法を公正証書で事前に取り決めておくと、安心材料になります。

死別の場合
死別の場合、何も準備をしていなければ、長年一緒に暮らした住まいでも、ローンの返済に協力していたとしても、”親族ではない同性パートナーが所有する物件"を引き継ぐことは残念ですができません。
ただ、誰にどのように自分の資産を引き継ぎたいか、遺言によって自分の遺志を表明することはできます。

詳しくは【同性カップルの備え①相続編&②遺言編】でまとめているのでご覧ください。
残されたパートナーの親族とトラブルになるのは非常に悲しいことなので、物件を購入する際はあわせて遺言の作成検討をおすすめします。

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以上、私たちのマンション購入体験でした。引っ越してから3年ほど、自分たちの家や街がとても好きですし、毎日楽しく穏やかに暮らすことができています。

また、もともと終の棲家とは思っておらず、手放そうと思ったら買い手が見つかりやすそうな立地で買っています。将来のライフスタイルにあわせて住み替えや注文住宅を検討してもいいね、と新たな夢を膨らませているところです。

■このnoteで【同性カップルのマイホーム実例集】を作ってみようかと

こんな感じの【同性カップルの住まい実例集】をこのnoteで作れたらいいなと思っています。
マイホームにお住まいのカップルさんに私がお話を伺って、「同性カップルならではのマイホーム購入ポイントはこれ、私たちはこうしたよ」と、まとめさせてもらうイメージです。

私はメディア関係の会社で働いていますが、仕事の中で不動産の広告をたくさん目にします。『マイホーム購入体験談!』は世の中に溢れている一方で、同性カップル向けの情報はまだまだ少ないと感じています。

【同性カップルのマイホーム実例100選!】

本屋さんで見たことないですよね?

異性夫婦なら当たり前に得られる「先輩カップルの体験談」に、同性カップルももっと簡単にアクセスできたらいいなと。戸建てかマンションか、新築か中古か、都心か郊外か、最適解は人それぞれですが、その答えをすんなりと出すのは難しいものです。
なので、
雑誌のように、自分たちと似た価値観や境遇の方たちの事例に触れて、将来の暮らしをイメージしやすくなるコンテンツがあったらいい
・あと、最近Lカップルさんのおうちに遊びに行くことが増えて、本当に皆さん幸せそうに楽しく暮らされているので、その一端を世の中にも知ってほしいーー!
という気持ちもあります。周囲に言わないだけで想像以上に身近にいるんですよって。

マイホームを買われた、建てられたLカップルさん、お声がけさせていただくかもしれません。どんな内容を?どこまで話すの?はもちろん相談で、顔出しなし・匿名で大丈夫です。

「"これからパートナーとマイホームを検討したい"という方に向けてお話ししてもいいよー」という素敵な方がいらっしゃったら、お力添えいただけると嬉しいです。日々を楽しくたくましく生きているLの皆さんを紹介できたらと思うので、よろしくお願いいたします。

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参考:
▽同性カップルの住宅購入、流れや注意点をまとめたハリコのブログはこちら
https://lgbt-note.com/category/house/

▽同性カップルの住宅購入を中立的な立場でサポートする窓口です。こちらの企画に私も関わったので載せておきます
【LIFULL HOME'S 住まいの窓口  LGBTQマイホーム講座 】


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