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通りを歩けば

通りを歩けば
花柄のスカートが舞っている
冷たい風は光の方へと流れていく
誰かの大切な人が思い出の停車場で立っている

不確かな未来は瓦礫の上に立っていて
東雲に隠れたあなたの匂いを探している
通りすがりの若者が被っていた山高帽
街角の雑貨屋から流れるコルトレーン

サイダーの瓶が転がっている
浮浪者が風の中へ消えていく
空中には魚の群れ
鱗のような月の虹

通りを歩けば
まだ見ぬ誰かに声をかけられたような気がして
僕は自分の歩いてきた道を振り返る
過去が先を行けと囁く
貸本屋がお前に貸せる本は無いと言う
火葬場の男が記憶の始まりに立っている

通りを歩けば
ここがどこであるかは
大した問題ではないと気づかせてくれるから
僕は東京の真ん中で
ひとりで生きようと決めた

誰かの大切な人が
思い出の停車場に立っている

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