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極限状態における規律と自由のせめぎ合いに胸糞悪くなる『プラットフォーム2』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:101/124
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:-(配信のみ)

【作品情報】

   原題:El hoyo 2(The Platform 2)
  製作年:2024年
  製作国:スペイン
   配信:Netflix
 上映時間:100分
 ジャンル:スリラー
元ネタなど:映画『プラットフォーム』(2019)
公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/81284730

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
"穴"、それは、食事の乗った台座が上層から下層へと順番に降りてくる残酷な場所。ここにやってきた住人は皆、何かから逃げている。

だが他の住人から逃れることはできない。

【感想】

プラットフォーム』シリーズ第2作目。あの意味不明な内容でまさか続編をやるとは思いませんでしたが、時系列的には前作の前日譚となります。で、相変わらず意味不明でしたね(笑)

<ソリッド・シチュエーションの醍醐味>

シチュエーション自体は面白いですよ。まあ、ジャンルも「ソリッド・シチュエーション」と言われるぐらいなので、シチュエーションは尖ってこそなんですけど。このソリッド・シチュエーションとは「ある限られた状況下に置かれた人間の極限状態をスリリングに描いた作品」を指します。有名なところだと『キューブ』シリーズ(1997-2004)や『ソウ』シリーズ(2004-)がそれに当たりますね。

この映画では、「穴」と呼ばれる下に長く伸びた刑務所のようなところに閉じ込められた人々のサバイバルを描いています。ここでは、上の階から食事が乗った台座が降りてきて、一定時間経つと下の階へ降りていく仕組みです。なので、みんなが1人分の食事量を守れば全員に食事が行きわたるはずなんですけど、そんなの無視してやたらめったら食うやつもいるわけですよ。そうすると下の階に行けば行くほど食べるものがなくなっていきます。ここでは1ヶ月間は同じ階層で過ごし、その後ランダムで別の階層に移るので、下の階の人はまる1ヶ月間ろくに食事をとれないなんてこともザラ。同じ階には2人配置されるので、最悪自分や相手の肉を食うことも。。。この理不尽な環境こそがソリッド・シチュエーションの醍醐味ですね。

<どんな状況下であっても人間は二分される>

そんなクソみたいな状況の中、前作では無秩序になりつつあったこの穴を、主人公ゴレン(イヴァン・マサゲ)が正そうとしていたのに対し、今作ではちょっと事情が異なっていました。実は今作の方がまだルールを守ろうとしていた人たちが割といたんですね。この穴に入る前にみんな面接で好物を聞かれるんですけど、「連帯感革命」というのが始まって以来、その好物以外は食べず、もし他のものを食べたくなったら他人の好物と交換することで秩序を守る動きがあったんですよ。とはいえ、これはあくまでも自主ルールみたいなもので、破っても特に穴の管理者からペナルティを課されることはないんですが。

そういうルールを守らない輩を取り締まるために「油注がれし者」と呼ばれるルールを徹底させる連中がいます。そのリーダー格がダギン・バビ(オスカル・ハエナダ)と呼ばれる人物で、秩序を守ろうとする姿勢はいいんですけど、行きすぎた正義みたいな感じでルールを破るやつらを容赦なく殺害していくんです。で、そんな窮屈な規律から自由になろうぜってことで、本作の主人公っぽいペレンプアン(ミレナ・スミット)が同志を集めて戦うと。
まあ、こんな流れです。

<前提となる背景が謎すぎて意味不明>

ここまでの流れはわかるんですが、「で?」っていうのが僕の正直な感想です(笑)いやね、穴の階層の上下が社会格差を表して、その中で人々が2つの勢力に分かれるってところまでは何となくわかるんですが、そもそもこの穴が何なのか、何を目的として作られたのかが劇中では語られないんですよ。そして、ここに入っている人たちもなぜここに来たのかがよくわからずで。。。前作を観ていると終盤で思わぬサプライズに出会えるんですが、それでもこの映画自体に腹落ちするわけではないので読後感は悪いですね。。。極限状態に陥ることで人間の本質を描いているのかもしれませんが、前提となる背景が謎なのでイマイチしっくりこないんですよ。あと、前作も今作も最後に子供を助ける流れになるんですけど、この映画の冒頭で大勢の子供たちがこの穴のどこかの部屋で遊んでいる様子が映し出されるんですね。そうやって大勢の子供たちを集める理由も、そしてそこの遊具?で一番になった子供を333層に配置する理由もよくわかりません。ただ、子供を助けるっていうのは、どんな状況にあっても子供は未来を創る存在なので、大人が自らを犠牲にしてでも守るべきだって言いたいのかな、もしくは極限状態に陥っても子供を助けようとする大人がどれだけいるかっていう社会実験でもしてるのかな、なんて想像をしてしまいますが、実際はどうだかわかりません。

<そんなわけで>

設定自体は尖ってて面白いんですが、それだけに前提となる背景がわからずにしっくりしないまま終わってしまうのがもったいない映画だなと思います。「解釈は鑑賞者に委ねる」タイプの映画なんですかね、、、非常にモヤモヤします(笑)『キューブ』や『ソウ』が好きなら観てもいいとは思ういますが、、、全体的に意味不明なのでお気をつけて(笑)


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