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体の仕上がりは人類史上最高レベルだけど、ロッキーの不在で味が変わってしまった『クリード 過去の逆襲』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:17/75
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Creed III
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース映画
 上映時間:116分
 ジャンル:スポーツ、ヒューマンドラマ
元ネタなど:映画『ロッキー』シリーズ(1976-2006)
      映画『クリード』シリーズ(2015-)

【あらすじ】

かつてロッキー(シルヴェスター・スタローン)が死闘を繰り広げた親友アポロ(カール・ウェザース)の息子アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)。ロッキーの魂を引き継ぎ、世界チャンピオンとなった彼の前に、刑務所から出所した幼なじみのデイム(ジョナサン・メジャース)が現れる。

2人はかつて家族同然の仲間であったが、少年時代にデイムはクリードのある過ちによって18年間の服役を強いられ、復讐心に燃えていた。クリードは封印してきた自らの過去に決着をつけるべく、デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始する。

【感想】

クリード』シリーズ第3作目。あのマイケル・B・ジョーダンとジョナサン・メジャースの対決ってことで、マーベルのキルモンガー VS 征服者カーンが疑似的に体験できる映画でした(笑)2人の圧倒的なフィジカルに「こりゃ世界は追いつけねぇな」と思いつつ、過去2作と比べるとだいぶ味が変わってしまった印象でした。

<まさかのロッキー不在>

すでに公の情報になっているので書きますが、この映画にはロッキーが出てきません。僕はそこに一番肩すかしを食らったような気分になりました。もともとこの『クリード』シリーズって『ロッキー』シリーズのスピンオフで、かつてロッキーの親友だったアポロの子供アドニスが主人公の物語です。だから、過去の2作ではロッキーがいましたし、しかもけっこう重要な役まわりだったので、もはやスピンオフというポジションがもったいないというか、もうそのまま『ロッキー』シリーズの続編じゃないかってぐらいだったんですね。

それが、今作ではいきなりロッキー不在ですよ。しかも、彼についての言及も一切ありません。別に死んだっていう設定ではないんですよ。普通に生きてるんですが、生きているからこそ「どこで何してるんだ?」と思ちゃったんですよね。確かに、前作の最後でロッキーがアドニスに「お前の時代だ」と言ってたので、これでもう完全にバトンタッチかなとは思いましたし、新シリーズが始まったのにいつまでもロッキーにおんぶに抱っこじゃクリードのキャラクターとしても変化や成長がないなとは思います。でも、前作まであれだけ出てていたロッキーが今回いきなりなくなっちゃうのは、寂しさと同時にちょっと不自然な気もしますし、なんかマーベルにアイアンマンがいないような空虚さを感じました。ロッキーが旧シリーズと新シリーズの架け橋のような存在でもあったので、彼がいなくなるだけで一気に不安と言うか、頼もしさが欠けてしまった感じですね。一応、シルヴェスター・スタローンもプロデューサーという立場でクレジットはあるんですが、あんまりタッチしてなさそうにも感じます(知らんけどw)。

だから、アドニス、ひいてはマイケル・B・ジョーダンとしては正念場だったんじゃないかなって勝手に思っています。作中では頼る人がいない中で、最強の敵であるデイムと戦わなくてはなりませんし、映画としてもロッキーことシルヴェスター・スタローンがいない中で面白くできるのかと。まあ、それでいうと、個人的には楽しめましたけどね。確かにロッキーがいない欠乏感はありますけど、アドニスが自らの過去と向き合い、一度引退した身でありながら、再び体を鍛えて対戦する流れは、『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)で感じたような“どんなときでも諦めない不屈の男"というのを感じられたので。

<体の仕上がりは人類最強レベル>

最初にあまりよくない点を書いてしまいましたが、見どころも十分にあるのがこの映画の魅力です。中でも、最初にも書いたアドニスとデイムの圧倒的なフィジカルはもう振り切り方がすごいのなんのって。世の中でジム通いしている人の9割は、その努力が無になるんじゃないかってぐらいの圧倒的な筋肉ですよ。アドニスは過去2作でもすごい肉体を作り上げていましたが、今回は段違いの筋肉量ですね。「ボクシングにそんなに筋肉いる?!」ってツッコミたくなります。日本だと体格の問題から、ボクサーってフライ級が多いため、ヘビー級がどんな体をしているのかってなかなかイメージが湧きづらいと思いますが、もうね、ブロリーだよブロリー。しかもその肉体を鍛えるトレーニングがまたおかしくて。前作も鉄球を腹に食らったり、炎に向かってシャドーボクシングしたりと、正気の沙汰じゃない鍛え方をしていましたが、今作では小型飛行機引っ張っちゃってますからね。亀仙人のじっちゃんの修行かよって(笑)

<最後の対決シーンは興奮したけど、、、>

そんな極限まで鍛え抜かれた体を武器に戦うアドニスとデイムの対決シーンは圧巻です。両者一歩も退かぬ激しい打ち合いはメチャクチャかっこよかったですね。ただ、前作までの構成とはちょっと違う特徴がありました。マイケル・B・ジョーダンが日本のアニメが好きで、それに影響を受けた演出を入れたとのことで、スローモーションを使ってダメージのインパクトを目立たせたところがそれかなあなんて思ったんですが、正直、個人的にはこの映画にそれはいらなかったかなって思いました。このシリーズはあくまでもリアルな戦いに興奮を覚えるのであって、いきなりアニメっぽい演出が入るとちょっと味つけが違うかな、、、って感じるんですよね。また、それによって少し戦いのテンポが悪くなったような気もしました。いや、全体的にすごく興奮できるんですけどね、『ロッキー』(1976)から47年も続くシリーズの中で急に変わったから、ちょっと違和感があったかなって。

<そんなわけで>

全体的に面白い映画ではありましたが、新しい要素を取り入れたものの、個人的にはそこまでマッチしなかったんじゃないかなあって印象の残る映画でした。もちろん、シリーズが長く続く場合はどんどん新しい要素を取り入れるべきだとは思いますし、今回はこれまでの型を壊したという点ですごいチャレンジングな映画だとは思ったんですけど、僕の中では自分が観たかったものとちょっと違ったかなって感じでした。せめて、ロッキーへの言及は何かしらあってほしかったですね~。とはいえ、最後の肉弾戦はメチャクチャ見どころなので、それだけでも一見の価値アリだと思います!自分ももっと体を鍛えないとなって思えるので!!あと、本編終了後に謎のアニメが流れるんですが、、、あれは何なんでしょうね(笑)


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