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結局、ソニーはスパイダーマン界隈をどうしたかったのだろう、、、?マーベル版『ライオン・キング』かと思うほどに動物バトルだった『クレイヴン・ザ・ハンター』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:71/138
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★★
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Kraven the Hunter
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
 上映時間:127分
 ジャンル:アクション、スーパーヒーロー
元ネタなど:シェアード・ユニバース「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(2018-)
公式サイト:https://www.kraven-movie.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
幼い時に母親を亡くし、裏社会を支配する冷酷な父親(ラッセル・クロウ)から「強き者が生き残る。力こそが全てだ。」という精神を叩きこまれて育った少年セルゲイ(クレイヴン)。

ある日、父親と共に狩猟に出た際、突如現れた巨大なライオンに襲われ生死を彷徨う大怪我を負うが、ライオンの血がセルゲイの体内に入ったことで、<百獣の王>の力を持つ容赦なき“クレイヴン・ザ・ハンター”(アーロン・テイラー=ジョンソン)へと覚醒する。〈狩り〉の対象は、金もうけのために罪無き動物を〈狩る〉人間たち。一度狙った“獲物”は確実に仕留めるまで、あらゆる手を使ってどこまででも執拗に追い続ける。

次々と〈狩り〉を実行し、彼らを動かす大きな組織へと近づいていくが…立ちはだかるのは、全身が硬い皮膚に覆われた巨大な怪物〈ライノ〉(アレッサンドロ・ニヴォラ)。さらに、病弱な身体を持つ最愛の弟ディミトリ(フレッド・ヘッキンジャー)が危険にさらされたことでクレイヴンは激昂。やがて“裏の世界の殺戮者”と呼ばれる自らの父親と対峙することになる。怒りのままに<狩り>を繰り返し、次第に暴走していくクレイヴンだったが、弟からは「兄さんはただ、殺しを楽しんでるだけ。」と心無い言葉を受けてしまう。

大義のための殺しか?快楽を求める殺戮か?激しくエスカレートしていく〈狩り〉が、行きつく先は─?

【感想】

「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」第6作目にして、本作でこのユニバースは一旦休止となるようです。。。うん、休止にしてよかったかもっていうぐらいにはユニバースの広がりを感じられない映画でしたね(笑)

<マーベル史上最もアニマルな映画>

今回の映画はマーベル版『ライオン・キング』(2019)かってぐらい動物感溢れる内容となっています。まず、主人公のクレイヴン(アーロン・テイラー=ジョンソン)はライオンに噛まれたことでスーパーパワーを手に入れる設定。百獣の王の武井壮もびっくりです(笑)いや、ある意味大西ライオンかもしれません(笑)で、最終的に戦う相手がサイの能力を手にしたライノ(アレッサンドロ・ニヴォラ)。かつて、『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)のラストに出てきて以来10年ぶりの実写での登場です(演じている役者は別です)。紆余曲折を経てこの2人が最後に死闘を繰り広げるのですが、「ライオン VS サイ」という構図に加えて、ヌー(バッファロー?)も出てきて完全に『ライオン・キング』状態でした(笑)

<アクション映画としてはアリだけど、マーベル映画としては微妙?>

ライオンの力を得たクレイヴンのアクションは派手ですし、演じたアーロン・テイラー=ジョンソンの甘いマスクとバッキバキの体もかっこよすぎて、それだけでごはん何杯でもいけちゃうぐらいのハマり要素はあります。なので、普通のアクション映画としてなら面白いのですが、これがスパイダーマンのユニバースの一作品となるといろいろ雑なんですよね(笑)

そもそも、ソニーが『ヴェノム』(2018)から展開してきた「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」は正直がっかりすることも少なくありませんでした。確かに一連のマーベル映画の人気は、間違いなく2000年代にソニーが映画化してくれた『スパイダーマン』シリーズ(2002-2007)のおかげですが、最近はMCUに乗っかったやり方がうまくいっているとは言えず、ファンから不評を買っていました。それは、"スパイダーマン・ユニバース"としながらも、まったくスパイダーマンを関わらせなかったからです。『ヴェノム』シリーズ(2018-2024)は『スパイダーマン3』(2007)にヴェノムが登場していることから馴染みがあったと思うんですが、今回のクレイヴン含めて、モービウスやマダム・ウェブなんか原作コミックを読んでなきゃ知りませんよね。それでいて大々的にスパイダーマンの存在を匂わせつつも、どの作品にも登場しません。まあ、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)のポストクレジットシーンにはちょろっと出てきたので、今後の展開に大いに期待できたんですが、ユニバースが今回の映画で一旦休止になることでほぼ無意味に。。。もっとスパイダーマンを関わらせるか、もしくは犯罪者集団の「シニスター・シックス」結成に繋げるような展開にしていたら、また違った評価になったかもわかりませんが。何にせよ、スパイダーマンを匂わせながらまったく出さず、よく知らない超人たちが大暴れするってだけでは、コアなマーベルファン以外には刺さりづらいと思うんですよね~。

<大事な設定をあっさり終わらせすぎ>

また、今回はクレイヴン以外のキャラクター設定が雑すぎたんですよ。ライノはなぜあんな体になったのかっていうのも、セリフで「病気」と言うのみ。もしこれが2000年代の『スパイダーマン』映画だったら、絶対そのくだりも映像として見せたはずです。さらに、ザ・フォーリーナー(クリストファー・アボット)なんか、「師匠がクレイヴンに殺された復讐」というだけで出てきましたけど、あの瞬間移動の特殊能力が何なのか謎のまま。それでのあの展開ですから「こいつ必要だったか、、、?」って(笑)

<そんなわけで>

全体的に非常にもったいない映画だなと感じました。クレイヴン自身は魅力的なキャラクターですし、彼の腹違いの弟であるディミトリ(フレッド・ヘッキンジャー)との関係はとても興味深いところではあったんですけど、、、そもそもユニバース全体があやふやだったのでうまく料理しきれていなかった印象です。まあ、マルチバースなんでね、今後しれっとまた出てくる可能性はありますが、、、やっぱり売れるからといって作品を連発してはダメなんだなと思いました。

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