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🐏羊から生まれた羊ではない"何か"に翻弄される世にも奇妙すぎる物語だった『LAMB/ラム』🐏

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:136/142
  ストーリー:★★☆☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★☆☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆

【作品情報】

   原題:Lamb
  製作年:2021年
  製作国:アイスランド・スウェーデン・ポーランド合作
   配給:クロックワークス
 上映時間:106分
 ジャンル:ホラー、スリラー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァル(ヒルミル・スナイル・グズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)。

ある日、2人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた2人は、"アダ"と名付けその存在を育てることにする。

奇跡がもたらした"アダ"との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく―。

【感想】

何と言ったらいいでしょうかね、この映画(笑)ホラーのようなスリラーのような、世にも奇妙な物語って感じでしたけど、頭に「?」がいっぱい浮かぶ内容でした。

<夫婦の対応に面食らう>

羊から生まれたのは、羊ではない何か。予告で出てるから言っちゃいますけど、半魚人ならぬ半羊人とでも言いましょうか。頭と右手が羊で、あとは人間の体なんですよ。撮影は10人の子役と4匹の羊が使われたそうですが、何かの神話に出てきそうな出立ちでしたね。それに“アダ”と名前をつけて育てる夫婦なんですけど、、、育てるか普通って(笑)いくら自分たちが子供を亡くしたからといって、さすがにおかしいでしょって。そもそも羊のお産を手伝ってアダが出てきたときの、夫婦の淡々としたリアクションがおかしいんですよ。もっとびっくりして叫んだりしますよね?羊と人間のハーフなんかが生まれてきたら。それがないのが不自然で。まるで、もともと生まれてくることがわかってたようなんですよね。

で、夫婦はアダをいつしか本当の子供のように育て始めます。途中、夫の弟であるペートゥル(ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン)が家を訪ねてきて、「それは何だ?」と問うものの、夫は「幸せだ」と答えます。強い信念というか、一般の感覚では理解できない精神状態になっているんですよね。他に比べるものがないからこそ、そういう境地になるのかもしれません。だだっ広い草原にポツンと一軒家。夫婦と羊と犬と猫しかいないんですよ。こういう限られた環境にいるからこそ、自分の価値観を押し通せるのかもしれません。

<衝撃すぎるラストに面食らう>

この映画、基本的には夫婦とアダの生活が淡々と映し出されているだけです。何か怖いシーンやグロいシーンがあるわけではありません。設定の割にかなり地味です。まあ、アイスランドの大自然をスクリーンいっぱいに感じられるのは綺麗だなと思いますけど。

そんな奇妙ながらものどかな雰囲気が続くかと思いきや、突如訪れる驚愕のラストがやってきます。いきなり現れる謎の存在。「おまえ誰だよ」感が満載なんですけど、その姿を見て納得します。「ああ、だからアダが生まれたのか」と。まあ、最後に急にやって来たことで、「こういうのがアリな世界観なのね」と思うしかないんですが、それをラスト5分で持ってくるのは、だいぶチャレンジングというか、不親切という気がしました(笑)あまりに突然すぎるから、文句のひとつもつけたくなる気持ちはわかります。映画の設定にわかりやすさを求めるなら、「古い言い伝えによると、、、」とか「人々の噂では、、、」とか、もう少し手前でそれとなく匂わせてほしい気もしますね。それをやっちゃうとサプライズはなくなっちゃいますが。

そういえば、夫婦の実の娘が亡くなった経緯は特に語られないんですよ。これ、もしかしたらラストに出てくる謎の存在と関わりがあるのでは、、、?だからこそ、マリアはアダの母親に対して、、、?つまるところ、この映画、復讐の連鎖なのかな、、、?そう考えるとちょっと楽しいですね。

<もったいなかったペートゥル>

てか、イングヴァルの弟であるペートゥルはもう少し見せ場が欲しかったですね。彼もまた詳細はわかりませんが、素行があまりよくなさそうなことはわかります。だから、マリアに少しちょっかいを出したり、アダに嫌悪感を抱いたりするんですが、せっかくのゲス野郎なのでもっと徹底的にやってほしかったなと思います。本来、ゲス野郎な役回りならあって然るべきな行動がちょっと足りなかったかなって感じました。

<そんなわけで>

全体的に意味がわからなさすぎるので、楽しめる人はそう多くはないかもしれません(笑)A24は『ミッドサマー』(2019)のイメージが強いですけど、今回は製作ではなく配給のみ。なので、あそこが作ってるわけではないことは要注意です(笑)


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