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「こんなエマ・ストーン見たことない!」ってぐらいの体当たり演技にアカデミー賞主演女優賞は彼女に捧げたいと思った『哀れなるものたち』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:7/9
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Poor Things
  製作年:2023年
  製作国:イギリス
   配給:ディズニー
 上映時間:142分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:小説『Poor Things』(1992)

【あらすじ】

※映画.comより引用。
不幸な若い女性ベラ(エマ・ストーン)は自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)によって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。

「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。

大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

【感想】

原作小説は未読ですが、とにかくエマ・ストーンの演技に振り切りまくった映画でした。予告だけじゃあんまり伝わってきませんでしたけど、本編を観て「R-18」である理由に納得です(笑)

<自由への渇望>

この映画、内容としては「何にも縛られずに自由を求める女性」の冒険譚および成長譚と言えるでしょうか。お腹の中にいた胎児の脳を移植されたベラ。つまり、体は大人だけど中身は赤ちゃんってことで、肉体年齢と精神年齢に大きな隔たりがある状態です。言葉も話せず、体が安定しないところからスタートし、徐々に言葉を覚えて、味の好みが出てきて、自慰行為を覚えて、性の悦びに目覚めていきます。普通の子供がそうであるように、彼女もまたそうやって大人への階段を上っていくわけです。そんなベラはやがて「外の世界を見てみたい」欲望にかられ、弁護士のダンカンと共に各地をまわっていきます。この旅の道中の彼女の奔放っぷりが面白くて。子供だから当たり前ですけど、とにかく好奇心旺盛で、自分でやってみないと気が済まないんですよ。本能の赴くまま、楽しいこと、気持ちいいことに明け暮れ、思ったことを素直に口にします。旅に出始めた頃の精神年齢は10歳にも満たなかったんじゃないですかね。彼女の中身が実は幼い子供だと知らない人たちからしたら、さぞ破天荒な女性に映ったことでしょう。

でも、何も知らない子供だからこそ、その偏見や差別のないモノの見方が興味深いんです。何事も「実験」であると思って、とにかくやりたいことをやってみる。普通の大人だったら躊躇してしまうことにも臆することなく飛び込んでいく姿は、いくら中身が子供とはいえ、頭でっかちな大人に「もっと自由になればいいんじゃない?」と言っているかのようでした。ダンカンは彼女をほぼ愛人のように扱っていましたが、実態はもはや保護者でしたね(笑)まあ、ダンカンの言うことなんてまるで聞きやしないんですけど。

<体当たりすぎる演技に脱帽>

そんなベラを演じたエマ・ストーンの演技は凄まじいです。最初の1歳ぐらいの子供のときなんて、しゃべり方や歩き方、食べ方など、まさにその年齢の子供のようで。食べたものを口から出したり、気に入らないことがあると騒いだり、ちょうど同じぐらいの歳の子供を持つ身だからこそ余計にリアルに感じました。エマ・ストーンにも今年3歳になる子供がいるみたいなので、我が子の動きを相当観察したことは想像に難くありませんね。

でも、やっぱり一番目を引くのはベッドシーンです。途中から娼婦として働くんですが、いっしょに旅をしたダンカンを含めて7~8人とそういう絡みがありました。しかもプレイ自体が激しい上に、上も下もぼかすことなくモロ出しなんですよ。「これがあのエマ・ストーン、、、?え、『アメイジング・スパイダーマン』のグウェンで、『ラ・ラ・ランド』のミア、、、?」と、その別人っぷりに驚きました。本作では、エマ・ストーンは主演だけでなくプロデューサーも務めているので、相当な入れ込みようだったことが伺えます。別に脱いだからってわけじゃないですが、肉体的にも精神的にもかなりハードな役を演じきったので、アカデミー賞の主演女優賞はぜひ彼女に獲得してほしいです。

<そんなわけで>

とにもかくにも、エマ・ストーンの振り切ったキャラクターだけで一見の価値がある映画なのでオススメです。もうひとつ、マーベル好きとして推したいのは、エマ・ストーンもマーク・ラファロもウィレム・デフォーもみんなスパイダーマンと関わりがあるってことですね(笑)


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