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スマホを落としたんじゃなくて恋に落ちてしまった『スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:107/121
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:116分
 ジャンル:サスペンス
元ネタなど:小説『スマホを落としただけなのに』シリーズ(2017-)
      映画『スマホを落としただけなのに』シリーズ(2018-)
公式サイト:https://sumaho-movie.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
長い黒髪の女性ばかりを狙った、連続殺人事件。

被害者は落としたスマホから個人情報を奪われ、家族や恋人だけでなく、最後は命まで奪われてしまう。ただ、スマホを落としただけなのに...。

人の心を操る天才的ブラックハッカーでもある連続殺人鬼の浦野(成田凌)は、事件を追っていた刑事の加賀谷(千葉雄大)に一度は捕まったものの、刑務所内からサイバー攻撃を計画して、警察内の混乱に乗じて姿を消してしまった。

浦野は、一体どこに――?

平穏な日々が続く中、突如として日本政府に、大規模なサイバーテロ攻撃が再び仕掛けられる。発信元は、韓国・ソウル。

これは浦野の仕業なのか?浦野を監視するエージェント・スミン(クォン・ウンビ)の正体は??

日本と韓国を舞台にした、スマホを持つ者全てがターゲットの、<ファイナル ハッキング ゲーム>がいま始まる――。

【感想】

映画『スマホを落としただけなのに』シリーズ第3作目。シリーズを通して原作小説は未読ですが、本作は小説第3巻の『スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス』(2020)が元になっています。舞台が韓国にまで及んでいる分、スケール的にはシリーズの中で一番大きかったですね。まあ、オチが想像の斜め上を行っていましたけど(笑)

<シリーズを経るごとにスマホを落とすこと自体は関係なくなっていく>

このシリーズは1作目で富田誠(田中圭)がタクシーの中にスマホを忘れ、それを浦野善治(成田凌)が拾い上げてハッキングし、富田の恋人である稲葉麻美(北川景子)をつけ狙うというのがすべての発端となっています。浦野が麻美を狙うのは、自身を虐待していた母親に似ているからなんですね。多分、母親からの愛情に飢えているがゆえに、異様なまでの執着を見せるんだと思います。1作目はタイトル通り、スマホを落としただけで命が危険に晒される事態をエンタメに仕上げていたんですけど、続く2作目ではもはやメインストーリーではスマホを落とさず、偽のフリーWi-Fiに繋いだ松田美乃里(白石麻衣)がMという謎の男に狙われるというサイバー犯罪っぽい話になっていきます。今回の3作目もそれに近く、富田がカフェでスマホを落としたことをきっかけに、再び麻美の身に危険が迫るも、もうタイトルのために無理矢理落とした印象しかなく、ちょっと不自然でしたね(笑)

ただ、今回のメインストーリーとしてはそのスマホを落としたかどうかはあまり重要ではなく、浦野のハッキングスキルに目をつけた韓国の反政府組織が日韓首脳会談を阻止するために、浦野に妨害工作を依頼するというものです。1作目で「スマホを落としたことでこんなことになるとは……」という現代っぽいリアリティを持ったエンタメが懐かしく感じるぐらい、ハリウッド映画にありそうなサイバーテロの話なっていました。とはいえ、アクション性や緊迫感といった要素がほとんどなく、その手のジャンルの話としてはだいぶ物足りない感じはしましたけど(笑)

<最後のオチにシリーズで培ってきたものが一気に崩れた感じがした>

じゃあどこに重きが置かれていたかというと、浦野の感情、特に人を愛することについてです。幼い頃に母親からの虐待を受けていたせいで人を愛することができなくなっていた浦野が、あれだけ麻美に執念を燃やしていたのに、ほんの些細なことから自分の中にある恋愛感情に気づいちゃうんですよ。いや、それはそれでいいんですが、ああいうオチだと1作目から続いていたサスペンス要素がすべて浦野が真の愛に気づくための前置きでしかなかったことになり、個人的には正直なんだかなあと。。。ただのこじらせたラブストーリーじゃねぇかって(笑)まあ、これをよしとするかなしとするかは人それぞれだとは思いますが、僕の中では「あ、そうですか」と虚無感を感じました。そもそも舞台を韓国にまで広げる必要あったのかなあと。むしろ、韓国映画の方がこういうのもっとうまく作りそうな気もします(笑)

<そんなわけで>

過去作を観ていた流れで本作も鑑賞しましたが、あれだけサスペンス感ある世界観だったのに、最後の意外なオチに少し肩透かしを食らったような気分になりましたね。ただ、1作目は富田メイン、2作目は加賀谷メイン、今回の3作目で浦野メインと、主人公がうまい具合にスイッチしていくのは飽きさせない工夫になっていてよかったかなと思います。あと、今作で言えば、スミンを演じたクォン・ウンビの日本がうまかったことにびっくりしました(笑)

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