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美しい被疑者と慈悲深い刑事の禁断の恋を描いた精神的なエロティック映画『別れる決心』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:22/23
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆

【作品情報】

   原題:Decision to Leave
  製作年:2022年
  製作国:韓国
   配給:ハピネットファントム・スタジオ
 上映時間:138分
 ジャンル:サスペンス、ラブストーリー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。

取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。

やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

【感想】

被疑者と刑事の一線を越えてはならない恋という韓国映画らしい極上のロマンを期待できそうな設定。と思ったんですが、実際はそんなんじゃなく、もっとやべぇ話でした(笑)サスペンスとラブストーリーのミックスジャンルなんですけど、正直、個人的にはイマイチでしたね。とにかく話が進まなくて(笑)

<いろいろ期待が膨らんだ前半>

この映画では2つの事件が起こるんですが、最初の方はよかったんですよ。ある日、とある男が山頂から転落死。取り調べを受ける妻のソレ。そんな彼女に一瞬で心を奪われてしまう刑事のヘジュン。この2人の出会いに期待が膨らみます。立場上、わかりやすくアプローチはできないんですが、もうね、ヘジュンのソレに対する扱いが違う違う(笑)取り調べ中の食事に寿司は出すし、食べ終わったらご丁寧に歯磨きの案内まで。いや、実際そこまでする場合もあるのかもしれませんが、ちょっとやり過ぎでは?と思いました。ソレもソレで気があるのか、お手洗いで香水までつけちゃって。しょっぱなから2人ともエンジンかかっちゃってましたね。

別にラブシーンを観たいわけではありませんが、やっぱりいつ一線を越えるのか、越えた後どうするのか、そこが一番気になりますよね。ところが、これがいつまで経っても越えないんですよ(笑)お互いに最低限のラインを守っていたとも言えるんですが、一向に関係性が進展せずで。そこが個人的には物足りないというか、間延びした印象は受けました。ただ、わかりやすい言葉や肉体的な繋がりこそないものの、お互いの視線や表情ですでにヤッてると言うか、精神的な繋がりは感じましたね。なので、どちらかといえば、アート寄りな作品が好きな人はそこを面白く感じるかもしれません。

<唐突すぎてついていけない後半>

しかしながら、後半からがよくわからなくなります。いや、話自体はわかるんですけど、いろいろ唐突すぎて設定を理解するのに一苦労で。。。結局、ソレがヤベェ女だってことだけはわかるんですけどね。彼女はヘジュンに恋し、彼にずっと見ていてほしかったんですよ、きっと。あまり男運がなさそうなソレにとって、仕事とはいえきちんと話を聞いてくれるヘジュンは魅力的だったのかもしれません。そこに味をしめたのか、ソレはヘジュンに会いたいがために、巧妙な事件を仕組みます。すんごくまわりくどいんだけど、そこまでやっちゃうという点で、メンヘラ気質なのかなとは思いましたけど(笑)

そして、衝撃のラスト。実は、僕はソレの行動の意図がよくわからなかったので、他の解説記事を読んで「なるほどな」と思った身です(笑)ああすることで、ソレはヘジュンの中で永遠になろうとしたんだなと。劇中のキーワードでもある"未解決事件"。ソレはまさにそれになろうとしたと。他にも、劇中でソレの着ている服の色にはちゃんと意味があったりとか、終盤で浜辺にできた砂山が満潮によって崩れるシーンが、ヘジュンが前半の最後に語った「僕はあなたのせいで崩壊しました」という言葉のメタファーだったりとか、言われれば「なるほどなあ」と思うところは多いんです。でも、自分ではそれに気づけませんでした。僕のリテラシーの低さに起因するところもあるかもしれませんが、ぶっちゃけ、観ているときにそこまで意識が向かないですよ。だって、状況整理で頭がいっぱいだから。それぐらい後半はいろいろ唐突すぎたということです(笑)

<そんなわけで>

個人的には、展開の遅さに少し退屈さを感じてしまう映画でした。韓国映画といえば、サスペンスはとてもスリリングで、ラブストーリーはとても激しい印象が強いですが、そのどちらも感じられなかったので。。。多くを語らず、「画で見せる」タイプの映画なので、肉体的なエロさよりも、精神的なエロさが好きな人には向いているかもしれません。

全然関係ないんですが、ヘジュンを演じたパク・ヘイルは眞島秀和さんに、ソレを演じたタン・ウェイは瀧内公美さんに、ちょっと似てるなって思いました(笑)


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