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台湾映画がやってくれた!!今年一番の大号泣。。。霊と人との純愛に涙が止まらず、悪霊バトルに大興奮のジャンルを超えたファンタジックラブストーリー『赤い糸 輪廻のひみつ』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:12/179
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:月老(Till We Meet Again)
  製作年:2021年
  製作国:台湾
   配給:台湾映画社、台湾映画同好会
 上映時間:128分
 ジャンル:ラブストーリー、ファンタジー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

※映画.comより引用。
落雷で命を落とし、冥界に連れてこられた孝綸(シャオルン/クー・チェンドン)は、同じく冥界にやってきたピンキー(ワン・ジン)と共に、台湾の縁結びの神様「月老(ユエラオ)」として現世に戻り、人々の縁結びをすることになる。

ある日、2人の前に一頭の犬が現れたことから、孝綸は失っていた生前の記憶を取り戻す。それは孝綸が突然死んでしまったことで果たすことができなかった、初恋の女性・小咪(シャオミー/ビビアン・ソン)とのある約束だった。

【感想】

※以下、敬称略。
なんという感動作。。。まさか年末のこのタイミングでこんな大傑作に出会うとは。。。今年一番泣きました。。。監督はギデンズ・コー。『あの頃、君を追いかけた』(2011)でも監督を務めた方です。それは観ていなかったんですが、2018年に公開された山田裕貴と齋藤飛鳥のリメイク版は観ていて、それはメチャクチャ面白かったんですよね。あの映画のオリジナル版を撮った人なら、うん、今回の映画が面白かったことにも頷けます。

<複数ジャンルが織り成す至高のエンタメ性>

今回の映画で面白いポイントは2つあります。ひとつは、ジャンルを飛び越えた世界観。もうひとつは、シャオルンとシャオミーのロマンチックすぎる純愛です。世界観はラブストーリーとコメディとアクションが見事に混ざり合っていて、どの要素も如何なく発揮されているのがよかったですね。それでいて物語の構成は『タイタニック』(1997)のように前半と後半でジャンルがガラッと変わるんですけど、それがまた飽きさせない要因にもなっていました。

まず、前半のラブコメからして面白いんです。落雷で命を落としたシャオルンは冥界で出会ったピンキーとパートナーを組み、ユエラオとして現世に舞い戻ります。といっても、死んでいることに変わりはないので、一般の人にはその姿は見えません。ユエラオとは台湾でいう縁結びの神様のことで、ユエラオが赤い糸で結んだ2人は必ず恋が実るそうです。ポスターでは指からビームを出しているように見えますが、これは赤い糸ですね(笑)笑えるのが、この赤い糸で結ぶのって男女やましてや人間同士である必要がないんですよ。ピンキーの元カレなんかは、生前苦しめられた仕返しにバイクの排気口と結ばれちゃってフ〇〇クしてましたから(笑)こんな設定、ハリウッド映画でしかなさそうなのに、それを取り入れちゃう台湾映画、侮れません。。。(笑)

<霊と人との異世界ロマンスに涙>

シャオルンは死してなお、生前大好きだったシャオミーのことが忘れられず、シャオミーもまたシャオルンのことを想い続けていました。ここがもう最っ高に泣けるところなんですよ!ネタバレはしたくないので詳細は割愛しますけど、本編を観ていると時々シャオミーが謎の行動をしていることに気がつくと思います。それが何なのか最初は訳がわからないんですが、回想シーンを経てその理由がわかると、彼女の健気さがそこに集約されていることに涙が止まらなくてですね。。。そもそも、この恋愛も元はと言えば、少額5年生のときにシャオルンがシャオミーに一目惚れしたところから始まるんですよ。当初、シャオミーはシャオルンの気持ちに応える気がまったくなかったんですが、それがこんなにまで変わるんだと思うと、、、あー、思い出しただけで涙が(笑)

とはいえ、いつまでも死んだ人のことを想い続けてもシャオミーのためにならないじゃないですか。なので、シャオミーにも生きている別の人と幸せになってもらおうと、国中のユエラオが集まって彼女といろんな人を赤い糸でくっつけようとします。ところが、悉く赤い糸が切れちゃうんですよね。そんなの前代未聞ですよ。次から次へとユエラオがやって来て、累計で1万本もの赤い糸を結ぼうとするんですが、結局全部失敗。なぜなのか。その理由を知ったとき、ここもまた大号泣だったんですよね。。。

<後半からラストにかけての流れも秀逸>

そんな感動話から一転、前半のラブコメから打って変わって、後半はまさかの悪霊バトルです。この映画の世界では輪廻転生が行われている設定なんですけど、実は500年前に仲間に裏切られて命を落とした鬼頭成(グイトウチェン/マー・ジーシアン)という人物がその復讐を企てていたんですよ。彼は冥界で牛頭馬頭(ごずめず)という獄卒(地獄で罪人を責めさいなむ鬼)を務めていました(鬼とは言ってもこの映画ではあくまでも職業のひとつとして描かれていたので、見た目は普通の人間ですが)。その裏切った仲間のひとりが転生を繰り返して、現代ではシャオミーになっていたんですね。復讐のためにシャオミーを狙うグイトウチェンと、彼の復讐を阻止しようとするシャオルンと冥界の戦士たち。ここではマーベルもびっくりのド派手なバトルが繰り広げられてメチャクチャ興奮しました。ただ、肝心の戦いは尺が短めだったので、個人的にはもうちょっと観たかったというのはあるんですけど(笑)

そこからラストの終わりまでもすごくよかったです。致命傷を負って今まさに命の火が燃え尽きようとしているシャオミーを身を挺して救おうとするシャオルン。そんなシャオルンに恋をしてしまい、複雑な気持ちのピンキー。恋の三角関係ではありますが、みんな幸せになる締めくくりに涙涙涙でした。

<ギデンズ・コー監督の手腕に脱帽>

もう本当にこの監督天才かって思いましたよ。これだけジャンルが異なる要素をいろいろ入れ込んで、ちゃんと感動と興奮を演出できていますから。特にロマンスの部分がうまいんですよね。確かに、シャオルンからの一目惚れから始まり、彼が一方的に想いの丈をストレートかつコミカルに伝え続けているだけなので現実離れはしているんですが、それゆえにインパクトも大きくてキャラクターの個性にもつながっています。正直に言うと、他にもちょいちょいツッコミどころはあったんですけど、全体を通じてメチャクチャ面白かったので、細かいところは気にならなくなりました(笑)

<そんなわけで>

これは超絶オススメしたい映画です!今まで書いてきた通り、シャオルンとシャオミーのやり取りに感涙必至なんですが、実はペットの犬もまた泣ける要素のひとつだったりします。やっぱり、犬は物語を紡げる一番の動物ですね!また、テーマソングの歌詞も本編を観るとメチャクチャ泣けちゃうのでぜひ注目していただきたいところです。そうそう、日本のホラービデオ『呪怨』(2000)や大人気漫画『SLAM DUNK』(1990-1996)の要素も入っているので、日本人ならクスッとできるのも推しどころです。


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