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邦画はメジャーになればなるほどアクションのキレがなくなってしまうものなのかと思った『リボルバー・リリー』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:104/116
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東映
 上映時間:139分
 ジャンル:アクション、スパイ
元ネタなど:小説『リボルバー・リリー』(2016)

【あらすじ】

大正末期の1924年。関東大震災からの復興で鉄筋コンクリートのモダンな建物が増え、活気にあふれた東京。

16歳からスパイ任務に従事し、東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与した経歴を持つ元敏腕スパイ・小曽根百合(綾瀬はるか)は、今は東京の花街の銘酒屋で女将をしていた。

しかしあるとき、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・慎太(羽村仁成)と出会ったことで、百合は慎太とともに陸軍の精鋭部隊から追われる身となる。

【感想】

原作小説は未読です。ハードボイルドなアクション映画でしたけど、スパイ映画として観ちゃうと「うーん」って感じですかねー。いや、内容としてはいいと思ったんですけどね、個人的にはイマイチハマれませんでした。

<既視感ある理由>

この映画、どこかで観た感じがすごくしたんですよ。そりゃスパイモノって世の中にたくさんあるんで、どうしても似てきちゃう部分はあると思うんですけどね。で、最終的に僕が結論づけたのは、過去のある2つの映画を掛け合わせた設定だったなということです。それが、『ブラック・ウィドウ』(2020)と『グロリア』(1980)。

『ブラック・ウィドウ』はマーベル好きならおなじみの作品ですね。訓練機関でスパイとして育成されたナターシャ・ロマノフことブラック・ウィドウが、戦闘のスペシャリストとして敵と戦っていく映画です。今回の百合はまんまそれですね。

もうひとつの『グロリア』をご存知の方はどれぐらいいるでしょうか。あの『レオン』(1994)の元ネタといわれている映画なんですけど。中年女性がマフィアの重大な秘密を隠し持つ少年を匿いながら、敵の追手から逃げるところを描いた作品です。今回の映画も、百合が慎太を守りながら陸軍の追手と対峙するところに共通項を感じました。

<海外作品と比べると見劣りしてしまう>

まあ、設定が似ているのはまったく問題ないんですけど、スパイ映画として観たときに、やっぱり海外作品との差がモロに出てしまうなとは感じました。『007』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズはもちろんのこと、女性スパイモノでも、シャーリーズ・セロンの『アトミック・ブロンド』(2017)やジェニファー・ローレンスの『レッド・スパロー』(2018)など、メチャクチャ興奮できる作品は多いです。それらの映画と今回の映画で何が違うかと言ったら、やっぱりアクションシーンの派手さということになってしまうんでしょうかね。。。この映画も銃撃戦や格闘などのシーンはあれど、派手さ、スピード感、バイオレンス度において、普段から洋画に慣れてしまっていると、ちょっと地味だなあと感じてしまいます。他にも、カーチェイスだったり、体を張ったスタントアクションだったり、「スパイってかっこいい!!」って思える要素がなかったのも、地味だと感じた要因かもしれません。

<メジャーであるがゆえの制約?>

でも、そのことイコール邦画のアクションのレベルが低いってことではまったくないんですよ。現に『ベイビーわるきゅーれ』シリーズや『先生!口裂け女です!』(2023)なんかは、邦画アクションの革命じゃないかってぐらいかっこよかったですから。メジャー作品よりも単館系の作品の方がアクションレベルが高く、振り切ってるんですよね。逆に洋画だと、メジャー作品になればなるほどアクションが派手になっていくんですが、どうやら日本はそうではなさそうですね~。予算も増える分、もっと過激なこともできるんじゃないかって思うんですけど、あれですかね、有名な女優さんを起用することで話題性は上がるものの、同時にいろいろ制約がついてあんまり過激なことができなくなってしまうとか。いやー、こういうのは絶対井澤彩織さんや屋敷紘子さんにやってもらった方がいいと思うんですけど。あとは、スパイ映画とはいえ、よくあるような潜入ミッションや色仕掛けみたいなものもないので、先ほども書いた通り、総じて「スパイってかっこいい!!」みたいな要素がなかったので、あんまりスパイ映画ってことを意識しない方がいいかもしれないです(笑)

<肝心なところが都合よすぎでは……?>

そして、気になったのが終盤のクライマックスのシーンです。あれだけ濃い霧に見舞われていたのに、カットが変わった途端にメッチャ晴れてたり、百合もあんなに撃たれているのに全然死ななかったりと、不自然なところが目につきました。そもそも、ナイフで心臓に達するぐらいの深さの傷を負っていたようにも見えたんですけど、、、ここはちょっと都合がよすぎるだろって感じたところでした(笑)

<そんなわけで>

スパイ映画っぽくないスパイ映画って感じでしたかね。これまでいろんなキャラクターを演じてきた綾瀬はるかさんが、めずらしくハードボイルドなアクションをやるってのは見ものだとは思いましたけど。それにしても、鈴木亮平さんの無駄遣いがすぎるような(続編への伏線、、、?)(笑)


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