【ネタバレあり】観るだけでイラつく超絶メンヘラな父親に振りまわされる一人息子が不憫すぎるなと思った『パリ、テキサス 2K レストア版』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:5/6
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:Paris, Texas
製作年:2021年(オリジナル版は1984年)
製作国:西ドイツ・フランス合作
配給:東北新社
上映時間:146分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ロードムービー
元ネタなど:エッセイ『Motel Chronicles』(1983)
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1318/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
4年前に妻子を捨てて失踪した兄トラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)が“テキサスの砂漠で見つかった”と連絡を受けた弟ウォルト(ディーン・ストックウェル)は、兄を引き取りLAに戻った。
息子ハンターと再会したトラヴィスは、弟の妻アン(オーロール・クレマン)から、トラヴィスの妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)から息子宛に送金があると知らされる。
トラヴィスは息子と共に、車でジェーンがいるヒューストンに向かう。
【感想】
「午前十時の映画祭14」にて。1984年の西ドイツ・フランス合作映画の2Kレストア版。放浪していた男が妻子と再会し、また別れるまでを描いた作品ですが、この男が自分勝手すぎて単純に子供がかわいそうだなと思う映画でした。なお、タイトルのパリはフランスではなく、アメリカのテキサス州にあるパリスという小さな都市のこと。でも、その街では撮影していないどころか、キャストが訪れることもなかったそうです(笑)
<心温まる父子の物語かと思いきや……>
ヴィム・ヴェンダース監督の作品ってややアート寄りなところがありますよね。個人的にそっち系はあまり好みではないので、この前観た『ベルリン・天使の詩』(1987)はあまり刺さりませんでした。でも、この映画は人間ドラマが興味深かったので個人的には楽しめた方ですね。
正直、この映画は誰の何を描いているのかっていうのがわかりづらいところがあるんですけど、メインとしてはトラヴィスが別れた妻と子供と再会し、結局また離れるっていう話です。冒頭、4年間行方不明になっていたトラヴィスが見つかって、弟夫婦のところでやっかいになるんですが、多くを語らないから一体何があったのかずっとわからないままです。とはいえ、4年ぶりに再会した実の息子と徐々に打ち解けていく過程や、妻を探してヒューストンに向かう様子などは、心温まるヒューマンドラマとして楽しめます。
が、ラスト30分ぐらいで衝撃の真実が明らかになります。これもう全部説明セリフになっちゃってて、感動もクソもないんですが、話を聞けばトラヴィスって随分身勝手なクソ野郎だなと感じます(笑)ここからはネタバレになるので、知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。
<メンヘラすぎる父親にドン引き>
トラヴィスは妻のジェーンがテレクラで働いていることを突き止めて、客として彼女に接近します。で、彼女を指名して、電話越しにすべてを語り出すんですよ。トラヴィスとジェーンはお互いに愛し合っていましたが、トラヴィスがジェーンのことを好きすぎて身も心ももたないと。トラヴィスはジェーンが嫉妬することこそが愛の証だと思っていて、彼女を試すためにあえて遅く帰るとかするんですけど、ジェーンは心配こそするけど嫉妬はしなくて。それでトラヴィスは激怒するっていう、もうおまえ何なんだよって(笑)
そうこうしているうちに子供ができて、ジェーンも子育てで疲れ果てて、ますますトラヴィスとの間に溝ができて、結局子供はトラヴィスの弟夫婦に預けることに。で、トラヴィスもジェーンも行方をくらますと。だから、冒頭でトラヴィスがふらふら歩いていたのも、問いかけに応じなかったのも、精神的にまいってたし、過去のことを忘れたかったからなんじゃないでしょうか。
それで、ようやくトラヴィスは妻にも子供にも再会できたのに、なんと彼の方から離れるときたもんだ!マジでおまえ何なんだよ、きめぇよって(笑)おそらく、またジェーンといっしょになると彼女にゾッコンすぎて精神を病んでしまい、お酒に走って迷惑をかけることになるから、ジェーンのためにも子供のためにも距離を置こうってことなんでしょう。「まだまだ自由を謳歌したいから」というふざけた理由ではないにせよ、現実から逃げてることに変わりはないですし、こいつの精神はゴミクズなのかって思いました。ジェーンもそうですが、子供が一番かわいそうですよね。。。「パパは何でいなくなったの?」と聞かれたら、「ママが好きすぎて心身共に疲弊するからよ」とでも答えるですかね?(笑)
<そんなわけで>
メンヘラすぎる男の生き様に家族が、特に息子が可哀想だなと思う映画でした。トラヴィスの行動も家族を守るためってことになるのかもしれませんが、いい年したおっさんが寝言ほざいてんじゃねーぞって感じでしたね(笑)
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