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究極のボクシング映画!人類史上最もアツい世代交代劇だった『クリード チャンプを継ぐ男』

【個人的な満足度】

  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:Creed
  製作年:2015年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース映画
 上映時間:133分
 ジャンル:スポーツ、ヒューマンドラマ
元ネタなど:映画『ロッキー』シリーズ(1976-2006)

【あらすじ】

アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)は、世界的に有名なボクシングのヘビー級チャンピオンだった父アポロ・クリード(カール・ウェザース)のことを何も知らない。彼が生まれる前に亡くなってしまったからだ。

アドニスは父と同じ道を歩もうと、父がその拳で伝説を残したフィラデルフィアへ向かう。そこで、父のかつてのライバルだったロッキー(シルヴェスター・スタローン)を捜し出したアドニスは、彼にトレーナーになってほしいと願い出る。ロッキーはボクシングから完全に手を引いたと断りつつも、かつての宿敵であり、後に親友となったアポロと同じ強さと決意をアドニスに見い出し、トレーナーを引き受けることに。

ロッキーを味方につけたアドニスは、ついにタイトル戦への切符を手に入れるのだが…。

【感想】

シリーズ最新作が2023年5月26日に公開されることを踏まえ、1週間限定でのリバイバル上映。『ロッキー』シリーズ初のスピンオフ作品であり、『クリード』シリーズ第1作目。とんでもなく面白い映画ですよ、これは!!

<秀逸すぎるキャラ設定>

いやもうね、キャラ設定が最高でした。『ロッキー』シリーズでロッキーのライバルだったアポロ(カール・ウェザース)の遺児を主人公にするんですから!普通だったらロッキーの息子を主人公にしそうですけど、そこをあえてロッキーの宿敵だったアポロの息子にしたことで、ドラマ性が増したと思うんですよ。だって、ロッキーが指導するのが実の息子だったら当然の流れになっちゃいますけど、かつての宿敵の息子となるとそれだけでエモくないですか?!そもそも、ロッキーの息子は過去作にも出ていますけど、ボクシングには向いていなかったのと、どこへ行っても「ロッキーの息子」と言われることを嫌がっていたと語られているので、それ以上掘り下げることは難しかったのかもしれませんが。

アポロは『ロッキーⅣ』(1985)にて、ドラゴ(ドルフ・ラングレン)との戦いで命を落としており、アドニスが生まれる前に亡くなっているんですよ。だから、アドニスは父親を知らず、ボクシングを教えてくれる人が身近にいませんでした。そんな状況で、自分が強くなるためにうってつけのトレーナーと言えば、かつて父と戦ったロッキーしかいないってんで、そこで師弟関係が結ばれるのがアツいですよ。父をアポロに、トレーナーをロッキーにって、まさに父が孫悟空、トレーナーがピッコロっていう孫悟飯みたいじゃないですか(笑)

正直、アドニスがなぜボクシングに目覚めたのか、なぜそこまでして強くなりたいのかは明確に語られていません。単に「父がそうだったから」という感じしかしないんですけど、それでもアドニスがロッキーの指導の下、着実に力をつけ、最後の対戦に臨む流れは、これまで『ロッキー』シリーズを観てきた身からしたらおなじみの展開に親しみを感じつつ、ロッキーがセコンドに入るという世代交代感もあって、懐かしさと新しさを両方感じられるのがよかったですね。

<興奮と感動の対決シーン>

この映画の一番の見どころといえば、やっぱり最後の試合じゃないですかね。特に、第2ラウンド後半からの両者の打ち合いがメチャクチャかっこいいんですよ!!対戦相手のコンランを演じたのは、もともとプロのボクサーであるアンソニー・べリューっていうのも本格的。そんなプロとやり合っちゃうマイケル・B・ジョーダンも相当なトレーニングを積んでいると思いますが、そこまで役作りを徹底させるところが、本場のショービズだなって思います。

しかも、しっかり泣かせてくるのがまたうまいんですよね。試合前にアポロと同じ星条旗のトランクスが母親から届けられるシーンや、アドニスがダウンした後にフラッシュバックでアポロの顔が映るシーンなんかは特に感動的でした。"父親から受け継がれる意志"を強く感じます。

最後、勝ち負けがちょっとわかりづらいかなとは思いましたけど、試合に負けて勝負に勝ったという意味では、第1作目の『ロッキー』と同じで、原作へのリスペクトを感じられました。

<ロッキーの老いに哀愁を感じる>

それにしても、ロッキーが弱々しくなっていたことに少し寂しさを覚えました。妻のエイドリアン(タリア・シャイア)は前作である『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)で亡くなった設定でしたが、今作ではその兄のポーリー(バート・ヤング)も亡くなっていましたし、息子は離れて暮らしていますし、家族が近くにいないんですよね。おまけに自分も病気になっちゃって。時の流れを痛感しました。。。まあ、シリーズの第1作目から40年近く経っていますからね、そりゃそうなるよなとは思いますけど。でも、40年近くも同じロッキーを演じているシルヴェスター・スタローンの継続力には驚きます。それでいていい歳の取り方をしていますしね。やっぱり、彼はどうやったら自分がかっこよく映るかを熟知していると思いますね。

<そんなわけで>

感動と興奮がダブルで味わえる最高のボクシング映画でオススメです!『ロッキー』シリーズのスピンオフではありますが、BGMも『ロッキーのテーマ』を使用していますし(しかも流れるタイミングが神がかっている!)、ロッキー自身の出番も多いしで、もはやスピンオフであるのがもったいないぐらいでした。『ブラックパンサー』シリーズもそうですが、ライアン・クーグラー監督は黒人をかっこよく描くのがうまいですね!


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