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独特なセンスを持った映画監督であると同時にとびっきりの映画ファンで、こういう人の現場に入ってみたいと思った『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:41/127
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:QT8: The First Eight
  製作年:2019年
  製作国:アメリカ
   配給:ショウゲート
 上映時間:101分
 ジャンル:ドキュメンタリー
元ネタなど:映画監督「クエンティン・タランティーノ」(1963-)

【あらすじ】

唯一無二の作風で世界中の映画ファンに支持され、長編10作目を完成させたら映画監督を引退すると公言しているタランティーノ。

監督デビュー作『レザボア・ドッグス』から8作目の『ヘイトフル・エイト』までに出演したサミュエル・L・ジャクソン、ジェイミー・フォックス、ダイアン・クルーガーら俳優やスタッフたちが登場。

レザボア・ドッグス』の伝説の耳切りシーン誕生秘話、『パルプ・フィクション』のキャスティングの裏側、『キル・ビル』撮影現場で起きた事故の真相、そして盟友ティム・ロスが明かす引退後の計画など、驚きのエピソードの数々がタブーなしで語られる。

【感想】

映画監督のクエンティン・タランティーノについて、これまでの出演者たちがとにかくベタ褒めしまくるドキュメンタリー映画でした。恩があるから悪いことは言わないでしょうけど、それでもタランティーノ監督がまわりから愛される理由がよくわかる微笑ましい内容でしたね。

<タランティーノ監督作品の特徴>

兼ねてより、長編映画を10作撮ったら引退すると決めているクエンティン・タランティーノ監督。現在9本までが公開されていますが、僕はその中で『パルプ・フィクション』(1994)、『キル・ビル Vol.1』(2003)、『キル・ビル Vol.2』(2004)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)の4本しか観ていません。ですが、それでもすごく独特な作風だというのがわかります。とにかく、他の映画の要素をふんだんに取り入れ、無駄にスプラッターシーンが多く、意味のない長ったらしいセリフが延々と繰り返されてテンポが悪いのは共通していました(笑)字面だけで見ると、場合によってはマイナスになりそうな要素もあるのに、それでも何か惹かれてしまう魅力があるのが彼の作品です。

<とびっきりの映画好き>

タランティーノ監督作品に惹かれてしまう理由を考えてみたんですが、僕としては、「この人メッチャ映画好きなんだろうな」っていうのと、「自分が観たいもの」を撮っているため、作ってる方はものすごく楽しいだろうなってのが伝わってくるからだと思いました。彼の現場ではカットがかかるたびに、「今のいい。すごくいい。次に行ける。でも、、、もう1回撮ろう!なぜなら、俺たちは映画を作るのが好きだから!」と大声で叫んでるんですよ。やや宗教じみた印象もなきにしもあらずですが、それだけ映画に振り切った生き方は、同じ映画好きとしていいなと感じました。

<映画に関する知識がハンパない>

もともと、タランティーノ監督はレンタルビデオ店で働いており、そこで大量の映画を浴びるように観ていたそうなんです。だから、ものすごく映画に詳しくて、それが今の作品づくりにも影響を与えているとか。しかも、日本のアニメや特撮にも明るく、日本人でも知らないようなニッチな作品までカバーしているほどのマニアっぷりだそうです。彼の前で下手に映画トークをしようものなら、その膨大な知識量によって返り討ちにされるとかされないとか(笑)

インタビューによれば、とにかくタランティーノ監督は類まれな才能を持っており、すべてを計算し尽くした上で撮影しているそう。なんと、これまでの作品はストーリー上の繋がりはないものの、キャラクター同士は密接に繋がっていることもあって、実は作品の枠を超えた「タランティーノ・ユニバース」みたいな感じらしいんですよね。

そうやって映画作りに没頭しているだけかと思いきや、撮影の流れでテキーラを飲んで酔っ払って、グラスを割って手が血だらけになって爆笑してるというぶっ飛んだところもあるようです(笑)また、人をすごく大切にするみたいで、義理堅い性格でもあるとのこと。一度はこういう人の現場で働いてみたいなと思いました(とても大変そうではありますがw)。

【突如としてやってきた悲劇】

そんなタランティーノ監督ですが、彼は『キル・ビル』のときに、主演のユマ・サーマンに車の運転を強要した結果、事故が起きてしまい、彼女に一生後遺症が残るケガを負わせてしまったんです。こだわりの強さが裏目に出てしまったのでしょうか。今回のドキュメンタリーの中で「人生最大の後悔」というようなことを語っていましたね。

また、タランティーノ監督と切っても切れないのが、セクハラ問題で注目を浴びたハーヴェイ・ワインスタインです。付き合いが長いこともあって、タランティーノ監督は当初、ワインスタインのセクハラ行為を黙認していたようです。でも、事件が明るみになってすぐワインスタインとの関係を切りました。タランティーノ監督が映画を撮れたのは、ワインスタインの力もあったとは思うので、すぐには踏ん切りがつけられなかったのではと推測できます。もちろん、そんな人とは手を切って然るべきなんですけど。

<そんなわけで>

すべてが順風満帆というわけではないにせよ、出演者からの評判はよく、改めてタランティーノ監督の魅力を知れる内容でした。彼の作る映画自体には好き嫌いあるとは思いますが、人としてのタランティーノ監督にとても興味がわきますね。彼の作品を全部観ていなくても楽しめるので、気になった方はぜひ劇場へ足を運んでみてください。


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