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歌で政治的混乱を収め、平和と愛を求めた伝説的ミュージシャンの伝記映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:57/64
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Bob Marley: One Love
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:藤和ピクチャーズ
 上映時間:108分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
元ネタなど:歌手「ボブ・マーリー」(1945-1981)
公式サイト:https://bobmarley-onelove.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
1976年、対立する二大政党により国が分断されていたジャマイカ。国民的アーティストとなっていたボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディル)は国内の政治闘争に巻き込まれ、銃撃されてしまう。だがその僅か2日後、ボブは怪我をおして「スマイル・ジャマイカ・コンサート」のステージに立ち、8万人の聴衆の前でライブを披露。

その後身の危険を感じロンドンへ逃れたボブは「20世紀最高のアルバム」(タイム誌)と呼ばれる名盤『エクソダス』の制作に勤しむ。さらにヨーロッパ主要都市を周るライブツアーを敢行し、世界的スターの階段を駆け上がっていく。

一方母国ジャマイカの政治情勢はさらに不安定化し、内戦の危機がすぐそこに迫っていた。深く傷ついたジャマイカを癒し内戦を止められるのはもはや政治家ではなく、アーティストであり国民的英雄であるこの男だけだった———。

【感想】

レゲエの先駆者の一人であるとされる伝説的なミュージシャン、ボブ・マーリーの伝記映画です。正直、映画として面白いかと言われるとそんなことはまったくなかったんですが(笑)、歌で和平を実現できる力があるってのはとても素晴らしい才能だと感じる映画でしたね。

<アーティストへの愛着が映画の面白さに繋がりやすい>

ボヘミアン・ラプソディ』(2018)の大ヒット以降、アーティストの伝記映画がメチャクチャ増えた気がしませんか?けど、この手の映画って、そのアーティストのことがどれだけ好きか、歌をどれだけ知っているかで相当印象が変わると思うんですよね~。僕は洋楽はおろか、そもそも音楽自体を聴かないんですよ(例外として幼少期に慣れ親しんだ90年代J-POPだけは聴きまくってますがw)。なので、レゲエやジャズにも興味がなく、ほとんど耳にしたことがありません。今回のボブ・マーリーだって名前を聞いたことがある程度です。そういう意味では、題材となっているアーティストや歌を知っているという「下駄を履いた状態」ではないですね。その分、ある意味純粋に映画そのものとして観ることができるというか、フラットな視点で感想を書けるかなとは思います。

<ボブ・マーリーを知らないと辛い>

で、結果的にこの映画は全然刺さらずでした(笑)伝記映画だと、そのアーティストがいかにして有名になったのかっていう半生を描いたものが多いですが、本作に関してはボブ・マーリーはすでに有名になっており、半生どころかアルバム『Exodus』(1977)が発売される前後の数年しか描かれていません。これはもうボブ・マーリーのことを知らない身からしたらなんのこっちゃっていう話ですよ。しかも、前半は銃撃されることを除けば大きなトラブルもなく淡々と話が進んでいくので、退屈っちゃ退屈です。後半になってようやく妻や仲間との対立や病気の進行など、物語として見ごたえある要素が増えてくるんですが、もう少し手前に欲しかったですね。

歌に関しても、もともと知らない身からすると「これがレゲエってやつか」ぐらいしか感じなかったので、、、うん、なんか面白さがわからなくてごめんなさいって感じでした。。。(笑)というより、そもそも歌を聴かせるような映画でもなかった気がするんですよね。せめて最後のライブで見せ場があるのかなと思ったんですが、まさかのステージに上がる前に幕を閉じ、後日談的なテキスト表示と当時の映像がちょっと流れるぐらいで。『ボヘミアン・ラプソディ』なんかはラストのあのライブ映像からのエンドクレジットでかなり盛り上がりましたからね。

そうすると、この映画のためにボブ・マーリーの音楽をあらかじめ聴いておけばもう少し楽しめたのでは?と思うんですが、普段耳にしないジャンルの音楽を付け焼刃的に聞いてもあんまり意味ないかなって思います。やっぱりこれは常日頃からボブ・マーリーを愛し、彼の歌が好きな人のための映画ですね。

<愛と平和のために歌い続ける姿には感心しかない>

ちょっとネガティブなことを書きすぎたかもしれませんが、逆に言えばボブ・マーリーや彼の歌を知っていれば楽しめるということです。また、映画自体は刺さらなかったんですが、ボブ・マーリーの生き様には感動しました。自分だったら銃撃された時点で怖くて表立った音楽活動なんてできないですよ。でも、ボブ・マーリーは愛と平和のために歌い続けて、二大政党の党首をライブ中のステージに上げ、和解の握手をさせたんですから、歌の持つ力の強さを痛感しました。

<そんなわけで>

これはもう完全にボブ・マーリー好きのための映画だったなと。ボブ・マーリーを知らない人はけっこう置いてけぼりになります。一応、事前知識としてこの記事を読むと参考になるかもしれません。

こういうアーティストの伝記映画で次に特大ヒットを狙えるのは、、、やはり彼しかいないんじゃないですかね。あのマドンナをして「キング」と言わしめた男。キング・オブ・ポップのマイケル・ジャクソンです。


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