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純情と性の奔放さが入り混じったカオスなミュージカル『キャバレー』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:20/25
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Cabaret
  製作年:1971年
  製作国:アメリカ
   配給:20世紀フォックス
 上映時間:124分
 ジャンル:ミュージカル、ラブストーリー
元ネタなど:ミュージカル『キャバレー』(1966-)

【あらすじ】

1931年、ナチズムが台頭してきたベルリン。アメリカ人のサリー(ライザ・ミネリ)は、毎晩小さなキャバレー「キットカット・クラブ」で唄い、いつかスターになる日を夢見ていた。

ある日、ロンドンからやって来たブライアン(マイケル・ヨーク)がアパートの隣の部屋に越してくる。自由奔放な性格のサリーとは反対に、博士号を取得するまでの間、英語を教えて生計を立てようとしていた真面目なブライアン。

正反対だった二人は、いつしか愛し合うようになるが―。

【感想】

「午前十時の映画祭12」にて。1971年のアメリカ映画。主人公のサリーを演じたライザ・ミネリは、『オズの魔法使い』(1939)でドロシー役を演じていたジュディ・ガーランドの娘ですね。歌唱力は母親譲りだなと思いました。

<人との距離感がおかしい人たち>

今回の映画は主人公サリーを主軸としたラブストーリーではあるんですが、みなさんかなり人との距離感が近いというかなんというか。まずはサリーがもうバグってます(笑)キャバレーで歌手をしているんですが、彼女はけっこうなビッチでして。まあ、明確にそういうシーンがあるわけではないんですけど、セリフのやり取りからそうであると。彼女の隣の部屋に越してきた純朴そうな青年ブライアンも早速誘惑していました(笑)

ただ、ブライアンは真面目なのと、過去に女性とうまくいかなかったことから、そんな誘惑には乗りません。なので、二人は友達としての関係を深めていき、そこがすごく好印象だったんですけど、結局はなんだかんだで恋仲になっちゃいます。うーん、映画だと正反対の人間って惹かれ合う設定が多いですけど、現実ではどうでしょう。自分はそんなことまったくないんですけどね(笑)

とまあ、ここまではよくある恋愛物語だとは思うんですけど、後半でサリーがマックス(ヘルムート・グリーム)と知り合ってから妙な関係が始まります。マックスは既婚者なんですが、夫婦はお互いに干渉し合わない方針らしく、彼もまた奔放なところがあるんですよ。で、なぜかこのマックスとサリー、ブライアンの3人で遊ぶようになるんですよね。カップル+1人という組み合わせ自体は別に変ではないのですが、このマックスが何を考えているかわからないから、観ている方としては落ち着きません。

マックスはサリーを狙っているのか、それともブライアンと仲良くなりたいのか。結論から言うと、その両方でした(笑)マックスはサリーと関係を持つし、さらにはブライアンとも何かあったようで。ブライアントのことは終盤で彼の口から語られるのみで、“そういう”シーンは描かれていません。なので、僕は突然の告白に驚いたのですが、後で調べてわかったことは、マックスがブライアンにプレゼントしたシガレット・ケースがその匂わせらしいんですよ。僕はただの金持ちの道楽としか見ていなかったんですが、暗に“そういうこと”を示していたようで。。。僕のリテラシーが低くく、気づきませんでした(笑)

そんなトリッキーな事情がありつつ、サリーとブライアンの行く末がどうなるかってのがこの映画の見どころですね。ただ、奔放な人はその本質は変わらないのかなと個人的には思いました(笑)

<もうひとつの恋路>

サリーたちの話と並行して、もうひとつエピソードがあります。それは、ブライアンの友人であるフリッツ(フリッツ・ヴェッパー)が、令嬢のナタリア(マリサ・ベレンソン)に恋をしているというもの。彼は恋路に悩んだ挙句に、サリーのアドバイス通りにナタリアを押し倒すという強行手段に出ます。ところが、それが紆余曲折を経てうまくいったなんて若気の至りみたいな話になっており、「そんなバカな」って思いました。これは割とオーソドックスな青春ストーリーって感じがしますけど(笑)

<そんなわけで>

純情なんだか不純なんだかよくわからないラブストーリーでしたね。みんな素直で元気だなというのは伝わってきましたけど(笑)なお、キャバレーでのパフォーマンスは、確かに歌や踊りは煌びやかだったんですけど、劇中の観客たちのように爆笑するツボはわかりませんでした。よく日本の映画館で見かける、外人だけが笑ってるみたいな、ああいう感じでした(笑)


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