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コメディ控えめの雰囲気と秀逸な構成のおかげで、シリーズで一番面白いと感じた『コンフィデンスマンJP 英雄編』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:3/6
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】

コメディ
サスペンス
コンゲーム

【原作・過去作、元になった出来事】

・テレビドラマ
 『コンフィデンスマンJP』(2018)

・映画
 『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019)
 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020)

【あらすじ】

“英雄”と謳われた詐欺師〈三代目ツチノコ〉が死んだ。その元で腕を磨いた過去を持つダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)。当代随一の腕を持つコンフィデンスマンによって密かに受け継がれる〈ツチノコ〉の称号をかけ、3人の真剣勝負が始まる。

舞台は世界中のセレブが集まる世界遺産の都市〈マルタ島・ヴァレッタ〉。狙うは、莫大な財を成して引退したスペイン人の元マフィアが所有する、幻の古代ギリシャ彫刻〈踊るビーナス〉。それぞれの方法でオサカナに近づく3人だったが、そこに警察やインターポールの捜査の手が迫っていた…。

果たして、最後に笑うのは誰なのか!?まったく先の読めない史上最大の騙し合いが始まる!!そして、本当の〈英雄〉、最後の〈真実〉とは!?

【感想】

2018年のテレビドラマから続く人気シリーズ最新作。この4年の間に映画3本ン作られてますからね!かなりのハイペースじゃないかと。僕はテレビドラマから全部観てはいるんですが、実は正直ハマれなかったんですよ。。。ところが!今回の映画は普通に面白かったです!その理由を書いていきますね。

<4つの視点から描かれる騙し合いバトルが面白い>

今回の映画はこれまでとはちょっと違った構成でした。いつもはストーリーが進んでいって、最後に時間を巻き戻し、どこからが仕込みだったのかのネタばらしが始まるという構成なんです。もちろん、この作品も大枠はその通りなんですが、今回はダー子、ボクちゃん、リチャードによる、「誰が最も稼げるか」を競い合うゲームがメインのお話。3人それぞれが協力者を得て
ターゲットに近づく流れなので、基本別行動なんです。だから、『最後の決闘裁判』(2021)のように、3人それぞれの視点で物語が展開していくのが、新しい手法でした。その中で、ダー子のエピソードの裏側が、ボクちゃんのエピソードでわかるというように、「小さなネタばらし」があったのが
飽きずに観れるいい工夫だと思いました。

さらに、その3人だけでなく、今作で彼らを追い詰める"インターポールの狼"マルセル真梨邑(瀬戸康史)の視点が入っているのも、この映画をさらに面白くする要因でしたね。味方だけじゃなく、"敵側の視点"があるっていうだけで興味をひくし、瀬戸康史の敵役に徹した演技がすごくよかったです。インターポールっていわば警察みたいなものなので、『ルパンの娘』の役どころと少し被って見えましたけど(笑)

<コメディ要素控えめだったのが程よい>

このシリーズは何と言ってもダー子ありきっていうのが特徴なんですよね。結局、すべては彼女を中心にまわっているので。だから、彼女にハマらないと、なかなか物語に入り込みづらいところがあるんですよ。そこが、僕がハマれなかったところです。コミカルなキャラクターではあるんですけど、ちょっとやりすぎというか、やや鬱陶しさを感じていた上に、笑いのツボも違ったので。。。

それが、今回は視点が4つに分かれてるって先ほど書きましたよね。そのおかげで、ダー子一辺倒だった比重が分散されているんですよ!コメディ調ではあるんですが、いつもより控えめで、少しシリアス寄りになっていたので、ストーリーにも集中しやすかったです。先に書いた「小さなネタばらし」がある中で、どこが「大きなネタばらし」になりうるのか、あれこれ予想しながら観るのは楽しいですね~。ファンにはもちろんのこと、初めての人でも楽しめるエンタメコンテンツでした。

<スタアとジェシーへの配慮>

コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019)より登場したスタア(竹内結子)とジェシー(三浦春馬)。残念なことに演じられたお二方が亡くなっているので、本作への登場はないんですが、、、彼女らを思わせるシーンがあるのは感慨深かったです。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、特にジェシーはね、「生きてるんだなあ」って感じられたのがよかったなって。"配慮"って書くとちょっと仰々しいかもしれませんが、2人が『コンフィデンスマンJP』の世界に生き続けている設定はうれしいです。

<そんなわけで>

このシリーズは、過去作からの続投キャラはいるものの、話としては基本1話完結型で進んできたので、そこまで過去作と密接な繋がりはありません。そこも気軽に観れるいいポイントですね。なので、もしこの作品が初見だとしても、面白さが半減することはないと思います。むしろ自分としては、それまでハマらなかったシリーズでも、観続けていると面白さを見出せることもあるなと気づけたいい作品でした。みなさんも、本当の〈英雄〉と最後の〈真実〉をその目で確かめてみてください。


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