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高倉健ではのし上がれない

努力したからといって必ずしもそれが報われるものではない。
もう、聞き飽きた言葉だ。

努力する以上、何らかの目標があるに違いない。
それならば、努力しても望む、あるいは望まれる結果を出せなければ意味がない。

だから、努力するだけでは駄目で、努力して結果を出さなければ報われるはずもない。
当たり前のこと。

では、努力して結果を出せば、必ず報われるのだろうか。

残念ながら、世の中はそんなにドラマチックではない。

結果を出して、さあ報われてさしあげましょうという時に、ケガや病気になることもある。

さあこれからという時に、病に倒れるということもよく聞く話だ。

しかし、病気もケガもしていないのに、結果を出しても出しても、報われない。
そんな人を何人も見てきた。

さて、報われるとは?

サラリーマンの場合には、昇格する、昇給することだ。

では、なぜ同じ努力をして同じ結果を出しているのに、報われる人とそうでない人が出てくるのか。

それは、単純にいうと周囲にアピールできるかどうかだ。

よく見てほしい。
結果を出す前から、自分の努力をアピールしている人はいないだろうか。

自分はこんなことをして、あんなこともして、頑張っているんだよ。
こんな人って、黙ってやれよとウザい時もあるが、見ているとその過程でいろいろ助けてもらったりしている。

そして目標を達成した。望む結果が出た。
ヤッター!とガッツポーズでアピールだ。
ほらほら、僕、やりましたよ。見て見て。

一方で、ひとり黙々と努力している人もいる。
誰にも自分の努力をアピールせずに、背中に孤独の2文字を漂わせて取り組んでいる。

目標を達成しても、平然としてもう次の仕事に取り組んでいる。

どちらが報われるのか。

往々にして、前者だ。
後者は同じ結果を出しているにもかかわらず報われないことが多い。

企業であれば、昇格させるにしても全員を課長、部長にするわけにはいかない。
同じ成績の者が2人以上いれば、そこから選ばなければならない。

であれば、自分の成績をアピールできる方が有利に決まっている。
むしろ、人間性よりも優先される。
何となく、仕事ができそうだ。
会社とはそんなもの。
少なくとも、2階級以上の上司の見る目など知れている。
というか、見ていないのだから、こちらからアピールした方が有利に決まっている。

では黙々と努力する人も、アピールすればいいではないか。

できないわけではない。やりたくないのだ。

アピールしようが、黙っていようが、達成した結果は同じだ。
数字が変わる訳ではない。
見ればわかるだろ。
わかる奴だけ、わかればいい。

まるで高倉健のようだが、心理はそんなところだ。

このタイプはよく見てくれる上司に当たるまでは冷や飯を食うことが多い。

恐らく、菅義偉前首相もこの高倉健タイプではなかったのかなと思う。
原稿を読もうが、カメラ目線で話そうが、内容に変わりはない。
大声で叫んでも、小声で呟いても、政策に変わりはない。
結果を出さなければ意味ないだろ。

コロナ感染者が激減している今頃まで続けていれば、指示率はV字回復を果たしていたかもしれない。

本来、日本人は黙々タイプ、高倉健タイプの方が好みだった筈だ。

そもそも高倉健が明石家さんまのようにお喋りだったら、あんな大スターにはならなかっただろう。

かつて「男は黙ってサッポロビール」というCMがあった。

論語には「巧言令色鮮(すく)なし仁」とある。
四文字熟語には「不言実行」。

しかし、これは逆に人はややもすると言葉多き者に惑わされやすいということかもしれない。
ついついそちらに目がいってしまう。
だから、注意しておくよと。

中島みゆきも、
「君の心がわかるとたやすく誓える男に
 なぜ女はついていくのだろう
 そして泣くのだろう」
と歌っている。

泣くのは女ばかりではないだろう。
男だって泣かされることもある。

あなたがこれから会社という組織の中でのし上がりたいのなら、努力するだけでは駄目だ。
結果を出すだけでは駄目だ。
努力と結果を、同僚や上司にアピールしなければならない。

しかし、あなたが評価する立場になれば、そんな部下に騙されないように気をつけなければならない。
せいぜい、冷たい雨の降らないように。
 
















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