確率で考えることの重要さ

トレードとは

トレードについて、多くの人が勘違いしています。
トレードとは、勝つ確率の高いものに賭けることです。
正確に言えば、勝つ確率だけでなく、勝った時にどれくらいの利益を得られるのか、負けた時にどれくらいの損失を受けるのかといったことも考慮する必要があります。
※勝つ確率や勝ったときの利益が大きいポイントのことを「エッジがある」と言います。
この考え方は、トレーダーの中でも、株式投資しかしたことがない方には特に受け入れ難いようです。
例えば、60%の確率で10%の利益、40%の確率で5%の損失となるトレードを繰り返せば通算して勝てるはずですが、これはトレードが毎回40%の確率で損切りに終わることを意味します。確率で考えていない人はこれに耐えられません。
身近な確率の話として、天気予報の降水確率で説明します。

降水確率の話

降水確率60%だったら、傘を持っていきませんか?
私は持っていきます。
でも、結果として雨は降りませんでした。
1週間後、再び降水確率は60%です。
私は傘を持っていきます。
でもまた、結果として雨は降りませんでした。
よくある話だと思います。
このとき、「降水確率60%なら、二度と傘は持っていかない!」とはなりませんよね。
これは、トレードに例えると、60%の確率で上昇する予測に対し、買い(傘を持っていく)を仕掛けたわけです。
しかし、2連続で傘は必要ありませんでした。トレードで言えば損切りが2連続です。
多くの人はたった数回の損切りで「二度とこの手法は使わない!」と思ってしまいます。
確率は1回ごとに発生します。1回目が40%の方になったとしても、2回目では、1回目がどうであったかは全く関係がないことです。
確かに、40%の確率が2連続で起こる確率は16%です。しかし、2回目において、40%の確率が生じる確率は40%なのです。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

私はファンダメンタルズ分析派ではありませんが、ファンダの方も、突き詰めれば、勝つ確率が高いものに賭けているはずです。
例えば、ヤクルト1000の品切れを察知し、ヤクルトの売上が上がると読んだのであれば、ヤクルトの株価が上昇すると考えて、買いに賭けるわけです。
すなわち、ファンダメンタルズ分析は定性的に、テクニカル分析は定量的に、勝つ確率が高いトレードを探しているのかと思います。

テクニカル分析の優位性

テクニカル分析は大きく2つの点で、ファンダメンタルズ分析よりも優れていると考えます。

①リスクリワードを計算できる

テクニカル分析には、抵抗線・支持線という概念があります。
詳細は別の記事で説明しますが、これによりどれくらいまで上昇しそうか・どれくらいまで下落しそうかという目安を導き出せます。
ファンダメンタルズ分析ではそのようなことは不可能です。
せいぜい決算後、PER据え置きで仮定して株価を逆算するくらいでしょう(そんなお粗末なものをファンダメンタルズ分析とは言いませんが)。
リスクリワードが分かれば、読みが当たった時の利益と、外れたときの損失を事前に算出できます。これは確率で考えるトレードに必須な情報です。
もしこれが分からないのであれば、70%の確率で3%上がり、30%の確率で10%下がる株を買ってしまうかもしれません。このトレードは期待値がマイナスですから、どれだけ勝率が高くとも挑んではいけません。
期待値がマイナスというのは、そのトレードを繰り返すとマイナスが進むという意味です。
トレード通算で勝てていない人は、期待値がマイナスのトレードを繰り返しているということになります。

②再現性がある

テクニカル分析は、銘柄に関係ありません。銘柄どころか、為替や仮想通貨にも通用します。
何故なら、以下の記事(1.価格はすべてを織り込んでいる)で述べたとおり、価格は需要と供給で決定され、需要と供給は人々の心理で決まるからです。

全ての情報は、人々がそれを知り、買い注文・売り注文を出して、初めて価格に反映されます。
買い手と売り手の心理は、ヤクルトの株であろうが、ナスダックであろうが、ドル円だろうが、ビットコインドルだろうが、買い注文と売り注文が出ることによってチャートに現れます。
仮に逆三尊が買いだとすれば、逆三尊がどのチャートに現れても買いになります。
このように、テクニカル分析には再現性があり、これはトレードチャンスが増えることを意味します。
一方で、ヤクルト1000の大ヒットは、他に同様の状況を見つけ出すことはできません。
ファンダメンタルズ分析は、他の機会に直接は活かせません。

トレードで考えるべき確率

①勝率

勝率は、自分のトレード結果を記録し、そこから計算するしかありません。勝率とは、各自の分析力やメンタルなど、力量によって差がつくものです。
売買の結果、プラスで終わったものを勝ちトレード、マイナスで終わったものを負けトレードとして、合計トレードのうち勝ちトレードが何パーセントを占めるか計算してください。
そのためには、直近100回程度のトレードから算出すればよいと思います。
なお、プラス0.1%だろうと、勝ちトレードにカウントして大丈夫です。
これが40%を下回る人は要注意です。
銘柄を見ずに買いと売りを交互に繰り返せば、勝率は50%になるはずです。それにもかかわらず40%を下回っている人は、損切りとは名ばかりの「狼狽」で負けが重なっているんだと思います。

②損益比率(リスクリワードレシオ)

リスクリワードで気にするべき点は、1トレード当たりどれだけの期待値があるかという点です。
テクニカル分析で、上昇余地と下落余地を導き出し、現在の価格からの距離を計測します。
抵抗線がプラス10%の位置に、支持線がマイナス5%の位置にあれば、それぞれで利確・損切りをすると、利益2:損失1の買いトレードができます。利益2:損失1というのはとても優れたトレードです。
テクニカル分析を学び、リスクとリターンが見合っているかどうかを見抜くことが重要です。

聖杯は存在しない

100%勝てる手法は存在しません。
だからこそ、確率の高いところに賭け、エッジのあるトレードを狙うわけです。
損失込みで考えて、通算で、利益が損失を上回るなようなトレードを繰り返すことが大切です。
損切りを気にしているようでは進歩は望めません。何故なら、それは確率を理解していないからです。

おわりに

トレードは数学的な行為です(といっても、難しい計算は必要ありません)。
勝つ確率の高いトレードを繰り返し、資産を増やしていく。
この事実を受け入れる必要があります。
確率で考えることは、トレードで超重要なポジションサイジングにも関係してきます。
トレードで勝てる人は一部の人だけです。一部の勝てる人の利益は、多数の負ける人の損失から成り立っています。
思考を切り替えるところから始めてみてください。


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