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『働き方 2.0 vs 4.0』を読む

本日は橘玲『働き方 2.0 vs 4.0』の読書感想文です。

先日の東南アジア出張に持っていき、移動中や空いている時間を利用して読了しました。橘玲氏の著作は好きで、昔からよく読んでいます。本書は書き下ろし本ではなく、語った内容を著名ライターの山地達也氏が文章化したもののようです。

書評では、「目新しい内容は何もない」というような低評価も目にしましたが、私は結構面白かったです。自分自身が今後の「働き方」について、試行錯誤中なので、大いに参考になりました。

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本書での【働き方】の定義は以下の通りになっています。

働き方1.0:年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行
働き方2.0:成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方3.0:プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
働き方4.0:フリーエージェント(ギグエコノミー)
働き方5.0:機械がすべての仕事を行うユートピア/ディストピア

安倍政権が推し進めている「働き方改革」は、機能不全を起こしている働き方1.0を、強引に働き方2.0に変換しようとする試みですが、世界の最先端の働き方は、もう3.0→4.0に移行しようとしているので、完全に周回遅れの政策になっていると言います。納得です。

働き辛い、生き辛い、と感じながら過ごしている社会人は多いと思います。日本人のエンゲージメント指数(=会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する基準)が、先進国の中で最低であることは有名です。現在の日本人は、データ上は世界屈指の「働くことが嫌いな国民」になっていると言えそうです。

P232からの「ぬるい日本」でさっさと億万長者になるという項は興味深い内容でした。

私は、やりたいことをやる生き方ではなく、やりたくないことを避けることに主眼を置いて、人生や職業の選択を行ってきた人間です。これまで、好きなことを仕事にして自己実現をはかりたいという願望はそれ程強くはありませんでした。貧乏はしたくないので雇用されて働くのも仕方がない、お金を貰う仕事がある程度辛いのも仕方がない、心底楽しい仕事でなくても構わない、という価値観でした。

なので、私は大学を卒業して新卒で企業に就職して会社員になりました。その当時はまだまだ主流であり、周囲が推奨するような生き方を選択し、20数年が経過している訳です。

しかしながら、もしも今私が20代の学生だったら、世界最先端のシリコンバレーで勝負する心意気も、自信も、実際の能力もないと割り切って、著者の解説する方向を目指すと思います。この本は、社会に出ることに不安や不満を抱える若い人が読んでおくとよいかもしれません。

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