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『50代から本気で遊べば人生は愉しくなる』を読む

今年の10連休は徹底的にinputに努める時間にすると決めました。令和の時代を渡っていく指針やヒントや事例に数多く触れてみようと考えています。そこで本棚から引っ張り出してきたのが、片岡鶴太郎『50代から本気で遊べば人生は愉しくなる』です。2017年にまだ40代だった時に読んで以来の再読になります。

著者の片岡鶴太郎さんは、芸人、役者、ヨガ、画家、書家、ボクサー…今や何が本職なのかわからない多芸の人です。もともとは物真似芸人としてデビューし、1980年代の伝説のお笑い番組、『オレたちひょうきん族』のレギュラーとして大ブレークした後、年齢を重ねると共に活躍の場を広げていきました。お笑い界のビッグスリー、タモリ、北野武、明石家さんま、とも古くから交流があり、非常にバランスが取れた人物という印象です。

私は、鶴太郎さんがテレビを主戦場にする芸人としての絶頂期の頃は、さほど注目する人ではなかったのですが、雑誌のインタビュー記事や、著書の中で、その柔軟な考え方、懐の深さ、確かな行動力に触れてからは、生き方を尊敬する人物の一人となっています。

本書は自らの半世紀を回想しており、身の処し方のお手本として参考にしている書です。以前読了した際に、自分が50歳になったら、是非読み返したいと思っていました。私が特に刺さるのは以下の部分です。

家庭持ちの男性の中には、生活の安定のためにはこのままでいるのが一番、家族を養うために一定収入を得なければいけない。そういう気持ちに囚われている人も少なくないでしょう。しかしそうなると、意に沿わない仕事も引き受けざるを得ません。意に沿わない仕事でも家族のために歯を食いしばって頑張るのが人生。それが当たり前だと思っている人も少なくないでしょう。そうやって、いつの間にか自分が本当にやりたいことから遠ざかって、魂の歓喜しない状態が続いてしまう。表情も陰気臭くなってしまう。「おまえは芸人として、役者として成功したから、そんな呑気なことが言えるんだろ」と叱られるかもしれません。それでも私はこう言いたい。もっと根源的に自分の魂を喜ばせるために何ができるかを追い求めましょうよ、と。(P147)

鶴太郎さんも、忙しく流される日々に疑問を感じて行き詰まると、何度も変化を選んできています。自分の感じている居心地の悪さから逃げず、徹底的に考えて打開する道を定めたら、躊躇わずにすっぱり行動しています。

目先の損得を考えず、自分の気持ちを信じて決断し、周囲の雑音には動じずに、継続・反復を愚直に行って、達人の領域まで到達しています。この行動する力と継続する力が幸運を引き寄せる秘訣なのだろうと思います。

自分の魂の歓喜する状態に身を据えようとすると、周囲に迷惑をかける場合があり得ます。私もその呪縛から逃れられない一人です。そこで無理だと諦めて現状で我慢を続けるのか…、振り切って新しい世界の扉を開くのか… 人間としての器、思いの強さが試される瞬間という気がします。


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