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『上級国民/下級国民』を読む Part2

昨日に引き続いて、橘玲『上級国民/下級国民』からPart2 「モテ」と「非モテ」の分断から気付きを綴っていきたいと思います。


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このPart2 では、日本国民の中で、アッパークラス(上流)とアンダークラス(底辺)との間に分断が起きていて、両者の間に生じている亀裂は修復不能なくらい大きなものになっている、という話が肝になります。

3. 日本のアンダークラス

日本社会の中核を形成しているのは、「日本人・男性・中高年・大卒・正社員」という属性をもつひとたち(P89)

これは日本に限った話ではなく、先進国の中間層を直撃している不都合な現実です。一昔前であれば、中の下あたりの生活レベルで辛うじて世間を生き抜いていけた層が、グローバル化の影響を受けて、相対的に地位が低下した結果、下流に落ちてしまい、構造的に這い上がれない状況に陥ってしまっているというような話です。

4. 「モテ」と「非モテ」の進化論

例えば、バブル崩壊後の就職難の時代に正社員になれなかった人達が、仕事に恵まれず、結果的に思い描いたようなキャリアを積めずに、年齢を重ねてしまった‥というような方が該当するかもしれません。

もしも、私が社会に出るのが後3〜4年ほど遅くて、就職氷河期のど真ん中にぶち当たっていたとしたら‥ 流されて、ニート的な人生を送っていた可能性は十分にあり得ます。社会に出て金を稼ぐ、一人前になるということなのかわかっていなかったし、意欲的にキャリアを作って行こうという野心も覚悟も不足していました。背筋が凍る思いです。

また、モテる人=持てる人、モテない人=持たざる人、という構図になっている、という分析も鋭いと思うし、モテない人の途轍もなく深い失望感が余り表面には出てこず、社会から忘れられた存在になってしまっている、という評価もその通りという気がします。リア充とは程遠い人達のアイデンティティは崩壊していかざるを得ないような社会になっています。

このPart2 は、暗い気持ちになりながら、我が身と対比しつつ、必死に読み通しました。悲観的にならないように踏ん張るのに力が必要でした。

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