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【明晰夢で人生を豊かにする!⑥】"わたしは今ここにいる" 〜 昼間、意識を持ち続けることが明晰夢への第一歩!

前回は、明晰夢は誰もが習得可能であること、そして習得することで多くの見返りを享受できるということをお伝えいたしました。

今回は、明晰夢を見るための具体的な方法について、ご案内いたしましょう!


明晰夢の習得

スティーヴン・ラバージ教授は明晰夢の習得には大切な必要条件が2つあるといいます。

①「明晰夢」を見たい!という意欲

②「夢」をよく思い出すこと

夢を思い出したいと思っている人は、夢をよく思い出すことが出来ますが、望まない人は大抵よく思い出せません。

「明晰夢」を見たい!

・・・という明確な意欲(動機)があるならば、寝る前にその意思を忘れないように確認する、これから眠りに入ってから見る夢を覚えていたい、起きたらそれをなるべく詳細に思い出そうという気持ちを持つことが大事です。

夢に関して、常に関心を払っておく、夢は自分にとって大切な要素なのだという認識を持っておく、自分の見る夢に興味を抱き続けることです。

最も効果的だと思われるのは「夢日記」を付けることです。

以前のコラムで、父の死後、1年間ほぼ毎日のように父が夢に現れ続けたことを書きましたが、その時に私は初めて夢日記を書くことにしました。

印象的な夢を毎日のように見ていたため、その夢には何か私が知る由もない深い意味や示唆があるのではないかという気がして、それを覚えておきたいという気持ちから書き始めたのです。

やはり日記は効果がありました。

日記を付けることが習慣となると、夢が単なる「睡眠中の副産物」という認識ではなく、自分が存在する「もう1つの世界」であるという認識が生まれ、記憶を手繰り寄せることが容易になったのです。

目覚めた後、すぐに目を開いて起き上がり、部屋の窓を開け放って外の様子を見たり、テレビを観たりすると、夢の記憶の上に、新しい外部の情報が上書きされて、忘れてしまうのではないかという危惧がありました。

ですから、しばらくベッドの中で目を閉じたまま、先ほどまで見ていた夢の印象的な部分を、リピート再生するように想起していました。

それが睡眠中の記憶から、覚醒中の記憶にしっかりと移行されたのを確認してから、他の思い出せる部分を思い出して行く作業をします。

それから、その記憶の断片をメモに取り、再構成しながらパソコンに保存していきました。

勿論、これは私の方法ですが、寝る前にノートや日記を枕の傍らに置いて、意欲を高め、起きたらすぐにペンを取れるようにしておくという手段もあります。

こうすれば、途中覚醒しても、その時点で見ていた夢の断片をすぐさまメモすることが可能です。

私自身の体験からも、メモをすればするほど、日記に書けば書くほど、記録すればする程、たくさん夢を思い出せるようになっていきます。

夢日記の利点は他にもあります。

夢日記を読み直すことで、自分の見る夢の特徴などが理解出来、またそれに慣れることが出来るので、夢を見ている最中に、それが夢であるということに気付き易くなる点です。

目覚めた時には、時計を見たり、慌てて身体を起こしたり、身体的な行動を取る前に、今見ていた夢は一体どういう夢だったのだろうと、夢を想起する癖を付けておくことが大事なのです。

朝、目覚めて一番に取る行動は、身体的行動ではなく、夢の想起であるということをしっかり自分に植え付けておくことです。

この時に、思い出せなかったり、つい想起するよりも先に、身体を起こしたり、今日の仕事や遊びのスケジュールに関して、あれやこれやと思い巡らせてしまったとしても、焦らずに日々「夢」に関しての関心を保ち続けることが大切です。

夢日記を付けたり、見た夢を何らかの形でメモして忘れないようにしたならば、それを是非寝る前に読み返してみましょう。

そうすることで夢に対する関心を維持させ、また「明晰夢」を見易い意識状態へと繋がって行きます。

明晰夢を見るための方法

スティーヴン・ラバージ教授の著作『明晰夢 夢見の技法』に詳しく紹介されていますが、既に8世紀のチベットの手稿(手書きの原稿)である『夢状態のヨーガ』に明晰夢を見る為の方法が詳しく解説されているのです。

その方法は大まかに、以下の二つの方法に分けられます。

①「決意による理解

◎日中「万物の実態は夢である」と持続的に考え続けるということ。覚醒時の体験が夜の夢に与える効果を利用するものです。

◎夢の状態を理解しようとする断固たる決意

ここには「"明晰夢"を見たいと思う人が努力しても初めはうまくいかないならば、毎朝"夢の状態の本質を理解しよう"と最低21回は努力してみよ」と説かれています。

②「何をしていようとも"私は在る"と想起する方法

これは今流行のマインドフルネスや密教の修法を思い起こさせます。

精神を集中させることで、自分という存在を強く意識することが「明晰夢」を見ることに役立つのでしょう。

ヨーガの行者たちは恐らく「明晰夢」がもたらす効果についても、深い確信を持っていたのかもしれません。

この二つめの、"私は在る" と想起することについては、とても興味深い話があります。

精神科医のチャールズ・マックフィーが『みたい夢をみる方法 明晰夢の技術』の中で紹介しているオリバー・クラークという人物が『明晰夢通信』という夢の雑誌に寄せた話しです。

彼は、"昼間ずっと意識を持ち続けていること" が明晰夢を見るためには必要なことだと言います。

勿論、多くの方は「誰だって人は昼間、ずっと意識を持ち続けているではないか」そう疑問を呈するでしょう。

しかし、彼は「それは違う」と断言します。

つまり人は昼の間、大抵何かをし、何かを考えています。それは起きている間中、延々と連続し、しかも無意識的です。

彼はこう続けます。

人は決して立ち止まって、こんなふうには考えないと・・・

私はいまここにいる。

私はいま自分が存在していることに完全に気付いている。

私は今この音を聞いている。

私はいまこれをみている。

私はいまこの匂いを嗅いでいる。

私は自分が誰かを知っている。

自分がどこにいるか、なにをしているか、自分が住んでいる場所と理由を知っている。

そして、自分の記憶をすべて使うことが出来る

確かにそうなのです。

私達は昼間、意識的に動き、思考していると確信していますが、そのほとんどは無意識的です。

呼吸を意識することもありません。

自らの意思の力で、吸う、吐く、吸う、吐く、と呼吸の動作をしなくても、私達はこうして生きています。

車の運転をしながら、今日起こったことを思い出したり、この後のスケジュールについて考えたりしますが、そうしながらも目の前の道路に、スピードメーターに、バックミラーにと次々に何かに思考が向けられて行きます。

自宅で机に向かっていたとしても、外から聞こえて来る子どもたちの遊ぶ声や、車のエンジン音、風の音、鳥のさえずりにさえ気付かずに、ペンを走らせたり、キーボードを叩いたりしています。

よくよく振り返ってみると、私たちは起きている間中、そのほとんどの行動や思考が意識しないままであることが分かります。

起きているにもかかわらず、眠っているのも同然といえるでしょう。

何かをしている意識のないまま、他のあることをし、ある考えに集中し過ぎて、自分の廻りにあるものに全く気付けていないわけです。

連続する思考は、ただただ流れていたり、漂ったりしているだけで、その思考そのものに注意を向けたりすることはあまりありません。

しかし、人は不思議なもので、連続的に運ばれる思考の流れの中にいても、複雑な行動を取ることが出来るのです。

人の思考が連続的に、無意識に流れていることを示す例を、チャールズ・マックフィーは挙げています。

「ずっと昔のある出来事など、いつもと違うことを考えている自分にふと気付いたが、なぜそのようなことを考え始めたのか、どうしても思い出せないという経験をしたことはないだろうか」

こうした経験は、自分の心は普段ただ漂っているだけで、そこで起こっていることをほとんど注意していなかったということが分かると指摘します。


次回は、このオリバー・クラークという人物が実践した明晰夢の習得方法と併せて、わたし自身が実践して成功したいくつかの明晰夢習得方法をご紹介したいと思います。

どうぞ、お楽しみに!


参考文献

「明晰夢 夢見の技法」スティーヴン・ラバージ(著)春秋社
「みたい夢をみる 明晰夢の技術」チャールズ・マックフィー(著)講談社
「ドリーム・テレパシー」M・ウルマン+S・クリップナー+A・ボーン(著)工作舎
「夢を操る - マレー・セノイ族に会いに行く」大泉実成(著)講談社
「臨死体験」立花隆(著)文藝春秋
「The Lucidity Institute」Website
「Dream Doctor - Making sence of your dreams」Website

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