ベクトルを使って相手DFをスワーブで抜く技術

ベクトルを使って相手DFをスワーブで抜く技術

先日のラグビーの試合で右手小指の脱臼から復帰した息子(中学1年生)が、チームメイトの協力で3TRYを取ることができました。
この試合で息子は11回パスを受け取り、そのうちの5回をランで突破する判断をしたところ、3TRY、1アシスト(オフロード・パス)の成果を出すことができました。5回突破を図り、4回TRYに繋げることができたのは、ベクトル理論を知り、理論通りに実践しているからです。
その息子が最初に覚えたステップ・スキルがスワーブです。
今回は、そのスワーブの原理をベクトルを使って解説していきます。
この動きができると特に足が速い選手は簡単に相手DFを抜くことができます。

スワーブと言って個人的に思い浮かべるシーンは、1995年の第3回ラグビーワールドカップの開幕戦(南アフリカ 対 オーストラリア)でのCampese(キャンピージー)選手が抜かれたシーンを思い浮かべます。オーストラリア代表ワラビーズのレジェンドであるキャンピージー選手は私にとって特別な存在なので、あの伝説の快速ウィングが南アフリカ代表スプリングボクスのPieter Hendriks選手に抜かれたことが本当に残念な出来事でした。(キャンピージー選手との特別な思い出は、改めてお話しますね)

思い出話は程々にして、それではスワーブの技術の話をしていきましょう!

まずスワーブを使う場面ですが、
ボールキャリアーがライン・ブレイクして相手フルバック(FB)もしくはウィング(WTB)と1対1になった場面で使うケースが多いと思います。
この場面では、相手ディフェンス(DF)が比較的正面に近い内側の位置にいて横へのベクトルがあまりできていない状況を想定しています。

ボールキャリアーは、相手DFに向かって少しスピードを落としながら接近します。スピードを落とすことで、自分が走るアングル(方向)を急激に変えることができるようになり、相手DFのタックルエリアから一瞬で脱出できるようになります。またスピードを落とすことで相手DFが精神的にタックルしやす気持ちになり、自分へ向かってきやすくします。つまり意図的に自分を追いかけさせることでベクトルを発生させます

スピードを落とし相手DFに接近して真横へステップを踏むと、三角形の理論で説明しているように相手DFは三角形の斜辺(相手よりも長い距離)を斜めに向かってきます。(ここで相手DFが斜め後方のベクトルでディフェンスされるとスワーブは成功しないので、気をつけてください)

この時、更にトラップ(罠)を仕掛けます。
相手DFのアングルに合わせて、ランニングコースを微妙に変えます。相手DFは自分のタックルエリアに入りそうなので思い切りスピードをつけて追いかけてきます。(ここまででトラップは半分成功w)

ここから更に深く相手DFを騙していきます。ボールキャリアーは相手DFがまっすぐ追いかけてきたことを確認したら、ちょっとだけ(一歩で十分)内側にコースを変えて、相手DFのアングルを変えます。(これでトラップはほぼ完成!!)
相手DFが内側にコースを変える瞬間に、ボールキャリアーはスピードをつけて一気に外側にアングルを変えて走り去ります。相手DFは急激に逆方向に走れずに追いつけない状況になり、相手DFを置き去りにできます。

説明するのは簡単ですが、実際に技術を身に付けるのは練習が必要です。まずは歩きからロジックを学び反復練習でスワーブを自分のスキルにしてください。

まとめ
● ライン・ブレイクしたら、相手DFに向かって少しスピードを落としながら接近する
● 相手DFに接近したら、一気に真横へステップを踏む
● 相手DFのアングルに合わせて、ランニングコースを微妙に変える
● 一歩内側にコースを変えることで相手DFのベクトルを内向きにする
 ※
ここが【超大事】右に行くと見せて左に行くことで相手DFを騙す
● あとは一気に外側に走り、相手DFを置き去りにする

スワーブの技術は、三角形の理論を使って相手DFが意図せずボールキャリアーに追いつけないようなコースを走らせたり、意図的に相手DFにベクトルを作らせて相手DFが行けない範囲を攻撃したりすることで抜いていく高度な技術です。
本当は相手DFの足の向きや体の向きなどもスワーブの成功確率を上げる重要なポイントになるのですが、まずは今回説明した方法をお試しください。


是非、息子のサポートをお願いします。将来NZでプロラグビー選手を目指す息子の活動費として使わせて頂きます。