福永マリカ

「福永マリンパークのカヌー乗り場」。公園の中に広がる、もっとふかぶかとした場所を目指し…

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「福永マリンパークのカヌー乗り場」。公園の中に広がる、もっとふかぶかとした場所を目指しています。 福永マリンパーク👉http://marikateenono.blogspot.com/

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  • 陽の当たるキッチンに帰るまで

    子供の頃にはじめて料理をした時から、今の一人暮らしと料理の関係、そして「陽の当たるキッチンのある家に住む」という夢までの話。毎週水曜日更新予定!

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福永マリンパークのカヌー乗り場

はじめまして。福永マリカです。 役者をやったり、文章を書いたりしています。これまで、bloggerで「福永マリンパーク」というタイトルで日々記事を更新してきました。 5年前に開設したそこは、フリーランスとして活動していくにあたって始めた場所。 それまで、役者も脚本も音楽も、様々なことを仕事としてやっていながらどのことにも自信が持てなかった私は、ひとりきりになって、自分の手足で色々な人に会いに行き、実感を持って一つ一つ何ができるのか確かめていきたいと思っていました。 そ

    • 最後の晩餐

       本当に金木犀が香っているのか、記憶の中のイマジナリー金木犀が香っているのかわからなくなってきました。そんな季節です。  先週、このマガジンの最終回を更新しました。  今回は、中盤に開催した「箸休めの箸大運動会」につづいて、締めくくりの「最後の晩餐」を開催します。  このnoteをご購読いただいたお金で、美味しいものを作って、いただくだけの会です。  ところで、よくある質問ですが「最後の晩餐に何を食べたいですか?」と聞かれたら何と答えますか。  私は「納豆ご飯」と答えると

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      • #8 キッチン、ふたたび

         あと何万回、ご飯作るの面倒くさいなあって思うんだろう。  あと何万回、ご飯作るの最高楽しいなあって思うんだろう。  目覚めても疲れ果てたままだった日、ベッドに転がり、「朝ごはんのお味噌汁作ろう…」なんて思ったまま夕方を迎えて、そんなことを考えた。  「生きてる」と常にともにある「ご飯作る」だから、そりゃ面倒臭いこともあれば、最高楽しいこともある。  それでも、なんだかんだと、病める時も健やかなる時も「ご飯作る」という作業に救われてきたところもある。  「ご飯作る」には、

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        • #7 命の味

           友達の早織ちゃんの料理は、早織ちゃんの味がする。  わかりやすく華美な風でも、豪勢な風でもないけれど、食材のひとつひとつから「こんにちは」と声をかけてもらえるような味。  真っ白い絵か〜と思ってよく見てみたら、てんてんてんてんてん!!!ってとてもたくさんの点が集まって出来ていて「どうなってるの!?」ってなる、味。  どういうこと?って思うでしょう。食べているときの私も、「どういうこと?」って思っている。  早織ちゃんはよく「まりちゃんにごはんつくってあげたい」と連絡を

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        • 陽の当たるキッチンに帰るまで
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          #6 豆苗とリレー

           まだ芽が生えるのか!と、切り花の先っぽを見ながら目を見張っている。  そして、鏡で自分の頭のぽやぽやを見ながら、妙な親近感を覚える。  まだ短い、生えたての髪の毛。他の長い毛に馴染まなくて、ピヨピヨ飛び出して来ちゃう。  毛先が新しいから、断ち切られた断面じゃなくてスッと新芽に似ている。  この半年の、家での暮らしのなかで、豆苗を育てることが小さなムーブメントになっていた。例にもれず、私も小さく育てていた。  とにもかくにも、緑を浴びたくてたまらなかった。いつもなら、ち

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          #5 明日が詰まった冷蔵庫

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          箸休めの箸大運動会

           9月ですね。 8月1日に梅雨が明けたと思ったら、9月1日に秋の涼しさがやってきて、今年の気候はカレンダーでも見ているのでしょうか。  さて、『陽の当たるキッチンに帰るまで』も8月頭から始まり、4週間が経って、#4まで更新しました。  ご購読いただいているかたへ、ありがとうございます。#8まで更新するつもりなのですが、今回は折り返し地点ということで、ご購読いただいたお金で、美味しいものを作って、いただきます。  ダイレクトに私の血と肉になっていくというわけですね。  そ

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          #4 秘伝のタレめぐるからだ

           名前もレシピもない料理ばっかり作るくせがある。  「冷蔵庫のなかのもので適当に作れる人が本当の料理上手ですよ」なんて言う人もいるけれど、適当にしか作れない私は、そうとも限らないぞ?といつもひっそり思っている。  名前がないと不便なのは、特に、人に食べてもらう時。これはなんだろう…と自分でもわからないものを、誰かに食べてもらうのはひとつ関門が増える感じがする。  それに、自分一人で食べていたって、時々大きく失敗する。なんじゃこりゃ、全然美味しくないなあ、と思いながら食べるこ

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          #3 塩ふる夜空

           この夏は、打ち上げ花火を見ることはないんだろうなあとぼんやり思う。  とは言え、そもそも人混みが苦手だから、打ち上げ花火を見に行ったのなんて結構前。目にしたのだって、一昨年、お墓参りの後に神宮の花火にうっかり遭遇したのが最後。  でも、やっぱりいいんだよな。あの、どーんとお腹に振動が来る感じ。  からだごと感じるから、からだごと持っていかれちゃうんだけど。  そう、人混みも苦手だが、大きな嬉しいことがあまり得意じゃない。大きく寂しくなるから。  昔っから、楽しみな出来事

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          #2 こどものおとなな包丁

           いつから料理をしてたったんだっけ?と振り返って、ぱっと思い浮かんだのが、小学校低学年の頃に初めて、調理器具のセットを買ってもらった時の風景だった。  近所の大きなスーパーの調理器具売り場で、姉とお揃いで買ってもらった。  持ち手のついてる真っ白の大きなケース、赤い留め具がふたつ。カチャカチャと開けると、きれいに調理器具が並んでいる。包丁、ピーラー、フライ返し、おたま…全部、柄のところが赤くて可愛かった。何より嬉しかったのは、その刃がセラミックじゃなくてちゃんとステンレスで

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          #2 こどものおとなな包丁

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          #1 陽の当たらないキッチン

           私の実家のキッチンは、全然陽が当たらなかった。  私は、家族は好きだけれど、実家という空間がそんなに好きじゃなかった。実家の中で好きだったのは、畳の部屋の天井が砂壁だったことくらい。部屋を暗くして寝そべり、その砂壁の天井に懐中電灯を当てると、きらきら光る。しゅんっと素早く懐中電灯を動かして「流れ星!」なんて言ったり、きらきらの砂つぶをプラネタリウムみたいにして遊んでいた。その場所くらい。あとは、そんなに好きじゃなかった。  だから私は、20歳の頃に実家を出ている。時効だから

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          #1 陽の当たらないキッチン

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