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   虹色パンダ

 僕はこの前、中国の山奥へ旅行に行った。
 そこには、少しおかしな伝説がある。
 500年以上前、村のパンダの生存率が人の数を越えてしまって、人間がパンダを大量虐殺した為、空から虹色模様のパンダが降りてきて、人を餃子の中へ閉じ込めてしまったらしい。閉じ込められた人は、生涯を餃子の中で過ごさなければならないという…。

 村の住人にその話を実際に聞きたいのだが、何日歩き続けても人が住んでいるような家が見つからない。やはり、皆パンダによって餃子の中に閉じ込められてしまったのか…。

「おや、あんな所にラーメン屋があるぞ。」
 山の頂上近くに、一軒のラーメン屋さんが見えた。食糧もつきて、何日も食べてない。ちょうど良かった。そう思いながら、僕はそのラーメン屋に入っていった。

「いらっしゃい!何にするかい?」
 店の奥から元気な声が聞こえてきた。僕は、大好きな味噌ラーメンと餃子を注文した。お腹が空きすぎていて、すぐに完食した。
「珍しいね。こんな所に1人で。君、名前は?」食べ終わると、ラーメン屋の店主が話しかけてきた。
「僕は、ハオ・ユーと言います。この村の伝説を実際に聞いてみたくて。でも、人が住んでいる様子がない。おじさんは、ここの人?」
「もちろん。小さい頃からずっとここに住んでいるさ。村のみんなは、ほとんど都会に出ていっちまった。その伝説ちゅうのは、もしかして虹色パンダの話かい?」
「はい、500年以上前からあるという伝説みたいです。」
「そうかそうか、実はわしは、…、その、餃子の中に500年くらいかな、住んでいたんじゃ…。」
「えっ、もっと詳しく聞かせてください!」
「本当は誰にも話したくないのじゃが、ここに人が来るのも珍しいし、こんな所まで来て、凄いな。。。誰にも言わないと約束するか?」
「もちろん…」
 
 それから、ラーメン屋の店主は店の鍵を掛け、話始めた。


つづく…

第2話
https://note.com/marinasan9/n/n229cbadde0d5




 

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