2019.12.17 セルフモニタリング 安心編

このセルフモニタリングを読む前に。

登場人物は全員女性です。AさんとBさんは2年半パートナー関係でした。
私とAさんとBさんは夏頃から仲良くなりました。
9月にBさんが自殺未遂をしてから、Aさんはピアスキーマグループに入りました。そして、Bさんの人格的問題や操作的な振る舞いに悩まされてきた自分に気が付きました。
Bさんは退院後、私の家に住んでいました。しかし、Bさんとの生活は難しく、私はBさんがAさんの家に泊まりに遊びに行っている間に、Bさんに我が家での行動改善を求めるラインをしました。すると、Bさんは私への行動改善を求めることから始まり、だんだんと気持ちがエスカレートし、Aさんにも私のことを悪く言うように強要するようになりました。
Aさんはこれまでの支配的で操作的な関係と、そのときの悪口の強要に耐えかね、また、私やAさんさんへの態度の豹変に恐怖を感じたことを理由にBさんとパートナー関係を解消する決意をしました。

このセルフモニタリングをした4-5日前に、AさんはBさんに別れを告げました。錯乱したBさんは警察に保護されましたが、その翌日、おそらく警察署内で自死したことが判明しました。

Bさんの自死のあと、AさんはBさんに別れを告げた自宅に帰ることができなくなり、友人の家を転々と泊まり歩いていました。
このセルフモニタリングをした前日、Aさんは故Bさんの残した遺品の整理や泊まり道具の交換などをするために数日ぶりに自宅に帰りました。
自宅に1人でいることが不安だということで、私はAさんの家に一緒に行き、遺品整理を手伝いました。
その後、生前のBさんと話したかったことをAさんと私と、イメージの中のBさんと3人で3時間ほどケーキでお茶を飲みながら話し合いました。
故Bさんの席にはたくさんのぬいぐるみたちを置いて、そのぬいぐるみをBさんだと思いながら、ぬいぐるみに話しかけました。それは、Bさんの生前に3人で成し遂げたかった光景でした。

セルフモニタリング
〜安心編〜

●出来事
昨晩、Aさんの家に泊まりに行った。故Bさんもイメージの中で招いて、と3人で話した後は、Aさんの布団でお互いに曲を紹介しながらいろんなことを考えながら、語ったりして過ごした。ここ数日、毎日朝まで眠れないと私はAさんに話していた。Aさんが電気を消したので、Aさんの睡眠の邪魔にならないようになるべく端っこに行って細長くなっていたら、Aさんが近づいてきた。投げ出してた手に手を添えてくれた。その後、寝ながら抱擁してくれた。背中を撫でたり、頭を撫でたり、おでこの端っこに簡単なキスをしてくれた。何か声もかけてくれていた。私も背中に手を回し返して、少し撫でた。そしたら、いつのまにかに寝ていた。
寝ている間も、ずっと私に掛け布団がかかっているか何度か確認してくれた。ちなみに私は一度奪い去ってることに気がついて全部Aさんに返して横にあったタオルケットで寝てたんだけど、気がついたらまた私に布団がかかっていて、どうやら布団をかけてくれていたようだった。お互いに布団を掛け合って、お互いの間に布団がたまっている時もあった。次に目が覚めた時はすでにAさんは起きて生活をしていた。
さっき、昨日の夜のことを伝えて安心してよく眠れたと言ったら、何したかはあまり覚えてないみたいだったけど、安心して欲しかったと言われた。だから、とても安心できて素晴らしいサポート資源になったと言って、グループのみんなにも共有したいと伝えた。

●自動思考
・眠剤が効いて寝ぼけてるのかな?
・Bさんと間違えてるのかなぁ
・なんか恥ずかしいな
・こういうのなんか久しぶりだな
・懐かしいな
・Aさんは寝にくくないのかな?
・Aさんはポンポンされると安心されるんだなぁ
・心地よいなぁ
・眠いなぁ
・なんだかあたたかい

・昨日は久しぶりによく眠れたな
・Aさんのおかげかもしれない
・なんかほっとした気がする
・本人に伝えよう
・そうか、Aさんは私のことを心配してくれてたのかぁ
・私のことを安心させようとしてくれてたのかぁ
・思い返せばとても安心してたなぁ
・心地よかったなぁ
・安心のイメージになるな
・すごく小さい頃のまだ家のこともよくわからず楽しかった時のことを思い出した
・似てる感じ
・この安心感は大事にしたいなぁ

●行動
・Aさんの動き?に身を任せて寝て起きた
・Aさんに昨日の寝る時のことと安心伝えた
・安心のセルフモニタリングとして投稿していいか聞いた
・安心のセルフモニタリングをした

身体反応
・あたたかい
・ねむたい

●スキーマ(Aさんのコメントを受け追記)
ハッピースキーマ
・安定したアタッチメントスキーマ
・基本的信頼スキーマ
○情緒的充足スキーマ
○親密スキーマ
△感情自在スキーマ
○自己承認スキーマ
◎身体的安全スキーマ

●モード
・安心してるチャイルド
・まったりしてるチャイルド
・少し緊張しているシャイな思春期な私

●サポート資源
・Aさんと故Bさんと3人で語り合った夢のような時間
・いろんな気持ちを素直に交換しながら聞いた音楽タイム
・暗い部屋
・あたたかい身体感覚
・Aさん(モードではなく)
・重くていい感じの寝具

●発達特性
・身体感覚の鈍麻
(身体感覚が満たされるのに役立った)

●感想
とても安心したから、みんなにも安心を共有したかった。みんな混乱してると思うから、安心してほしい。


セルフモニタリングへの反応

C:ありがとうございます。安心のイメージを共有してほっとしました

A:読んでて記憶にないこともあって恥ずかしかったのですが、この状況でのスキーマはなんだったのか、とても気になります。
ノートを見たら、スキーマにもいいものと悪いものがあるというような内容だったので、良いスキーマにも名前があると、セルフモニタリング〜安心編〜ももっとシステマティックに捉えられて良い気がしました。

私: @A ハッピースキーマにも名前があるけれど、頭に入ってなくて移動途中で組み込めなかった。帰宅したので今から資料を見ながら追記します。

私:@C Cさんがホッとできたならよかったです。
Cさんをはじめ、このピアグループ全体が当事者で、それぞれ、いろんな影響を受けたと思っていて、だから、ホッとしたと報告されると、私は解放された気がします。この、解放された気持ちについても後でモニタリングしたいと思います。

A:@私 これを機にハッピースキーマも頭に入れたいな。だって、ハッピースキーマ増やしたいもん。

A:@私 ホッ、の連鎖が起きていて、私も心の一部がホッとしました。
もちろん、まだホッとできない人がいても大丈夫です。
私も疲れてるかを考えないと疲れてるのを忘れてるくらい疲れてるから、まだまだ気を張ってるんだと思います。


【セルフモニタリングとコメントへの全体的な感想】

Bさんの自死の後、ピアグループはメンバーそれぞれがショックを受け、そのことでグループ全体の機能が低下した危機状態でした。
Aさんと私は、グループをそのような危機に巻き込んでしまった罪悪感がありました。
どうやったらグループを危機から脱せるか、2人で話すこともありました。

私とAさんはグループ全体がBさんの自死の当事者になったと思っていました。しかし、グループのメンバーは私とAさんのことをより心配しているように見えました。
私たちがいくら、もう元気だ気にしないでくれと言葉で伝えても、伝わらないような雰囲気がありました。

そこで、私は淡々とモニタリングを投稿することにしました。
モニタリングは正直者なので、ただの言葉よりも信頼できるはずだと思ったからです。
私が本当にホッとして安心した体験をモニタリングして投稿することで、みんなにホッとして欲しいと思いました。

Cさんはこのセルフモニタリングを見てホッとしたと伝えてくれました。
その反応を見て、私もAさんも安心感を得ました。

このように、安心やホッとした感じが連鎖的に起こることをグループでは「安心の共有」と呼んでいます。
安心した場面までイメージできたら「安心のイメージの共有」と呼びます。

私とAさんにとって、このモニタリングの中の出来事は「安心のイメージ」として記憶されました。
この「安心のイメージ」は今後、何か不安なことがあったときに不安を取り去るためのサポート資源として役に立ちます。

私とAさんは「ローズマリーのハーブティー」という「安心の象徴」を共有していて、このセルフモニタリングの出来事の日も「ローズマリーのハーブティー」を実際に飲んでました。

私たちは、お互いが不安になっているときに「ローズマリーをあげるよ」「一緒にハーブティーを飲もう」と声を掛け合うことで「安心のイメージ」を思い出せるようにしています。

Aさんは声かけがなくても「安心のローズマリー」を思い出せるように、ローズマリーをアロマアクセサリーとして持ち歩くことを考えているようです。

今回のセルフモニタリング安心編は「安心のイメージ」と「安心の象徴」「安心の共有」など、スキーマ療法やグループスキーマ療法において重要なサポート資源を紹介するのにちょうど良い題材でした。

みなさんも楽しいティータイムをお楽しみいただければと思います。

サポートありがとうございます。みなさんのサポートは、スキーマ療法や発達障害、当事者研究に関する書籍の購入やスキーマ療法の地方勉強会、ワークショップ開催などの費用に充てたいと思います。