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インドネシアの華僑たち、若者事情

インドネシアの華僑の事は以前のコラムにも書きましたが、インドネシアでビジネスを行っていると、かなりの頻度で華僑たちが登場します。インドネシアでビジネスを行う上で、彼らの存在を無視することはできません。そしてここ数年、その華僑の若者たちの文化や風習に変化が現れているようです。


過去
昔のインドネシアの華僑たちは中国の文化や習慣などがそのまま残っていましたが、今を生きる若い世代の華僑たちは風習というより、それぞれをイベントとして捉えているようです。例えば、旧正月のときにはご祖先にお祈りを捧げていましたが、今はその習慣というよりも、「家族と集まるイベント」となっているようです。

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(写真左)昔は祖先に祈っていた旧正月。
(写真右)現在の旧正月はイベントとして、誰とでも祝福し合うことができる。

そうなった経緯として、一つの理由は歴史にありました。1967年の大統領令で中国の宗教、信念、慣習に関することまでが禁止とされたのです。それから33年後、2000年の大統領命令で1967年の大統領令が取り消され、再び中国の習慣やお祝いなどができるようになりましたが、今度は華僑の存在を懸念した政府の影響で中国文化は衰退の一途を辿っているそうです。


現在

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昔、インドネシアの華僑たちは起業する選択しか与えられず、商売の才能と力を持つ一民族として見られていましたが、それも少しずつ変わってきています。起業家になる華僑の若者が未だ多い中ではありますが、政治家や政府の役員、また芸能人になる若者が出てきました。

古い世代が未だ中国の文化や習慣を大切に過ごしている中、インドネシアの華僑の若者たちは先祖伝来の文化や習慣から離れ始めているようです。例えば、日常生活で中国語を話す若者が減少する中、古い世代はコミュニティや日常生活の中で今も中国語を使っています。また、古い世代が同じインドネシアの華僑たちとコミュニティーを築いていることに対し、若者は世代を超えて華僑のコミュニティーを築いているかと言えば、そうでもないようです。同じ世代だけで固まり、新旧の交流が減ると習慣や文化は薄れていきます。日本の現状と似ていますね。

またインドネシアの華僑の若者は2つの異なる文化的アイデンティティが存在する中に生まれ、アイデンティティ・クライシス(自己同一性の喪失)を受けてきました。インドネシアの華僑たち若者は、インドネシア人としてのヴィジュアルを持たず見た目は中国人、しかし中国の文化や習慣からは離れ始めた存在です。そこで今は、中国からの中国人(華僑)ではなく、中国系のインドネシア人(「印尼華人」‐中国系のインドネシア人)としての文化的アイデンティティとして認識されるようになっています。

機会があれば是非、インドネシア人の華僑の人柄に触れてみてください。私の経験上、雰囲気は台湾人の方と似ている点が多く、日本人にとって、とても親しみやすい存在だと感じています。

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